診療初日
診療所兼俺の自宅で俺とミミは朝食を終え、いよいよ診療所を開け、診療を開始する。と言っても、さすがに少し朝が早いのか、まだだれも来ず、少し待つこととする。
待っている間に俺はミミに気になった事があったので少し聞いてみた。
「そういえばミミが俺と会っていない間に治療している人で、後遺症みたいなのが残っている人はいなかったか?」
「いえ、少なくとも私が治療していた人にはいませんでしたよ」
「そうか、さっきも話したがこっちから往診する必要がある人の所にも赴いた方がいいな」
「それって、アレフ様に聞きに行ってからしようと思っている事ですよね」
ミミがそう言うと、俺は更に別の方法も頭の中で考え付いたからそれを伝える。
「もちろんそうするつもりだが、こうやって診療所を開いている以上、依頼があれば赴くべきだと俺は思うな」
「確かに、私もご家族の方にご依頼されて赴きましたからね」
「それとは別で動けない人を把握している必要はあるけどな」
俺とミミが話をしていると、扉をノックする音が聞こえる。
「俺が出る」
そう言って俺は扉を開ける、そこにいたのは母親と小さな男の子であったので、とりあえず診療所の中に入ってもらい、話を聞く。
「それで、今日はどうされました?」
「この子が転んで、すりむいて怪我をしましたので、治していただけますか」
ああ、膝と肘を思い切りすりむいているなあ、とりあえずこれはミミに任せよう。
「まずは魔法で軽く傷口を浄化しますので、その上から包帯を巻きますね。最低でも昼くらいまではつけてあげてください」
そう言ってミミは魔法で本当に傷口に存在する悪い菌のみを浄化し、子供の膝と肘に包帯を巻いてあげていた。
俺が初めて見たのが大怪我のダンカンさんを魔法で怪我の全てを治したからそう思い込んでいただけだが全ての治療に魔法を適用させるわけではないんだな。
人間には自己治癒力があるという事は俺も習ったし、どうやらこの世界でもその考えに沿った治療を行い、命の関わる怪我や病気には魔法を使用するんだな。
そんな事を考えているとミミの治療は終わり、俺は子供の手足を念の為確認するがどうやら後遺症はないようだ。
今回は俺の出る幕はなしっていったところだな。
「ありがとうございました」
「ありがとう」
そう言って親子は診療所から去っていった。初日はまだ始まったばかりだしまだまだ気は抜けないな。




