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18.はふはふ

「三十センチ……そうだな指先から肘くらいまでの長さになるように輪切りにしてもらえるか?」

「はい」


 切り目に沿うように腕を当て、モニカに示す。

 彼女か切ってくれている間に、俺は手頃な枝を斧でバッサリ行くか。

 

 よし、これにしよう。

 手斧を振り上げてえ、振り下ろす。

 カーンといい音が鳴り響くが、音の割には切れてないな。

 だが、これくらい手作業でやれずしてどうする。

 うおりゃああ。


「ソウシ様」

「うおおお。ん?」

「こちらは完了しました」

「俺も後一撃で根元は落ちる。ちょっと待っててくれ」


 手斧を振り下ろすと、枝が根元から落ちた。

 このままだと長すぎて持っていけないから、手頃な位置で切り離さないと。

 一メートルほどの長さになるように切り落とした枝の先を落とした。

 枝とはいえ、直径が15センチほどもある中々のサイズだ。

 

「それじゃあ、持って帰ろうか」

「持ち上げるのに一苦労ですね」


 うんしょっと可愛らしい声を出してモニカが輪切りにした木材を持ち上げようとするが、上にあがらなかった。

 ぷるぷる震える彼女の肩をポンと叩き、木材から手を離してもらう。

 

「こいつは、こうして持って行こう」


 輪切りにした木材は、丸太を切ったので丸い。

 うんしょっと。

 うお、結構重たいな。

 足で木材を支え両手に体重を乗せて丸い木材を起こす。

 

「このまま転がしていけば持っていけるさ」


 枝の方を肩に担ぎ、モニカと一緒に丸い木材を押して村に向かう。


 動き始めてすぐちょっとしたハプニングがあった。調子よく丸い木材を押していたら、手から丸い木材が離れてしまう。


「あ」


 モニカの声も虚しく、あっという間に丸い木材が転がっていく。

 この辺は傾斜になっていたらしい。

 

「いいじゃないか。押さなくて済むし」

「はい」


 頷きながらもどこか不満気に唇を尖らせるモニカにクスリとくる。

 

 ◇◇◇


 屋敷の前まで戻ってきたところで汗だくになった。

 結構腰に来るなこれ。中腰の姿勢で丸い木材を押しながら、肩に枝を担いでいるんだもの。

 

「昼は簡単なものにしよう。俺が作るよ」


 座るのはメイド魂が許さないのか壁に背中を預け荒い息を吐いていたモニカに目を向ける。


「ですが」


 彼女は尚、自分でと主張するが、まあまあと彼女の肩へ手を置きそのまま家の中へ。

 入ったところで下に藁を敷いたボアイノシシのベッドへポスンと彼女を座らせ、一人キッチンに向かう。

 

 籠から平らなパンを二つ取り出し、間に包丁を入れる。

 トマトとキュウリを適当に切って……ハムが欲しいところだけど残念ながらボアイノシシの肉しかない。

 なので、ボアイノシシの肉を薄くスライスして焙ることにした。

 

「まだ時間がかかるから、そのまま話をしよう」

「はい。ご厚意、感謝いたします」

「魔法も使ったし、木材でてんやわんやだったものな。俺はほらこうまだまだピンピンしているからな。魔力も全快だし」


 親指をモニカに突き出し、ニカっと笑う。

 

「持ってきた木材だけど、臼と杵にしようと思っているんだ」

「そうではないかと薄々思っておりました。あの大きさならパンを数十個分の粉ひきができますね!」

「杵の大きさはモニカでも使いやすいサイズにしようと思っているからモニカに持ってもらいながら調整したい」

「是非に。木材の乾燥はどのようになさいますか?」


 モニカの指摘通り、伐採したばかりの生木はそのままだと木材として利用できない。

 しっかり乾燥させて初めて使うことができるんだ。

 

「そこは待つしかないかなと思っている。水の精霊術でも聖魔法でもどうにもならないんだよな」

「フェリシアなら一瞬ですが、わたしでも多少はお力になれます。半日ほどお時間を頂けましたら」


 うーん、申し出は嬉しいが……。

 モニカは胸の前で両手を握り、「頑張ります」と決意を新たにしている上に目にも力が籠っている。

 

「モニカ、申し出は嬉しいけど昼食後にやるのは無しだぞ」

「……」


 かあっと頬に朱がさすモニカだった。

 自分でも気が付いたんだろう。半日ほどかかる作業に自分の魔力量が足りないってことに。

 

「で、ですが。ソウシ様にパンを」


 モニカはそれでも尚、食い下がってくる。


「その気持ちだけで嬉しいよ。そうだな。じゃあ、魔力量に余裕がある分だけやったらどうだ?」

「はい!」

「あ、焦げそう」


 おしゃべりに夢中になっていて、肉から焦げ臭い香りがあがりはじめているじゃあないか。

 薄くスライスしたからなんかもう干からびた感じになっちゃってる。

 

「くす」


 モニカのくすりとする声が聞こえたが、彼女は慌てて両手で口を塞いだ。

 

「も、申し訳ありません」

「いや、ここは笑うところだろ。な」

「い、いえ。そんな。ソウシ様が手ずから動かれていらっしゃるのに」

「ははは。まあいいじゃないか。あ、あいつ、焦げ臭いのがお好みなのかな?」


 食べ物の香りにつられたのか、ニクが鼻をひくひくさせながら窓枠から顔を出す。

 そのまま窓枠に体を乗せ、中に入ったがいいがどてんと頭から落ちた。

 でも、ニクはちっとも痛くなかったのか何事もなかったかのようにモニカではなく俺の方へお尻をぶんぶんしながら近寄ってくる。

 お気に入りの主人より食べ物か。やはり所詮は獣よ。


「ちょ、おい」


 こ、こいつ。

 がりがりと前脚で麻袋に乗っかり、大麦の入った麻袋を前歯でがりがりやっているじゃないか。

 

「モニカ、ニクが麻袋を」

「食欲旺盛ですね」


 呑気に言っている場合か。


「モニカ、盛り付けは頼む」

「はい。承知いたしました」


 といってもパンに肉と野菜を挟むだけだけどな。

 俺はといえば、尻尾とお尻を振っているニクの後ろ脚の付け根辺りを掴み引っ張り出す。

 

『はふはふ』


 なんだよその鳴き声。

 後ろから引っ張りぬかれたニクが首をこちらに向け、鼻息荒くはっはしている。

 最初に聞いた鳴き声はもっと可愛げがあった気がするんだけどなあ……。


「分かった。ちゃんと大麦をやるから、待ってろ」


 そのままニクを持ち上げるとさかさまにでろーんとだらしなく伸びた。

 少しくらい力を入れて、こう腹筋を使って体を丸めるとかだな、せめて前脚くらい折りたためよ。

 

「愛らしい」


 後ろからモニカの声。

 いや、可愛くないだろこれ。

 

 全く……俺たちが食べる前に食事をするとはふてえ野郎だよ。

 平皿に大麦を乗せて床に置く。

 仕方ねえなあもう。特別だぞ。

 小瓶からアーモンドを三つばかり取り出し、平皿に追加してやった。

 

 俺たちもオートミールで消費するし、大麦もそろそろ作っておきたいな。

 乾燥させる必要があるし。

 

「ソウシ様。わたしたちも頂きましょうか」

「だな」


 両手に簡易版サンドイッチを乗せたモニカがにこやかにほほ笑む。

よろしくお願いします!

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こちらも間もなく完結となります。

ぜひぜひチラ見していってください!

・タイトル

最強ハウジングアプリで快適異世界生活

・あらすじ

異世界の戦場に転移してしまった主人公がど真ん中にハウジングアプリというチートを使って誰も侵入できない無敵の家を作って戦争を止めたり、村作りをしていくお話しです。

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