ウォーカーとの会話
ボッズの街にたどり着いた俺とミミは、門番に案内されてそのまま、キッコの街にもあった詰所のような建物に案内された。そこの責任者はどうもアレフさんを知っているようであり、その責任者が最初に口を開く。
「自己紹介がまだだったな、俺はウォーカー、この街の窓口担当者だ」
「初めまして、自分はキッコの街でリハビリの診療所を開いているユーイチ・ミヤシタと申します」
「私は聖女見習いのミミと申します。ユーイチ・ミヤシタ様の診療所で治療を担当しています」
「ああ、まずそのリハビリや診療所について説明してくれるか、聞いたことがない言葉だからな」
このウォーカーという人に促されて、まず俺は自分がこの世界で得たスキル最適化について説明する。ややこしそうなので俺が異世界から転移した事はとりあえず一旦ふせ、リハビリの意味や診療所を開設した経緯を事細かに説明する。
「確かに治癒魔法で怪我を治しても身体が動かないという話はよく聞くが、あんたのスキルがその後遺症ってやつを取り除いて動けるようになるんだな」
「はい、長期にわたって動けなかった人にはリハビリという、訓練メニューのようなものが必要になります」
「それで、そんなスキルを持っていながらわざわざ、この傭兵の街に来たのはどういう事なんだ?」
「はい、実は……」
今度は俺は診療所の留守中に泥棒に入られた事を説明する。その際にアレフさんより傭兵を雇う事を勧められた事も全て話した。
「ああ、アレフに一言文句言ってやりたいが、あいつも領主様より与えられた人員と予算でどうにかあの街を守っているからな」
「あの、ウォーカーさんでしたっけ?」
「おお、どうした?」
「さっきから発言を聞くとウォーカーさんはアレフさんの事をよく知っているようですがお知り合いなんですか?」
俺の問いに、少しほくそ笑みながらウォーカーさんは返答をする。
「知り合いも何も俺とアレフは同じ騎士学校の同期生だ」
「騎士学校⁉そういうのがあるんですね」
「王都にあって、この国に生まれた騎士の家系の子供はみんなそこで剣術や戦術、騎士道を学ぶ」
そりゃあ魔物がいる世界だし、自衛の為にそんな学校は必要だよな。
「最近じゃあ、このように街の運営も任されるから算術やあらゆる国、地域の言語も学ぶんだ。俺はそのへんは結構苦手でな」
「そうなんですか」
「ここだけの話、アレフはその騎士学校を首席で卒業しているんだ、まったく何て奴だ」
アレフさん、俺が思った以上にすごい人のようだ。




