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優れた治癒士

リハビリの教本の原稿を作成し印刷を終え、完成した教本をアレフさんに領主様の元に届けてもらったが、後日、アレフさんより詰所まで呼ばれた俺が聞かされたのは領主様が俺を館に呼ぼうとしている事だった。


 本をただ買い取るだけならわざわざ俺を館に呼ぶはずはない。俺はアレフさんに理由を聞いてみた。


「何故、俺を館に呼ぶ必要があるんですか?ただ本を買い取っていただこうと思っただけなのに」

「実は領主様は買い取る相談をお抱えの治癒士達に相談したのだ、そこで特に興味を持たれた方がいたのだ」

「興味を持たれた方?」

「コーロの治癒士の長であるザリアン殿が君から詳しい話を聞きたいという要望があったと聞いている」


 ザリアン?治癒士の長?いったい誰なんだ?


「ザリアン殿はこのコーロにおいて最も優れた治癒士であり、若い治癒士からはかなり敬愛され、教えを請うものが多いのだ」

「コーロにおいて最も優れた治癒士っていっても、俺はその人の名前を今初めて知りましたよ」

「ミヤシタ殿、治癒士は幼き頃より国の専門機関で教育を受け、その教育課程を履修した者しかなれない職であり、基本的には貴族や王族に仕えるのだ」

「そうなんですか!」


 治癒士っていわれる人はやっぱり俺のいた日本でいう医師のような存在だったか、でも待てよ確か平民の治療はミミがしているけど、あれはどうなんだ?


「ミミが平民の治療をしているのは聖女見習いの活動としてと言ってましたが、それは違うんですか?」

「ミミ殿はマカマカ教団に聖女見習いとして所属しているからな基本的に平民の治療は教会に所属している者が担うのだ」


 そういう棲み分けができているんだな、身分制の社会だとあるんだな、まてよ確かミーザのお母さんが言ってたな、治癒士に依頼するには金がかかるって、せっかくだしこの話も聞いてみるか。


「前にボッズで契約した傭兵のお母さんが言ってたんですが、治癒士に依頼すると金がかかると、もしかして平民の依頼を受けて活動する治癒士もいるんですか?」

「まれだが、王族や貴族に仕えず、平民と契約する治癒士もいるがほとんどは豪商、つまり資産を多く持つ商人なのだ」


 技術の安売りはしたくないって考えか、そういった連中はともかく、ザリアンって人は何か考えがあるかもしれないな。


「そうだ、領主様がおっしゃっていたがザリアン殿が教本や君の知識に満足いかなければ教本は買い取らないと」


 なんだって!コーロで最も優れた治癒士を俺の力で認めさせないといけないのか、それは大変だな。

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