第650毛 抱く(だく/いだく)
………
ひと目みたとき
運命だと想った。
ミタマ(この場合、心)が跳ねるのを
全身で感じた。
僕は貴方に会うために
今まで生きてきたのだとさえ…
エルターさんは
ぎこちないけれど誠実に
戸惑いながらも一歩ずつ
僕に近づいてくれた。
僕の好きなこと
苦手なこと
知っていること
知らないこと
やりたいこと
叶えたいこと
たくさん
たくさん話した。
気が付くとエルターさんは
僕の傍らに居てくれた。
それから
色んな事があり
いつも
エルターと一緒に乗り越えてきた。
ラックスを授かったとき
エルターは泣いていた。
この私が、限りある生命を宿すことができるなんて、と
詩的な、というか
エルターはよく、このような言い回しをしていた。
なんだか胸に込み上げるような感情を
私も感じた。
エルター
生命尽きるまで
共にいよう
そう
なんども言い合った
エルターは必ず
傲慢かもしれないけど『幸せそうに』
笑っていた気がした
エルター
これからも
ともに……………
……………
ス「……………え??」
医者「………予定日よりかなり早い…私が来るまでに破水までされるとは………お子様がご無事だったのは奇跡に等しい…」
ラ「…え? ………え?? ………ど、どういうこと…ですか?? …父上……?」
ス「……………」
スカルプは
エルターの頬に
そっと触れる。
温かい。
温かいが………
生気が……………
スゥ…
ス「!!!!」
エルターが
ゆっくりと
目を、開ける。
エルター「……………ス…カル…プ??」
ス「!!!!エルター!!そうだ、スカルプだよ!!しっかりするんだ!!キュレルは…」
エルター「…よかった……もう…すっかり…元気になった…ね……」ニコッ
ス「………え!?」
エルター「……あちこちアザだらけで…正直、もうダメかもと…思ったけど……フフッ…よかった………」
ス「!? エ、エルター!?」
シャカ「………(…一時的に…記憶が混在しているのか)………エルタん……」
エルター「…? シャカ…くん……どうして……ここに………」
ス「!? (くん???)」
シャカ「! …エルタん、ちょっとごめんね…」リンッ
シャカがエルターの眼を見つめる。
…
……
エルター「………ぁ…あれ………」
ラ「…は、はは……うえ??」
エルター「……………ラックス……ラックス…あれ、ここは……………そっか…私………!!」
シャカ&ス「「!!!?」」
エルターは気力を振り絞り、起き上がろうとする。
ス「エルター!!無理をしないでくれ!!」
エルター「キュレル…キュレルは!?キュレルは無事に………」バタバタ
レノア「エルター様」スッ
エルター「!!!!!!」
レノア「元気に…お産まれになられましたよ。貴方様のおかげです」
言いながら、レノアはキュレルをエルターへ優しく抱かせる。
完全には任せず、キュレルを抱いたエルターの両腕を、レノアはそっと下から支える。
エルター「…ぁあ……キュレル……よかった………」
涙を流すエルターを
スカルプがそっと抱き寄せる。
スカルプ「ありがとう…エルター。よく、よく頑張ったね……。これからは、一家4人で、楽しく過ごそう!!まずはゆっくり身体をやすめて」
エルター「スカルプ…」
ス「!!」
エルター「………ごめんなさい……」
ス「!!!!」
エルター「………方法が……見つからなくて………先走っちゃったんだ………。本当に……ごめん…なさい………」
ス「っ……っ……ぁ…謝ることなど……っ………」
エルター「……………あなた」スッ
ス「!!」
エルターは震える手で
キュレルをスカルプへ…
ス「……………!!」スッ
スカルプは
キュレルを
しっかりと抱く。
レノア「……………」
エルター「……………もう……時間かな……………」




