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五十話 独壇場

 私の言葉を聞いた母が、一瞬焦ったような表情をしながら口を開く。


「ちょっと、アイリスったら、何を言って……!」


 しかし、そんな制止では噂好きな貴婦人達の好奇心を止めることはできない。

 案の定、貴婦人達は興味津々な様子で次々と口を開いた。


「まぁ、夫人から直接お話ししてくださるのですか!?」

「お二人は大変仲睦まじい夫婦だと評判ですから、どうやってあの『黒薔薇公爵』を射止めたのか、お聞きしたかったのです」

「それに、レインフォード伯爵夫人のお話と違う点というのも気になりますわ!」


 予想通り、こうなってしまったらもう話を止めることなんてできない。


 顔を歪めて私を見ている母には気付かないフリをして、私は笑顔で話を続けた。


「えぇ、ぜひお話しさせていただきたく存じます。ですが……立ったままお話を聞くのは皆様もお疲れになるでしょうから、中央のテーブルに座りませんか?」


 私がそう提案すると、貴婦人達は感心したように笑ってくれた。


「グレンウィル公爵夫人は高貴なお方ですのに……私のような子爵夫人にも気遣いをしてくださるのですね」

「お気になさらないでください。素晴らしいのは私ではなく、夫であるグレンウィル公爵ですもの」


 子爵夫人だというその女性は、私の言葉が余程嬉しかったのか、感激したように目に涙を浮かべて微笑んだ。


 私が一番大きなテーブルに着席をすると、貴婦人達も次々に空いている席へ座っていく。


 最後に、母も悔しそうな顔で席に着いた。




 ____さぁ、粛清の時間よ。

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