照射診断
俺とミミは傭兵の街ボッズで出会った傭兵ミーザさんの話を聞き、彼女のお母さんの治療をすることにした。
ミーザさんは俺達の示した契約条件に良い食いつきを見せたが、お母さんの事が気になり、長くボッズを離れる事が不安だったようだ。
その不安解消の為に今俺達はミーザさんの家にいて、お母さんの治療に臨もうとしていた。
「その前に聞いていいかい、シンリョウショってやつはよく分かんないけど、キッコの街で働いているあんたらがなんでここにわざわざ来たんだい?」
「詳しい事情は後に話しますが、私達は傭兵を雇う必要があったのです、そして私達の示す条件にミーザさんが興味をもってくれたんです」
「ミーザが?」
「ですが、ミーザさんはお母さまの事が気になり、ボッズを離れられないとおっしゃっていました。ですからこうやって治療に赴きました」
そして、ミーザさんが俺の話を補足するように説明を始めた。
「あのね、この人は6ヶ月も契約してくれて、報酬も月払いにしてくれるって言ってくれたんだ。おっ母の病気が治ってこの人と契約すれば少しは生活が楽になると思ってさ」
「ミーザ、あんた……」
ミーザさんとお母さんがやり取りをしている中、俺はミミに声をかける。
「ミミ、治療を頼む」
「はい」
そう言うとミミはミーザさんのお母さんに近づいて、呪文の詠唱を始める。
「治癒の精よ、我が声を聞き、我が望みに応えよ」
ミミが呪文の詠唱を終えるとミミの手から眩い光が出て、お母さんに放たれる。
そしてその光が消えるとミーザさんがお母さんに声をかける。
「おっ母、調子はどう?苦しくない⁉」
「不思議だよ、一瞬で楽になったよ。まだ少し息を整えるのは時間がかかりそうだけどね」
今の言葉を聞いて俺の予測通りと確信した。やはりケガの時と同じで内臓の病気そのものを治しても内臓に残る後遺症は取り除けないんだな。
多分、肺に後遺症が残ったとは思うが、俺は医師じゃないから正確な診断ができないし、どうしたものか?
俺がどうするか考えていると、突如スマホに久々の通知が来た!新スキルか?それとも新機能か?そう考えながら俺はスマホの液晶を確認する。
『おめでとうございます!新機能:照射診断が追加されました』
ここに来て新機能か、さてとスクロールして使い方を見るか。
『アイコンを押すとカメラモードに切り替わりますので、撮影アイコンを押すと読み込み後、診断画像が出ますので、後遺症除去にご利用ください』
医師免許のない俺にこの機能は心強いな。早速試すとするか!
今回出てきたスキル名はあくまでもレントゲン撮影がどのように行われるかを元に考えた造語ですので、ご注意ください。
レントゲンを一応日本語表記にするとX線撮影と呼ばれております。




