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傭兵ギルドへ向かう途中で

ボッズの街の窓口担当者であるウォーカーさんはキッコの街にいるアレフさんと騎士学校の同期で、そのウォーカーさんからアレフさんは騎士学校を首席で卒業したという話を聞いた。あの人とんでもない人なんだな、理学療法士の学校をそこそこの成績で卒業した俺にとっちゃあなんとも羨ましい人だよ。


 そして、アレフさんに関する話を一旦打ち切り、ウォーカーさんが本題へと修正してくれた。


「おっと、今はアレフの話じゃなくて傭兵を雇う話だな」

「はい、とりあえず自分達が所用で出かけることが増えると思いますので雇うのは1人で十分ですね」

「なるほどな、だが傭兵はもちろん金の為にやっている連中が多いが、血の気も多い奴が多い、単なる留守番だけで満足する奴がいるかどうか」


 なるほど、金の為だけでなく、戦いそのものを求める奴もいるのか。そんな奴に留守番お願いしますじゃかえってストレスが溜まるかもな。


 だけど、キッコの街は比較的安全な街だし、その手の事とは無縁そうだ。


 それに俺はその傭兵を1日、2日とだけではなく、長期にわたって雇いたいからな。なんとかキッコのあの雰囲気になじんで欲しい。


「まあ、とりあえず傭兵ギルドに行ってみろ、あんたらが示す条件でいいっていう奴がくるかもしれないからな」

「ありがとうございます、ウォーカーさん」

「街を出る時はまたここに来い。その傭兵のキッコへの移住手続きが必要になるしな」

「分かりました、その時はお願いします」


 そして俺達は詰所を出て、傭兵ギルドに向かう事とする。ウォーカーさんから渡された地図に沿いながら歩いている途中でミミが俺に声をかける。


「あの、ユーイチ様……」

「どうしたんだ、ミミ?」

「もし、この街のどの傭兵さんも私達が出す条件と合わなければどうするおつもりなんですか?」

「一応、ここに来る前も考えてはいたけど、その場合は今までのようにどちらかが残るしかないし、往診の活動を制限するしかないかなと思っている」


 俺が、往診の制限をする必要性も視野に入れた発言をするとミミは俺に対し疑問を投げかける。


「ユーイチ様、きっとあのおばあ様だけではなく、他にもユーイチ様のお力を必要な方はいらっしゃると思いますよ、それでよろしいんですか?」

「だけどミミ、ミミはともかく俺はあの診療所がある事で今の活動が認められているんだ、診療所が守れないとなれば、結局は俺はキッコでリハビリの活動をする事ができなくなってしまう」

「確かにそうですが……」

「まあ、あくまで最終手段って事だよ。1人くらいキッコに合う人がいると信じよう」


 もちろん、俺だって簡単にはあきらめない。条件で飛びつかなければ売り込みをしてみせる!

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