第632毛 エルターズ・オリジナル.16 懸念
……………
エルター〚な、なるほど…!! じゃぁ、私は、不死を捨てて、『寿命のついた存在』になれるってことかい??〛
ジャック〚……『理屈』では、そうなります。……ここで、先程申し上げた『懸念点』を、挙げさせていただきます〛
エルター〚! う、うん………〛
ジャック〚懸念点は主にみっつ。ひとつは、『想いの具現化が不死である』という事自体です〛
エルター〚え??〛
ジャック〚ヒトビトが『生』に執着や憧れを抱き、結果その『想い』が不死を生み出した。となれば、仮に不死を貴方様がお捨てになったとしても、ヒトビトの中でその『想い』が消えない限り、『不死』自体は何度でも生み出される可能性が高い、という事です。これが、理が理たる所以でもあります〛
エルター〚……そうか……それじゃぁ……結局は、私に代わる存在が出るかも、という事だよね…〛
ジャック〚……はい。ただ、あくまで可能性の話です。……また、これは私の意見ですが、貴方様がこの事により『諦める』必要はないかと思います〛
エルター〚!!〛
ジャック〚………不死者様が、『エルター様』として『限りある生』を全うしたいと願うようになった。…それは、その感情は、非常に尊いものだと思います。幾星霜の流れの中、悠久の時を過ごすうち、『感情』が希薄になる者も多い。それは哀れで、憐れで、嘆かわしい事です。…私は、貴方様に芽生えた感情を、否定しません。…いえ、というよりは、応援したいと感じます〛
エルター〚……………ジャック……くん………〛ジワッ
ジャック〚……私情を話し過ぎましたね。失礼致しました。…戻ります。ふたつめの懸念についてです。…正直、これが、貴方様にとっては、悩みどころかと…〛
エルター〚え?〛
ジャック〚繰り返しますが、『不死』を捨てるという事は、『理の神』ではなくなるという事です。貴方様は限りある生命を持つ存在となり、『リーブの民』として生きる形です〛
エルター〚う、うん〛
ジャック〚…これはつまり、一時的にせよ『不死』という存在が、セカイから完全に無くなる、という訳です。これは、『記憶の中から』という意味も含まれます〛
エルター〚記憶……!!〛
ジャック〚…そうです。『不死』を具現化したのがヒトビト…リーブの民であるなら、『不死』が無くなる場合、貴方様という存在も…リーブの民の記憶から無くなる、という事です〛
…
エルター〚……………〛
ジャック〚………エルター様……………〛
エルター〚……そんな……それじゃぁ…スカルプの……中からも………〛
ジャック〚………おそらくは……〛
エルター〚……………〛
ジャック〚……エルター様、この、ふたつめにも関連はするのですが……最後、みっつめについてです〛
エルター〚……………うん………〛
ジャック〚………此度の件、『理の神』の一柱である、死の神ヘラ・ルージュ様が、嘆いておられます〛




