35話
授業終わりの放課後。 今日は部室棟にある一室で部活動の部長会議が行われていた。 俺も生徒会のメンバーとして一年生の頃からこの部長会議には毎回参加していたんだけど……何か気が付いたらいつの間にか俺がこの会議の議長をさせられるようになっていた。
「……という事で昨年度は部活の備品購入の際に領収書の貰い忘れが多かったので、今年度は貰い忘れやうっかりと破棄などしてしまわないように注意してください」
「あいよ」
「りょーかい」
「わかった」
「はーい」
「……いや本当に頼むよ? 去年本当に会計管理の仕事しんどかったんだから今年は本当に頼むよ? ってか今年も酷い所あったら思いっきり部費減らすからね??」
「えー」
「鬼ー」
「生徒会の横暴だー」
「神木君は私達の味方でしょー」
「むしろ部費もっと上げてよー」
と、まぁこんな感じで本日の議題は部費での備品購入についての話だった。 新年度になって各部活で必要になる備品が沢山と出てくる時期なので、各部長達に領収書やレシートの貰い忘れやうっかりと破棄してしまう事の無いように注意を促した。 俺は去年も生徒会で会計の仕事をしていたんだけど、そういうのがあまりにも多すぎてお金の管理がめっちゃ大変だったからさ……
という訳で、この部長会議というのは部活動に関連した議題を話し合う事が目的となっている。 今俺が話していた部費関連の話題が終わった後も会議はつつがなく進行していき、そして本日の部長会議も無事に終った。
「はい、それじゃあ本日の部長会議はこれで終わりにします、お疲れさまでした」
「「「お疲れさまでしたー」」」
そう言うと各部活の部長達は順次この教室から出て行った。 俺は背伸びをして一息ついてから、今日の会議で使っていたホワイトボードの板面をキレイに消していった。 するとその時、突然と後ろから声をかけられた。
「お疲れ様、神木君」
「ん? あぁ、小鳥遊さん、お疲れ様」
俺は後ろを振り向くと、そこに居たのは小鳥遊花音さんだった。 同じく高校二年の女子で料理部の部長をしている子だ。 見た目は身長が155センチくらいのセミロングヘアで、性格は結構大人しいタイプの女子だ。
「いつも会議の進行ありがとうね。 神木君も生徒会の仕事も忙しいのにさ」
「んー? あぁ、別に大丈夫だよ。 好きでやってる事だしね」
申し訳なさそうにしている小鳥遊さんに対して俺は笑いながらそう返事した。 元々俺は普段から通話しながらネトゲをしてるおかげで沢山の人と話すのは好きな方だったしさ。 あとは一年生の頃から前生徒会長にこういう会議とかのまとめ役を無理矢理させられてきたおかげで、今は進行役を担当するのもそんなに苦ではないからさ。
「それで? どうしたの小鳥遊さん? 何か俺に用事でもある感じ?」
「あ、うん、えっとね、文化祭でやりたい事があるんだけど、それに必要なレンタル機材が何個かあってさ。 それで、そういう機材のレンタル申請ってどうすればいいのかなって」
「あぁ、なるほど。 うん、俺で良ければそういうのは全然教えるよ。 でも一応どんな事がやりたいのかについては先に教えてほしいんだけどそれは大丈夫?」
「あ、うん、それはもちろん! 一応文化祭でやりたい事の資料はもう作ってあるから、時間ある時に良かったら確認して欲しいんだけどお願いできるかな?」
「あはは、手際めっちゃ良いねー。 うん、それじゃあ今度の料理部にお邪魔するからさ、その時それ見させてもらうよ」
「うん、わかった! ありがとう神木君! それじゃあその時に改めてよろしくね! じゃあ今日はお疲れ様」
「うん、小鳥遊さんもお疲れ様ー」
そう言うと小鳥遊さんは軽く会釈をして会議室から出て行った。 俺はをれを見届けてからまたホワイトボードを消す作業に戻った……んだけど、また俺はすぐに後ろから声をかけられた。 今度は小鳥遊さんじゃない女子の声だった。
「神木君、お疲れー」
「んー? って、あれ? 佐々木先輩じゃないですか、お疲れ様です」
もう一度振り返ってみると、そこに立っていたのは佐々木先輩だった。 佐々木先輩は高校三年の先輩でバレー部の部長を務めている女子だ。 身長は165センチくらいのショートヘアな女子で、さらに何と言ってもその、おっぱ……じゃなくて、えぇっと、その……とてもグラマラスなボディを持っている女子だ。 もちろん男子からの人気は滅茶苦茶高い。
「どうしました先輩? 何か言い忘れた事でもありましたか?」
「あぁ、いや、そういう訳じゃなくてさ。 ちょっと神木君……というか生徒会の人に聞きたい事があってさ」
「え、俺に聞きたい事ですか? 一体何の話ですか?」
佐々木先輩が俺に聞きたい事って一体何の話だろう? まぁ生徒会に聞きたい事だから、さっきの小鳥遊さんみたいに部活に関しての話だよな。
「うん、そのさ……」
「はい」
「ちょっと変な事を聞くかもだけどさ、」
「はい」
「……最近千紗おかしな行動とかしてなかった?」
「はい……はい?」
何か予想していたのと全く違った事を聞かれたので、俺は変な声を上げながら先輩に聞き返してしまった。 いや千紗って……七種先輩の事だよね?




