異世界人
領主様の館で行われた俺と治癒士達、といってもほとんどがザリアン氏とのやりとりではあったが、その会の結果、俺の教本の買い取りは認められるが、その条件として俺はスキル:最適化について分かったことがあれば、詰所のアレフさんを通して館に情報を届け、更にはザリアン氏の弟子である若い治癒士のゴルさんが不定期で診療所を訪れる、いわば抜き打ち視察をする事を俺は呑み、そのまま進行役のゴルさんが閉めの挨拶に入った。
「それでは以上で会並びにユーイチ・ミヤシタ様と我ら治癒士の意見交換を終わらせていただきます。本日はお忙しい中お集りいただきありがとうございました」
その挨拶と共に治癒士達が順次解散していき、俺はどうしたらいいか、使用人長のバンさんとメイドさん達に聞こうと思ったが、意外な人物が声をかけてくる。
「すまぬが、少し話がしたい。よろしいか」
「え?自分にですか?」
「今私が声をかけているのはお前以外におらんではないか」
俺に声をかけてきたのは治癒士長のザリアン氏であり、更にゴルさんにも声をかける。
「ゴル、私はこの者に少し話がある。館の外で待っていてくれ」
「はっ!」
そういうとゴルさんはその場から姿を消し、更には領主様にもザリアン氏は話しかける。
「領主様、この者と少し話がしたいので、あちらのお部屋をお借りしても構いませぬか?」
「良かろう、だがミヤシタ殿は形式上とはいえ我が客人だあまり時間を取らせるな」
「承知いたしました」
こうして俺とザリアン氏は別室に移動し、入室するとまずザリアン氏が口を開いた。
「まずはユーイチ・ミヤシタよお前の事だが……」
「自分の事ですか?」
「お前はこの国の者どころかこの世界の人間ではない、そうだな?」
「何故そう思われたんですか?」
俺が疑問に思うのは当然だ、何故なら俺が異世界人と知っているのはミミとミーザの2人だけ、しかも2人共初見では気付かなかったにも関わらず、この人はどういうわけか一連のやりとりからそう感じたようだし、理由は知りたい。
「実はゴルにも黙っていたが、お前が鉄の塊に声をかけている際に、ゴルには鉄の塊を注視している間に私はお前自身の魔力を探っていたのだ」
「まさか、それでですか?」
「その際に分かったが、お前にはスキルの種が体内に存在しない事が分かった」
スキルの種⁉前にミーザが言っていた傭兵ギルドで与えられたやつか、その存在の有無が俺を異世界人だと断定したのか一体何故なんだ?




