第637毛 エルターズ・オリジナル.21 たとえふたりをわかつとも
……………
工場長「素晴らしい想いだ。……して、ふたつめは、なんだい??」
ス「! あ、はい! ……その…ふたつめは…かなり個人的な理由に……なるのですが………」
工場長「ん??」
スカルプの目が泳ぎ
僅かに頬が紅くなる。
工場長「!!」
ス「…先程…申し上げた………私が捨てられたとき……私を、助けてくれた方がいるのです」
工場長「! ほう…」
ス「その方は…なんというか、誰かと話すことに、慣れていない感じでしたが、とても…とても、私の事を気にかけてくれました。…私の容態はもちろん、一挙手一投足に、慌てたり、安心したり………。私は、それまで、誰かがそのように接してくれた事がなくて……なんだか、不思議な…温かい気持ちになりました」
工場長「………(思った以上になんか深い話だな……)うん…そうなんだね……」
ス「…私が教会のヒトと会ったとき…私は、行きたくない、と、駄々をこねました。ずっと、ずっとその方の側にいたい、と。…そんな私を……あの方は……あの方の『特別』を私にくれてまで、私の幸せを、願ってくれました。…私は…その瞬間、想ったのです。『この御方の側にいたい』と。そしてその為には、立派に自立した大人にならなくちゃいけない、と…」
工場長「……………」
ス「…ハッ!! す、すみません…熱が入っちゃいました………」
工場長「…いやいや、君の想いを聴けて、嬉しいよ。………ただね、ひとつ、聞いても良いかい?」
ス「? はい」
工場長は、一瞬躊躇うような素振りを見せる。
工場長「…その御相手は、ただ身分が高い御方……というわけでは、なさそうだね」
ス「!!」
工場長「………リーブの民では、ないのかい?」
ス「……………………」
スカルプの目が泳ぐ。
言うべきかを決めかねているように、工場長の目には映る。
工場長「………そうか…」フッ
そんな様子を見て
工場長は笑う。
ス「!?」
工場長「…なるほどなるほど……うん…。君という男が、分かってきた気がするよ」
ス「え……そ、それは………」
工場長「ハッハハ! そう身構えなくて良い。いやいや、君はどこかいつも、ミタマ(この場合、心)ここにあらず、という感じだったからね。仕事自体はこなしていたが。…そうかそうか……」
工場長は何度も頷いている。
ス「…こ、工場長……」
工場長「スカルプくん。私は、その御方がどんな方かは知らない。だが、おそらく、我々と異なる感覚や価値観、『過ぎていく時間の捉え方』があるだろう。それでも、君は、その御方とともに居たいと思う(想う)のかい?」
スカルプは、工場長の目を真っ直ぐに見つめる。
スカルプ「はい。思い(想い)ます。 たとえ何が起ころうと……その『違い』がふたりを分かつことになったとしても、私は、あの御方をお慕いし、想い続けます。そして願わくば、この生命尽きるその時まで、お側にいるつもりです」
工場長「………そうか。……うん、良い返事と、良い目だ!」バンッ
工場長は、スカルプの左肩を叩く。
ス「!」
工場長「この先、色々な事があるだろう。だが、君のその想いがあれば、乗り越えられるはずだ。私も、陰ながら君を応援しているよ」
ス「! はい!!ありがとうございます!!」
そして
優しい笑顔のまま
工場長はその場を離れた。




