命名!診療所
午後の診療も何とか終えて、今朝にミーザが気にしていたあれをそろそろ決めるとするか。
「さあ、みんな今から診療所の名前を決める話し合いをするか」
「そういえば朝にそんな話をしていたよね」
「それじゃあ早速決めましょうか」
ミミの言葉に全員が椅子に座り、いよいよ俺達の診療所の命名会議が開始される。
とりあえずみんなに数枚紙を配ると全員が考え出す、さあ、どういうものがでるか楽しみだな。
「はい」
「はい、ミミさん、どうぞ」
「私が考えた診療所の名前はこちらです」
「なになに、『マカマカ様に癒されて』」
マカマカ?なんかよく分かんないから意味を聞いてみるか。
「ミミ、このマカマカってなんだ?」
「マカマカ様は私達が信仰する治癒の神様なんです、きっと診療所にもピッタリですよ」
「うーーん、悪くはないけど、この街の人にはかえって恐れ多くならないか」
「ダメですか、いいと思ったんですけどね」
聖女見習いのミミらしいとは思ったけど、ここは王都から遠い地方だし、なるべく馴染みやすい名前のほうがいいだろうな。
「はい」
「はい、ミーザさん、どうぞ」
「あたしの方が馴染みやすい名前だよ」
「なになに、『痛いの治っていい気分』」
これは名前というかキャッチコピーみたいじゃないか。それもどちらかというと温泉やスーパー銭湯に使われそうなキャッチコピーだ。
「ミーザ、これは名前と言うより文章を羅列したものだな」
「そうなの、ん?ユーイチもよく見たらなんか書いてるじゃん。見せてよ」
「あ、ちょっと待て実はまだ途中で」
「『クリニック』?これってどういう意味?」
見られたか、とりあえずただ書いただけなのを仕方ない説明するか。
「ああ、実はこれ診療所って意味なんだけどな」
「要するにユーイチは診療所を言い換えて名前をつけようと思っていたって事?あたし達の事言えないじゃん」
「待てよ、普通はクリニックに名前を付け足すんだ」
「要するにクリニックに何てつけようか悩んでいたって事?」
ミーザにそう言われて、俺はクリニックには個人名や場合によっては診療科、要するに何の専門をしているかを説明するとミミが思いついたかのように言葉を発する。
「それではユーイチ様、ユーイチ様のお名前とリハビリをそのクリニックに付け加えるのはいかがですか?」
「リハビリはともかく、俺の名前もつけていいのか?」
「ユーイチ様が始められたのですから、ユーイチ様のお名前を前に出した方が分かりやすいと思いますよ」
「うん、あたしも賛成だ。ミミは見習い聖女だし、あたしは傭兵なんだからユーイチの名前がいいと思うよ」
2人にそう言われ、俺が考えた名前はこれだ。
「見てくれ、これでいいか?」
「『ミヤシタ・リハビリ・クリニック』、うんいいんじゃない」
「私もいいと思います」
とりあえず申請しなくちゃだけど、俺達の診療所は『ミヤシタ・リハビリ・クリニック』だ。




