第206毛 演技
空気が固まる。
シンディ「………え??」
ジョ「………そんな……いつから…」
シ「む??完全に騙せていると思っていたのか。なかなかにおめでたいな」
シン「…くっ…ばかな…変体は…完璧だったはず…わざわざ…家まで…」
シ「順を追って説明しても良いが、急いでいるのだったな。貴殿らの失態は、教えない方が良いかな??」
ヨ「…(なんか勇者様、怖い………)」
エ「これぞ言葉責…いやいや、邪な事は考えないようにしないと…」
シン「……私達が失態だと……話してみろ!!」
シ「承知した。まず、はじめの出会いから既に怪しいと思っていた」
ジョ「!? な…」
シ「まず、お花を受け取った時の手だ」
シン「……手??」
シ「ああ。姿形を変体しているなら、何で変わらなかったか疑問だが…貴殿は、ナイフというより、剣を使うのだろう??」
シン「!! ………」
シ「沈黙は肯定かな。パンテーンの手で確信を持ったが、剣を持つ者特有の手のタコ…つまり皮膚が固まる現象が、貴殿の手にもあった。私は元の世界で、竹刀や日本刀…剣を扱ったり達人を間近で見た事があるのでな」
シン「……………」
シ「もしかしたら生活上、剣を持つ必要があるのかもと思ったが、見ている限りそうは感じられない。そして次に、山菜が気になった」
ジョ「…?? 山菜だと?」
シ「ああ。山菜、特に、私達の元いた世界の名でタラの芽などといった山菜は、普通芽が出ている先だけを取るのが常識だ。でなければ、その木ごと枯れてしまう。異世界と言えど、そのような基礎的な知識は当然浸透していると仮定した」
シン「………」
シ「しかしながら君たちのカゴの中身は、無造作に見境なく折ったものばかりだった。 よく山に野菜を取りに行く、と言っていただろう。慣れた者であれば、絶対にそんなマネはしない。自分達が食すためだけの収穫でまだ世間知らず、という可能性も確かにあるが、あれは売り物だ。売り物して出すなら、確実に他者からの指摘が入る。そのためあれは、何らかの即席か、カモフラージュ…何かをごまかしているのではと思った。それこそ、野山に入って生計を立てている子どもを演じる、とかな」
ジョ「………あの一瞬で…そこまで…」
パ「……………」
シャ「……(パンテーン…こんな状況なのに、なんか勇者様を見る目が潤んでませんかね…)」




