第642毛 輪
…
……
………
お腹の子
キュレルは
順調に育ってくれている。
医者という者は
少しばかり
動きが乏しいと言っていたが
きっと大丈夫だろう
元気に産まれてくれると信じている。
ラックスもこの頃は
幾分か笑顔も増え
元気になったと感じる。
スカルプはまだ心配みたい
私もそう
ただ
…
エルター「厄介??」
シャカ「ん〜。確認しながら話すね。今までの『ナガレ』だと、エルたんの『不死』は『ナガレ』に加わったはずが、何かの拍子で息子ラックス君へ宿った。と考えるべきなんだけど、それだと、変なんだよ」
エルター「………やっぱり……そうか……」
シャカ「ん? エルたんも感じてた?」
エルター「うん………私のチカラだったしね………。 今、ラックスに宿っている『ナニカ』は、『スーパーリッチ』と呼ばれるように、肥やしたり枯らしたりするモノだよね? …正直………そんなチカラは元々、『不死(私)』にはなかったはずなんだよね」
シャカ「そう、そこなんだよ。『不死』が抜けたなら、『不死』のチカラが表出するはずだ。でもなぜか、今の現状になってる。……で、さっき『ミタ』上で、だけどさ…」
シャカは一呼吸おく。
シャカ「あれは、『想いが具現化、あるいは変異したナニカ』だね」
エルター「!!」
シャカ「『ナニカ』は、枯らしたり肥やしたりを狙っている。『スーパーリッチ』って、教会から教えられたみたいだけど、そもそも、テンカイにそんなチカラはない。だからさ、『スキル』として、降りてこないんだよ」
エルター「! そ、そうなの??」
シャカ「うん。だからおそらく、そこも『ナニカ』が騙した事になるね。スキルを装ったんだよ。………で、その狙いと、この『ナニカ』の成り立ちだけど、前者はまだ分からない。…ただ後者は、恐らく『リッチに成りたい』という想いの具現化だね」
エルター「……………」
シャカ「ヒトってさ。…ま、ヒトに限らないんだけど、色んな感情がある。これは、表にでてくるもの、抑え込んでいるもの、様々だね。スカルんは、『表面上』前向きな気持ちで『リッチ』に…裕福になりたいと思っていた。今もかな。…ただ、彼の生い立ち、境遇を考えると、他者を羨ましがる、妬ましがる、といった感情も、確かに存在していたんじゃないかな」
エルター「…………………」
シャカ「君と再び出会い、伴侶となり、君と交わって、君は子を宿した。『不死』が、君のなかに僅かでも残っていた、あるいは限りなく『薄く』なっただけで存在していた、と仮定したら、その『不死』と『想い』が絡まったんだろうね」
エルター「………絡まる……………」
シャカ「うん。ある意味『負の感情』が、不死と絡まった事により『枯れずに残った』。で、そのままジワリジワリと、『負の感情』を吸収して、おっきくなってきたんじゃないかなってのが、俺っちの考察だね☆」
エルター「……………」
シャカ「エルたん悩ましげ??」
エルター「………私の……せいで………」
シャカ「んん? いやいや、んな訳ないじゃん」
エルター「え?」
シャカ「負の感情は、誰しも持つものだ。それに少なくとも、君と会い、君と過ごし、君に触れる事で、スカルんには様々な『感情』が芽生えた。…いいかい、『負の感情』だって、立派な感情なんだよ。必要なものでもある。重要なのは、これらの感情と、どう向き合っていけるかってトコだ」
エルター「……向き合う………」
シャカ「まっ、今はラックス君の『感情』が気掛かりだね〜。 『ミタ』とき、一応、深いトコまで『潜ってミテみよう』かと思ったんだけどさ、予想以上に反発があったよ☆ けどまぁ、一応、保険は掛けておいた」
エルター「ほ、保険?」
シャカ「うん♪ こっち側……『人間道』に『ナニカ』が出てこようとしたとき、俺っちに伝わるよう『輪』をかけておいた。これで、ラックス君をいきなり乗っ取るようなことは、ないはずだよ♬」
エルター「ほ、本当かい!? ありがとうシャカくん!!」
シャカ「うんうん♬ ……ただ、ちょ〜と色々、腑に落ちない部分もあるからね……ま、ちょくちょく『ミにいく』ね♡」
エルター「う、うん!!」
…
それから
シャカくんは結構頻繁に
『ミにきて』くれている。
そのお陰か
ラックスのなかに居る『ナニカ』は
目立った動きを見せていないらしい。
…良いこと………なんだよね……
私も…
みんなの為に
しっかりしなくちゃ
しっかり…
……
………
ズ…
ズズ…
?
『枯らせ』
!?
なっ……
まさっ………か………
グッ………
コンコン
スカルプ「エルター。私だ。入っても…」
バタンッ
ス「!?」
その『音』を聞き
扉を開けたスカルプの目には
血を流して倒れ伏すエルターが映った。




