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捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~  作者: 龍翠
第三話 魔道具職人

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03-16


 旅立ちの日。リフィルは町の中央でむふんとちょっと満足げにしていた。足下ではレオンもむふんと胸を張っていてとってもかわいい。もふもふしておこう。もふもふ。


「えっと……。終わったの?」

「おわった」


 最初の村のように目的を見失ったりはしなかったから、今回はしっかりと結界を張ることができた。とってもなめらかな結界だ。我ながらいい仕事したと思う。えっへん。

 ともかく。これでリフィルのここでのお役目は終わり。次の村か町に向かわないといけない。いずれは全ての町を一本に繋げるつもりだから、あまりゆっくりはしていられない。

 でも。とりあえずそれは置いておいて。リフィルとアレシアには、直近にせまった試練があるのだ。


「それじゃあ……。えっと……。行こう?」

「むし、だめ?」

「だめだよ……」

「うあー……」


 アレシアに手を取られて、リフィルは試練の場所に向かうことになってしまった。

 行きたくない! 心の底から行きたくない!




「リフィルちゃんもう旅に出るなんてー!」

「アレシアちゃーん!」

「むぎゅう」

「あわわわ」


 たどり着いたのはミントが働く服飾店。そこでリフィルとアレシアは熱烈な歓迎を受けてしまった。いい迷惑だ。本当に! 迷惑だ! どこ触ってるんだ!


「ほらほらみんな落ち着いて。それよりほら、服、できてるよ」

「おー」


 驚くべきことに一番落ち着いているミントが服を渡してきた。いや本当に、最初のあの暴走はどこにいったんだろう。暴走してほしいわけじゃないけれど。


「みんなが変になっているのを見たら落ち着いたんだよ……」

「なるほど」


 よく分からないけど、そういうものらしい。

 とりあえず。せっかくもらったのでリフィルとアレシアは早速着てみることにした。

 どちらの服もローブに合わせた色で、リフィルは白色、アレシアは黒色を基調した服だった。そんな中に、お互いの色をワンポイントとして飾りが入れられてる。仲良しな二人にはぴったりだと思う。

 他にもいくつか色が入っていて、お店の人が相談していろいろと決めてくれたらしい。着心地もとっても良くて、すごく気に入った。


「へんなひとたちなのに」

「わりと毒を吐くねリフィルちゃん」

「リフィちゃんですら毒を吐くぐらいなんですよ」

「うぐぅ……」


 アレシアの一言がトドメになったのか、みんながその場に膝を突いてしまった。でも本当に自覚した方がいいと思う。リフィルから見てもわりと怖いことが多かったから。

 けれど。もらった服はとてもいいもの。これには素直に感謝だ。


「ありがとう」

「いえいえ。それで私たちを忘れないでね……!」

「できるだけはやく、わすれたい」

「おぐぅ……」


 正直言えば、多分忘れられないのだけど。それぐらい衝撃的だったから。

 そうして服をもらった後は、町の門へ。入ってきた時とは逆側の門だ。リフィルの旅は、ここからまた続いていく。

 門で待っていたのは、もちろんレスターだった。


「本当はもう少し魔法を見せてほしいのだがな……」

「あきらめて」

「分かっている」


 レスターの作る魔道具には興味があるけど、ずっとここにいるわけにはいかないから。それよりも早く、結界を繋げないといけない。目指せ国一周!


「リフィルの結界は国を覆うのではなく、道を作るようなもの、で間違い無いな?」

「うん」

「なら、その道に縛られなくても交易できるように、結界の魔道具を作るよ」


 交易。その発想はリフィルにはなかった。確かにこの町だけでも、たくさんの村や町に道が延びてるのは聞いてる。一本の道だと、それは難しくなると思う。

 リフィルの道に頼らなくても、結界と結界の間を通れるように……。そのための、魔道具。それはとても大切だと思う。


「がんばってね。おうえん、する」

「ああ。期待してくれ。俺は天才だからな!」


 そう言って、レスターはにやりと笑った。




 レスターとミントに手を振って、リフィルとアレシア、レオンは町を後にした。ぺたぺた、てくてく。次の町へと結界の道を作りながら歩いていく。


「次はどんな村かな? 町かな?」

「おにくたべたい」

「アイテム袋にいっぱい入ってるよね……?」


 それはもちろんだけれど、美味しく焼いた料理が食べたいだけ。


「リフィルちゃんは食いしん坊だね」

「たべるのは、すき」

「にゃうにゃう!」

「食いしん坊コンビだ……」


 食べるのは幸せ。間違い無い。

 そんな話をしながらのんびり歩いていたら、ふわりとカラスが舞い降りてきた。アレシアが不思議そうにしているけれど、リフィルはそのカラスが何なのか分かった。


「魔女さん」


 そう呼んでみると、カラスはぐにゃりと形を変えた。とても見慣れた姿。最初にお世話になった魔女さんだ。でも、いつもの魔女さんとちょっと違う。多分、魔女さんは本人じゃない。


「こんにちは、リフィル」

「魔女さん、どうしたの?」

「んー……。ちょっと野暮用で近くに、ね。軽く釘を刺しにきたというか、でも思っていたよりも相手が強くて緊張したとか……」

「……?」

「まあ、気にしなくてもいいわ」


 そう言って魔女さんは苦笑い。


「アレシアも、元気そうで良かった」

「い、いえ……。あの……。はい……」


 何故かアレシアはとっても緊張してる。そういえば、アレシアは一度魔女さんと会っているらしいけど……。どんな話をしたんだろう?


「リフィル」

「なに?」

「旅は……大丈夫? その、帰ってきたりとか……」

「だいじょぶ。たのしい」

「ふふ……。うん。そっか。分かってたけど、ね」


 魔女さんはそう言って、またカラスの姿に戻ってしまった。そのままどこかに飛んでいってしまう。多分、使い魔なんだと思う。使い魔を通してお話し、とか?


「レオンも……できる?」

「に。にゃうー」


 無茶言うな、と言われた気がする。できたらきっと便利で……。


「そうでもない?」

「にゃう?」


 うん。やっぱり意味ないかも。レオンはもふもふでないといけない。もふもふがいい。


「もふもふ」

「にゃあ……?」

「どうしたの?」


 不思議そうにしている二人に何でもないと返して、リフィルはまた歩き始めた。


   ・・・・・


壁|w・)また次の町へ、なのです。

次話はレスターのその後をちょろちょろっと。


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― 新着の感想 ―
>どこ触ってるんだ! ななななななんと?!いけませんそんな破廉恥な!おまわりさん呼びましょう! …そうかお針子さん達に混じれば…いやなんでもない
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