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起死回生ブレーキ! 二木粟生井鉄道  作者: 髙津 央


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08.開設の効果

 三木は各ツイートの解析を開いた。

 閲覧数は一時間くらいで二百ちょっとだが、肝心の公式サイトのイベント告知へのリンクが踏まれた回数は、一桁台の前半ばかりだ。全くクリックされなかったツイートの方が多い。

 見てもらえただけでも、ありがたいと言えばありがたいが、実際、二木粟生井(にきあおい)鉄道に乗ってくれる者は、ほぼ居ないだろう。


 ……まぁ、まだアカウント作って二十四時間も経ってないし、こんなもんだろ。


 珈琲を飲んで次の手を打つ。

 マスコミ関係のアカウントを検索し、取材してくれそうで、その情報に沿線住民が触れそうな所を片っ端からフォローして、非公開リストに入れる。

 地元の新聞社、全国紙の地方支局、地元のラジオ局とテレビ局、鉄道雑誌、ネット専門のニュースサイト……


 取敢えず、縁を繋いでゆかないことには、何も始まらないのだ。



 作業を一段落させ、二木あおいのフォロワーを見る。

 お堅い所からのフォロバは一件もなかった。

 自社の公式アカウントは、遅延などが発生しない限り誰もログインしないので、二木あおいは認識すらされていないだろう。


 ……こんなの絶対、許可もらえないだろうし、会社バレすんのはもっと後でいい。


 三木自身は、フットワークの軽い若い世代にアピールする為、時間を掛けて策を練りに練り、運用ノウハウも研究して萌えキャラの導入に至った。



 二年前、二木粟生井(にきあおい)鉄道に接続する大手鉄道会社が、鉄道っ娘これくしょんとコラボした。

 会議に出た谷上駅長のぼやきによると、本社の偉い人たちは「オタクに媚びるようではおしまいだ」などとせせら笑い、二木鉄駅舎へのポスター掲出は議題にも上らなかったと言う。



 無許可でPRを始めたのは気が引けるが、経営状況を考えると、絶対に潰される提案を持ち込む程、最年少社員の三木もバカ正直では居られない。


 会社の予算を一切使わず、自分の時間を削って身銭を切ってでも、廃線を回避したかった。

 それでも、本社の偉い人にバレたら最悪、クビが飛ぶかもしれないが、もう引き返せない。



 これからの季節、降雪や野生動物、合格発表、年度末絡みの事故で遅延や運休の懸念がある。

 誰も公式ツイッターにログインしないよう、沿線の神社仏閣に祀られる神々と御仏に祈った。


 ……雪で電車が止まりませんように。冬眠から起きませんように。シカやイノシシが線路を横切りませんように。みんな合格しますように。どんなブラックでも、デスマーチになりませんように。



 二木粟生井(にきあおい)鉄道の沿線には、都市部のベッドタウンとして開発された新興住宅地があった。

 中途半端に古びて、新興とは言えなくなった住宅地はすっかり寂れ、定期券の発行枚数グラフは右肩下がりが続く。


 定期券の発行業務は、予算の縮小で契約社員が担当することになった。

 契約社員の西口は、その他、駅個別のPOPや注意書きの作成もする。

 今年の暮れで、イラストを描いてくれた西口の雇用契約が終わる。


 ……どんなに強い風が吹いても、線路が倒木で塞がりませんように。


 神頼みのついでに思いつき、三木は休日の予定を組立てた。

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