第百八十四話 女戦士の休息
阿久良忍――――
180センチを超える長身と筋肉質でムッチリとしたグラマラス体形で、大人しく内向的な性格にも関わらず凄い存在感のある女子だ。
金剛の呪力という、体を鋼鉄のように強靭にしたり、身体能力を何十倍にも向上させる、最強のパワーと最速のスピードを併せ持つ肉弾戦最強の戦士である。
凄まじい瞬発力から音速を超えるスピードで攻撃を放ち、瞬時に目標を粉砕する様はまさにファンタジー世界の女戦士のようだ。
彼女が本気を出したら、誰であろうと瞬殺されてしまうだろう。
今回は、そんな忍の物語である。
「春近くんから誘ってくれるなんて嬉しいな。うふふっ♡」
忍は上機嫌で道を歩いている。
春近からデートに誘われ、昨夜から心が弾んでフワフワしっぱなしだ。
もう、テンションが上がり過ぎて『ドッカァァァーン!』となっちゃいそうなくらいに、色々と想いが溢れ出そうになってしまっている。
実は無尽蔵なくらいに次から次へと春近への想いが溢れ出ているのだ。
毎晩のように春近を思い一人で悶々としているのだが全く鎮まる気配も無く、今もカラダの芯をムラムラと情欲の炎が燃え続けていた。
ううっ……どうしよう……凄いカラダが火照っちゃってる――
昨日あんなに一人でしたのに……
春近くんはエッチな子は嫌いじゃないって言ってくれたけど、デート始めたばかりでこんなエッチなことばかり考えている彼女なんてきっと嫌だよね……
もうっ、こんな自分が嫌になる……エッチな子でごめんなさい……
そんなことを考えながら歩く忍だが、春近の方も似たようなことを考えている。
春近は、夏で薄着になって体の線がモロに出ている忍の姿に見惚れてしまっていた。
忍さん――
ジーンズの大きなお尻が揺れて凄いぜっ!
薄っすらと下着の線が出ているのがセクシー過ぎる。
ああっ、パッツパツに盛り上がったジーンズの尻がエッチ過ぎておかしくなってしまいそうだ。
上のTシャツも何かピチピチになっていて、凄くグッとくるものがあるぜ。
実はこの春近という男――――
二次元キャラでは小さくて可愛らしいヒロインを好きな男が多いオタク界隈で、長身キャラが大好きな男なのだ。
勿論小さく可愛いキャラも好きなのだが、長身女戦士のようなヒロインにフェチ心を燃やすちょっとヘンタイさんなのだ。
部屋の本棚の奥には、女戦士ヒルドという強そうな長身ヒロインが色々しちゃう薄い本を大量に持っていた。
くううっ、女性をエロい目でばかり見ては失礼なのは分かっているのだが、どうしてもあのムチムチな長身とパツパツなお尻が俺を狂わせるっ!
忍さん、エロい目でばかり見てごめん!
この二人、デート序盤からお互いにエロいことばかり考えている似た者カップルだった。
二人は映画館の前でチケット買う為に列に並ぶ。
ちょうど公開して初の土曜日らしく、長蛇の列になってしまっていた。
春近は横の忍に声をかけた。
「凄い人気みたいだね」
「はい、でも楽しみですね」
「忍さんが喜んでくれて嬉しいよ」
「わ、私も春近君と一緒で……う、うれ……きゃっ♡」
二人で仲良く並んでいるところに、後ろから二人を揶揄するような噂話が聞こえてきた。
「ちょっと、前の子すっごいデカい。ヤバっ!」
「おい、聞こえちゃうだろ。マジでデカい女だけどさ」
「やだ、ちょーウケるんですけど。カレシとあんなに身長差があるとエッチの時に大変じゃね?」
「それな! 俺じゃ選ばねえわ」
後ろのカップルの無神経で無遠慮な会話に、忍は一瞬で悲しそうな顔になり俯いてしまう。
春近は自分の彼女を侮辱された怒りで、後ろを振り向きカップルを睨んだ。
「ちょっと、あんたら失礼だろ!」
「うっ……すみません……」
「ご、ごめん……なさい」
そんな反応が返ってくるとは予想していなかったカップルは、春近の迫力に怖気づいて逃げて行った。
昔の春近だったら黙って愛想笑いでも浮かべていたのかもしれないが、今の春近には大事な彼女がいて守るべき大切な存在となっているのだ。
大好きな彼女をバカにされて黙っていられるはずもなかった。
それに、ルリたちと付き合い始めてから、春近の体が鍛えられたかのように少しずつ強くなっているのだ。街の陽キャたちから受ける印象も少し変わっているのかもしれない。
忍が元気を無くしてしまったので、二人は映画を諦めてベンチで座って休んでいた。
「ごめんなさい……私のせいで……」
「そんな、忍さんは何も悪くない」
「でも……私のせいで春近くんにも迷惑を……」
春近と出会ってから少しずつ自信を持てていた忍だったが、無神経な陽キャカップルからの暴言で再び自己肯定感が下がってしまったようだ。
春近くんが私を庇ってくれたのは凄く嬉しかった――
でも、私と一緒だと春近くんにまで嫌な思いをさせてしまう……
春近くんと付き合ってからは、少しだけ自信を持てて自分のことを好きになれそうな気がしたのに……
やっぱり私は……
ガシッ!
その時、春近が忍の肩をガッシリと掴んで正面から真っ直ぐに目を見つめた。
「いいですか忍さん、オレは忍さんの背が高い所も含めて大好きなんですよ。あんな何処の誰だか知らない他人の意見なんでどうでもいい。忍さんは凄く可愛いしスタイルも最高なんです! たとえ世界中の男が何を言おうが、オレだけは忍さんは最高に可愛いと思うし大好きなんですから。それだけは覚えていてよ」
「うっ、うううっ、わあああああぁぁーっ」
忍は大泣きして春近に抱きつく。
もう全身全霊で抱きつくように凄い勢いで。
春近は完全に忍の大きな体で絞め込まれてしまっている。
「忍……さん、く、苦しい……」
――――――――
「忍さん、落ち着きました?」
「はい……」
忍は春近に抱っこされナデナデされている。
忍の方が大きいので少し変な体勢になっているが、もう完全に忍が蕩けてしまっていて危険な状態だ。
春近は、この状態を知ってか知らずか、頭をナデナデしたりカラダを触ったりして刺激しまくっていた。
うううっ、ああっ、春近くん――
カッコよく私を守ってくれて……
あんな情熱的な告白までしてくれて……
それで……こんな……エッチにカラダを触られたら、もう我慢できないよ。
あっ……っ♡ 次から次へと溢れて……
もう、ダメぇ♡
「この後どうしようか、映画は始まっちゃってるからカラオケでも……」
ガッシッ!
春近の問い掛けに、忍は無言のままか体全体で答えている。
「へっ?」
「…………せん」
忍が恥ずかしそうな顔で何かを呟く。
「えっ?」
「もう、我慢できませんっ! 今、春近くんと二人っきりになったら襲っちゃいます! 私をこんなにした春近くんが悪いんですよ! 責任とってもらいますから!」
「えええええっ!」
完全に興奮しきってしまった忍とホテルの門をくぐった。
もうエッチに前のめりで速足になってしまっている忍に引きずられるように。
「忍さん、じゃあシャワーでも……って、んんっ、ちゅっ、んんんっーーっ!」
「ちゅっ、はむっ、ちゅぱっ……春近くん♡ 好きぃ♡ ちゅっ、大好きっ♡ ちゅっ♡」
忍は、部屋に入るなり神速のスピードで春近に迫り、とびきり濃厚なキスをしてくる。
そんなキスは誰もかわすことなど不可能だろう。
ズサッ!
春近は一瞬の隙を突き距離をとり、戦闘態勢に入った。
「オレも最近は何か知らんが鍛えられてきたんだ。忍さんのエッチな攻めにも耐えてみせるぜっ!」
春近はテレビで観た柔道の技のように、忍の腕を掴んで抵抗しようとする。
「甘いですっ!」
忍の体術で春近は簡単にベッドの上にひっくり返され、そのまま寝技のように押さえ込まれてしまう。
ガッチリと動けないように極められ、忍の大きくてムッチリしたカラダに乗られてしまい、春近は完全に戦意喪失してしまった。
「えっ、あの……忍さん?」
「はあっ、はあっ、春近くん……今日は、もう手加減できそうにありません……全部春近くんが悪いんですよ……すっごいコトになっちゃいそうです」
「は? はああ?」
「ふふふっ、今日は、すっごいエッチなお仕置きしちゃいますからねっ! 覚悟して下さいね! もう、泣いても許してあげませんっ!」
春近は思い出した。
一番エッチで要注意なのは忍だったことに。
普段は大人しくて優しい忍が、エッチの時だけSっぽくなってしまうことに。
だが、時すでに遅しだった。
彼女の大きなカラダが顔の上に降りてくる。
すっごいエッチなお仕置きの始まりだった。
※すっごくエッチすぎて自主規制です……
――――――――
溜まりに溜まった忍のドロドロした情欲が爆発し、色々と限界になった春近がぐったりとして彼女に抱かれている。
余りにも凄かったので、春近も途中のお仕置き部分は記憶が飛んでいた。
「ほんとごめんなさい……また私、暴走しちゃって……」
「忍さん……さすがにあれは……」
「わああああああっ! 本当に、ごめんなさいっ! やり過ぎました」
「凄いよ忍さん……」
めっちゃエッチな忍さんが、我に返ると恥ずかしがるのは面白いな――
「ふふっ……」
「何で笑ってるんですか? やっぱり……」
「忍さんみたいな彼女がいて、オレは幸せだと思っただんだよ」
「本当ですか?」
「でも、ちょっと、エロ過ぎな気も……」
「もうっ、春近くんっ!」
何だかんだ言ってもお似合いな二人だった。
もう、周囲の心無い雑音も届かないくらい、二人はラブラブになってしまったのかもしれない。




