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亡き父の思い

俺はミーザさんのお母さんもボッズからキッコへ移り住む事を提案し、最初はお母さんも戸惑っていたが、ミーザさんの話を聞いて、逆にミーザさんがキッコに住み続けるのが良いのではないかと話しだす。


「どういう事だよおっ母?契約期間はともかく、それを過ぎればボッズに戻るつもりだよ」

「あんたが傭兵をやって、ボッズに居続けているのってさおっ父の代わりにあたしを守ろうと思ったからなんじゃないのかい?」

「え、そ、それは……」


 お母さんの発言にミーザさんは戸惑っているが、お母さんは更に話を続ける。


「おっ父はよくあんたに剣やいろんな武器の使い方を仕込んで、鍛えていたのは覚えているかい」

「ああ、おっ父があたしを傭兵として鍛えたかったからだろう」

「違うよ、あの人はあんたに身を守れる位には強くなったら、他の平和な街で過ごして欲しかったんだよ」

「え?どういう事、それって?」


 ミーザさんのお父さんはミーザさんに他の街で過ごして欲しかったのか、しかし傭兵の街で生まれたミーザさんに傭兵をして欲しくなかったのか。


「あんたは小さい頃からとても優しい子で自分より小さい子とかの面倒をよく見たりしていたじゃないか」

「うん」

「それであの人はあんたには傭兵をさせてはいけないと思ったけど、それでもいきなり小さいあんたを1人で他の街に行かすのは不安があった。だからあんたが自分で稼げる年までは鍛えて自分を守れるようになってもらいたかったんだけど……」

「その話をする前におっ父は病気で死んじまったね。でもそれならどうして早く教えてくれなかったの?」


 ミーザさんの疑問はもっともだ、傭兵の街で小さい頃から鍛えられて、それも理由を言わなかったら、自然と自分も傭兵になるものだと考えても無理はない。


「小さい時にいつかこの街を出ろなんて言われたら、ショックを受けるじゃないか。結構あんた気は強いわりに泣き虫な所もあったしさ」

「ちょ、言わないでよ。この人達の前で言われると恥ずかしいよ」

「これから最低でも6ヶ月も一緒に働くんだろう、少しは本当のあんたも知ってもらった方がいいんじゃないの」

「え、ええ……」


 ここに来てお母さんのペースで話が進んでいる。病気する前もこんな感じだったんだろうなと想像しやすいな。


「それにこの人達は6ヶ月も契約してくれるだけじゃなく、あたし達の事情も考えてくれるし、働きながらあんたがどうするかを決めてもいいんじゃないのかい?」

「それはおっ母もそうだよ、キッコの街が住みやすそうならおっ母も住み続ければいいと思うよ」


 何とかうまく話しがまとまりそうだな。

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