スキル：隠密（ステルス）

　お婆さんの往診が終了した事をパン屋で働いている孫のユーリ君に報告した俺は診療所までの帰りにミミと合流し、共に診療所まで戻っていくが、診療所の前が騒がしい。まさかミーザに何かあったのか⁉

　心配になった俺達は急いで診療所まで戻るが、そこで俺は意外な人物を目の当たりにする。

「あ！お前はあの時の⁉」

　俺が目にしたのは留守の時に空き巣に入っていた奴の1人で兵士に拘束されていた。そしてもう1人の奴も診療所内から別の兵士に連行されて行くのを確認した。

「あいつも……これは一体？」

　今一つ状況が呑み込めない俺達に兵士の人が声をかける。

「ミヤシタ殿、ミミ殿、以前貴殿らの診療所に侵入したのはこの者達で間違いないのだな？」

「はい、まさかあなた方がこいつらを？」

「いや、我々は通報を受け駆け付けただけだ。来たら彼女がこの者らを捕縛していたのだ」

「彼女？」

　兵士が促した先を見るとミーザの姿を確認し、俺とミミは駆け寄ってミーザの身を案じる。

「ミーザ！無事だったか！良かった！」

「ミーザさん！ご無事で何よりです！」

「お、落ち着きなって2人共、あたしが単なるコソ泥にやられるわけないだろ」

「確かにそうだな、ミーザは戦いのプロだもんな」

　ミミや俺が治療やリハビリのプロならミーザは戦いのプロだからな、コソ泥程度にやられるわけはないがやっぱり仲間が傷一つないのは安心する。

「協力感謝する！我らはこの者らをひとまず拘留しておく。また貴殿らにも事情を聴きにくるかもしれんがその時は協力を頼む」

「あ、はい分かりました。ありがとうございます」

　俺が礼の言葉を言い、ミミとミーザも兵士に対して頭を下げると兵士は空き巣達を連行していく。

「だけどミーザ、どうやってあいつらを捕まえたんだ？ミーザはあいつらの顔を知らないはずだし、ここに人がいると分かっていたらあいつらが侵入するようには思えないんだが」

「実はさあたし、気配を消すスキルを習得しているんだよ」

「気配を消すスキル？」

「そ、隠密(ステルス)っていって、発動させると周囲はあたしを認識できなくなるんだ」

　まさかミーザもスキルを保持していたなんてな、傭兵よりスパイか忍者でもやってた方が稼げるんじゃないのか

「だけどこれは相手を攻撃しようとすると効果が切れるスキルなんだ。まあ、姿を見せたらあっという間にのせたけどね」

　ミミが魔法を習得し、俺やミーザはスキルを習得している。そういえばスキルという言葉に疑問を感じていた人が今考えたらいなかったから、一定の確率で習得する事がこの世界ではあるかもしれないな。