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移住の提案

 何とかスマホの新機能とスキルの効果でミーザさんのお母さんの後遺症を取り除くことには成功したが、やはり長い寝たきり生活で少し身体の機能は低下しており、これにはリハビリが必要だと感じた俺はまずミーザさんに声をかける。


「ミーザさん、お母さんにはさっきミミが言ったようなリハビリ、訓練メニューが必要だ」

「やり方さえ教えてもらえばあとはおっ母1人でも大丈夫だと思うよ。少し心配だけどここまでしてくれたあんたらとは契約するよ」

「契約はしてもいいが、離れる位ならお母さんも一緒にキッコに移り住むのはどうだ?」

「え⁉」


 俺の提案にミーザさんは戸惑っており、俺は更に具体的な説明を始める。


「まずは俺がリハビリの手本を見せる、幸いお母さんは筋力と体力の低下はあるようだが少しのリハビリでどうにかなりそうだしな」

「でも、それだけならあたしが少しだけついてやるよ」

「それだけじゃない、さっき治療代の話をしたのは覚えているな」

「ああ、もちろんちゃんと払うよ」


 ここで俺はミーザさんに治療代の支払い方法の話をする。


「その治療代だが、最初からミーザさんの報酬から引いて6ヶ月で完済させる計算でいたんだ」

「それとおっ母もキッコに移り住むのには何か関係があるの?」

「その報酬じゃさすがに2拠点での生活は厳しい可能性がある。キッコからボッズに送金するにしても手数料はかかるし、それならキッコに移って2人で暮らしたほうが少しは楽なんじゃないのか」

「どうしてそこまであたし達にしてくれるの?」


 ミーザさんが俺に問いかけると代わりにミミが答える。


「ミーザさん、ユーイチ様はお2人を引き離すのがしのびなく思っているんですよ。これからミーザさんと一緒に働くなら、ミーザさんに何の心配もして欲しくないとも思っているんです」


 ミミの言葉を聞いて、ミーザさんは俺の方を向き直して語り始める。


「なんか、あんた変わってるね。今までの依頼人はあたし達傭兵の事情なんかしったこっちゃないって感じだったのに」

「何ていうのかな、俺は形式上はあんたの依頼人なんだけど、俺個人は一緒に働く仲間として接したいと思っているからさ」

「仲間……」

「そう、俺達は役割が違うだけだと思うんだ。ミミは治療、俺はリハビリや事務的な事、そしてミーザさんは俺達の診療所を悪い奴から守る。みんながそれぞれの役割を果たせればいいのかなって思うだけだよ」


 ミーザさんにはただ、俺達ができない事をやってもらいたい。そして一緒に働くなら余計な心配は減らしたいからな。

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