同時進行治療
午前の診療は比較的緩やかな患者の流れであり、俺もミミもミーザに少しづつ治療の仕方を丁寧に説明できていた。
「もう少しで午前の診療は終わる時間ですね」
「そうだな、ミーザ、前に説明したと思うけど、午後の診療は夕方からだから俺とミミは治療とリハビリの往診にその時間まで出るからその間の留守は頼むぞ」
「もちろんだよ、っていうかその為にあたしを雇ったんだろ」
「ははは、そうだったな」
このまま何事もなく午前の診療が終わろうとすると何者かが駆け込むように現れた。
2人がかりでケガ人を運んでくるが、そのケガ人が明らかに足をやられており重傷なのを一目で理解すると共に、ミミが運んでいるもう1人のケガも指摘する。
「あなたも腕をケガしています、一緒に治療しましょう」
「ああ、分かった」
俺達は2人の治療に移ろうとするが、更に患者がこの診療所に駆け込んでくる。小さい女の子を母親が連れてきて俺達に呼びかけてくる。
「すいません、うちの子が近くの葉っぱで遊んでいたら手を切って血が止まらないんです」
「えーーーん!えーーーん!」
この状況に少し戸惑っているのか、ミーザが俺に尋ねる。
「ど、どうしようユーイチ、こんなにたくさんのケガ人どうするの」
ミミと目くばせをして俺は今の状況から判断した事を伝える。
「ミーザ、俺とミミはこの足の大ケガした人と腕のケガの治療と後遺症除去をする。ミーザはその間、何とか止血だけでも頼む」
「あ、あたしが……」
「大丈夫です、元々ミーザさんは傭兵経験で止血は上手いはずです。後は傷薬を使ってあげてください」
「わ、わかった。任せて」
小さい子供の手当てをミーザに任せて俺達は2人の治療にあたる。
「それじゃあまずは頼むぞミミ」
「はい、治癒の精よ、我が声を聞き、我が望みに応えよ」
まずは足を大ケガしている人の治療だ、治療自体には成功したが足は動くか確認してみた。
「あの、足は動きますか?」
「ダメだ動かねえ、ケガは治ったのによ」
「それならお任せください!最適化!」
これで、足は動くはずだが、一応確認してみる。
「動きますか?」
「おお動くぜ、助かった!」
何とか治療とリハビリが上手くいくとミミが俺にもう1人の状況も報告する。
「ユーイチ様、もう1人の方も治療は終わりました、一応手は動くとおっしゃっているんですが」
念の為、照射診断を使うか。
「申し訳ありません、少しこれで腕を調べさせてもらえますか?」
「ああ、良く分かんないが頼むぜ」
照射診断で腕を撮り画像を見てみるが異常はなさそうだ。
「大丈夫です、腕に異常は見られません」
「そ、そっか。良かった」
さて、ミーザの方はどうかな?




