表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ少女の壁作り ~聖女に捨てられ魔物があふれた国で、もふもふと一緒に結界を作ります~  作者: 龍翠
第二話 宿屋の人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/62

02-09

 ほわあ、とそんな綺麗なお花畑を夢中になって眺めていたら、アレシアが小さく笑ったのに気が付いた。ちょっとだけ顔が赤くなってしまう。


「ほらほら、座って」

「ん……」


 アレシアに促されて、ぺたんと座る。アレシアも向かい側に座って、お花をいくつか取って何か作り始めた。お花の茎を器用に折り曲げたりして、お花を繋げていって……。


「完成。どうかな?」


 花冠。リフィルの頭にぴったりのサイズ。


「わあ……!」


 受け取って、しげしげと眺める。すごい。とてもすごい。とても綺麗。リフィルは花冠を持ち上げたりひっくり返したりしながら感動している。とてもすごい。

 あの村にいた頃、あの子も友だちと一緒に作っていたもの。あの子の中から見ていて、こういうものがあるのは知っていたけど……。実物を見ると、なんだかとってもすごい。


「そんなに気に入ってもらえるなんて思わなかったなあ」


 小さく笑いながら、アレシアが花冠をリフィルの頭の上に載せてくる。リフィルからは見えなくなってしまったけど……。どうなんだろう? 似合っているのかな?

 自分でも見てみたい、とちょっと思っていたら、レオンがちょこちょこ走って戻ってきた。リフィルを見て、その頭の花冠を見て、目を丸くして驚いてる。

 そして、ぺふぺふと小さな前足でリフィルの足を叩いてきた。


「ん……。レオン?」

「にゃう!」

「にあってる?」

「にゃあ!」


 うんうんと頷くレオンに、リフィルはちょっとだけ嬉しくなった。


「アレシア」

「どうしたの?」

「わたしも……つくってみたい」

「うん!」


 確か、あの子は花冠をたくさん作っていたはず。さすがにぼんやりと見ていただけだから作り方までははっきり覚えていない。それがとても残念だけど……。アレシアに教われば、きっと作れるはず。

 アレシアが花冠を作る様子を観察しながら、リフィルも手を動かしていった。


「…………」


 そんな二人を、レオンは遠くを見るように目を細めて眺めていた。




 お昼ご飯はジュリアから受け取ったお弁当に、ジャムのおばあさんからアレシアがもらったお弁当。ジュリアのお弁当はお肉とお野菜をたっぷり挟んだサンドイッチに、おばあさんのお弁当はお肉を焼いて香草で巻いたものだった。

 どっちもとっても美味しそう。お弁当を開けた二人は、わあ、と知らず感嘆の声を漏らしていた。


「リフィルちゃん、半分こしよう?」

「うん」


 アレシアのお弁当も美味しそうだなって思ってしまっていたので、それはとても嬉しい提案だ。もしかしたらそれを見越していたのか、どっちのお弁当も分けやすいものになっていたから。

 レオンにサンドイッチと香草巻きを一個ずつ渡す。にゃうにゃうお礼を言って、もぐもぐ食べ始める。今日もレオンはかわいいもふもふだ。


「な、撫でてもいいかな?」


 アレシアがそう言うと、サンドイッチを器用に前足で支えて食べていたレオンが顔を上げた。ごろんとその場に横になって、どうぞ、とばかりにお腹を見せる。サービス精神旺盛だ。

 リフィルが撫でたくなった時もこうしてお腹を見せてくれるから、ちゃんと分かってやっているんだと思う。魅惑のもふもふ。


「わあ……。ふわふわだ……」


 レオンのお腹を撫で回して、アレシアもご満悦だ。相棒が褒められたみたいで、とても嬉しい。

 リフィルもサンドイッチを食べる。何かのソースが塗られているのか、不思議な酸味のあるサンドイッチになっているけど……。美味しい。

 香草焼きも肉汁たっぷりで美味しかった。なんだかとっても幸せな気持ち。

 はふう、と息を漏らせば、アレシアがくすくすと笑った。


「美味しそうに食べるね」

「おいしいから」

「うん……。あそこの村の人は、みんな優しいよね……」


 それはリフィルも同意見だ。魔女さんは旅の心得としてあまり人を信じすぎないようにと言っていたこともあるけど、こうして村で生活しているとみんながとっても優しくて。

 魔女さんでも間違うことがあるんだなって思ってしまった。


「わたしね……。あの村の生まれじゃないの」

「そうなの?」

「うん。森で迷子になっていたところ、おばあちゃんに拾ってもらって……。いろいろと教えてもらったんだ」


 おばあちゃんがいなくなっても、一人で生きていけるように。ジャムの作り方、だけじゃなくて。もっとたくさんのものを教えてもらってる、らしい。


「でも、誰かがいなくなるのなんて、もう考えたくもなかったから……。だから、おばあちゃん以外とは会わないようにしてたのに……」


 アレシアがじっとリフィルのことを見つめてくる。怒ってる、様子ではないけど、何か言いたそうに見える。


「リフィルちゃんのせいだよ?」

「うん?」

「あは。なんでもない」

「うあー」


 むにむにとアレシアがリフィルの頬を撫で回してきて、とってもくすぐったい。だからリフィルも仕返しをするのだ。アレシアの頬をむにむに。二人でむにむに。


「にゃにゃ」


 うんうんとばかりに頷いているレオン。ちょっぴり腹が立ったので、アレシアと二人でレオンのお腹を撫で回しておいた。うりうり。


壁|w・)仲良しむにむにうりうり。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
レオン、そこ代われ(^^)
レオンになって挟まれたい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ