魔力量
診療所に戻って来るやいなや、右腕と左足に後遺症が残った患者がいて、同時除去に何とか成功し、男達は俺に礼の言葉を述べるとそのまま診療所をあとにし、男達が見えなくなったタイミングでミミが俺に声をかける。
「あの、ユーイチ様、ミーザさんの新しいお家は見つかったんですか?」
「ああ、彼女もお母さんもその家を気に入っているし、ダンカンさんにお願いして元部下達に荷物の運搬とかを手伝ってもらう事になった」
「それはミーザさんも助かりますよ」
現在のミーザの状況を説明し終えると俺達は午後の診療を開始する。
ここで少し感じたが、一気に2回分のスキル発動は少し疲れるな。何て言うか100メートル走を全力で走ったあんな感じがする。
少し休めばもう1回できなくはないが、この方法はあまり多用しない方がいいかもしれない。だが今後も必要になるかもしれないし、診療が一旦一区切りしたからその間にミミに尋ねてみる。
「なあ、ミミ、ちょっといいか?」
「はい、何でしょうか?」
「少し思ったんだけど、魔力量ってさ、その増やすにはどうすればいいかって分かるか?」
俺の質問に一瞬きょとんとするが、少し考えてミミは返答をしてくれた。
「いくつか方法はありますが、まずは単純に魔法、ユーイチ様の場合はスキルですが使用する事で魔力そのものを鍛える方法ですね」
筋力と同じような考えだな、使って鍛える。まあ当たり前の事だが、このスキル自体そもそも対象者がいないと使用できないし、使用による魔力の鍛錬は俺には難しそうだな。
「他にも魔導具があれば消費魔力量を抑えたり、それによって通常より魔力量を高めたりすることができますよ」
アイテム装備か、そっちの方が現実的だが、そこは予算との相談だな。
「ありがとう、ミミ。俺が途中で倒れるわけにはいかないし、色々考えてみるよ」
「いえ、ユーイチ様がいらっしゃらないと私ではどうしようもないこともありますからね」
「そうか、ところで治療の方は大丈夫だったと思うが、申請書類とかの方は大丈夫だったか?」
「とりあえず、誰にどのような治療をしたかだけはここにメモを残しましたので、正式な書類作成はユーイチ様にお願いします」
慣れない事務的な事をミミなりに頑張ってくれたか、メモを読む感じ、これだけの情報があれば申請書類は作れそうだな。
「ありがとう、また後で作るからあとは治療に専念してくれ」
「はい、でもいつかは私1人でも作れるように頑張ります」
少しづつだが新しい仕事を率先して覚えてくれるミミには何かで報いてあげたいな。そう考えながら午後の診療時刻が終わりを迎えようとしていた。




