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狙撃の種は、緑の風穴を開けるのか


 ⋯⋯グリーンから一方的に連絡が入る。またフロートに浮気したらしい。


「マロンチャイクリームフロート甘〜い、うま〜い、さいこーーっ」


 ⋯⋯などと叫んだかどうかは知らない。コーラは未遂でもマロンは証拠を自分からあげていたので事実だ。いや事件だ。


 グリーンの発信は本部へ繋がっていて、いつでもチェックされる仕様。各方面から一斉に非難の通知が来ても知らんよ。


 グリーンがようやくヒョウリュウブルーの中の人に、違和感を覚えたようだ。知らなければ幸せだったのかもしれない。大事な記憶(メモリー)が、上書きされない事を祈るばかりだよ。


「悔しいーー腹立つーーッ!!」 


 チェリー嬢がたちまち機嫌を損ねた。地団駄を踏むレアなチェリー嬢も美しい。てっぺんに栗がいたのなら戦えたからなのかな。情熱的なチェリー嬢のダンスに対して、マロン嬢は渋皮な舞。私もモンブランの頂に、栗があると嬉しい派だ。


 よそよそしさの消えたチェリー嬢は、クールさを増すサファイア様と対照的に太陽のフレアのように熱く輝く。


 グリーンがアップルに(うわ)つかれた夜、彼女は密かに泣いた。相思相愛だと信じていた彼女は、ダークチェリーになりかけた過去がある。(短編 パープルシャドウはブラックアメジストを愉しむ 参照)


 彼女が強気に情熱的に見えるのは、流した涙がそうさせているだけなのかもしれない。憎しみが昇華する前に、薪を焚べるグリーンが悪いよね。


「アイツ⋯⋯フロート派に媚びたうえに‥‥ノーテッペン運動に鞍替えするなんてユルサナイヨ」


 おっと、そっちか。あと黒い影が見えてるよチェリー嬢。ユラユラと怒りの炎の輝きが集まる。輝く太陽のようなチェリー嬢にも黒点があるのだろうか。これではチェリー・ボム・アトミックが開発され、グリーンごとみんなが吹き飛ぶ未来に進んでしまうではないか。


「サファイア様、踊りましょう!」


「レッド⋯⋯あなた頭にアミーゴでも沸いてるのかしら」


 そうは言いつつ私の意図を察してダンスに応じてくれるサファイア様。アロハ〜なフラダンス歴一年半の我が舞を見よ、チェリー嬢‥‥そしてマロン嬢。伊達に年配の方に混じってユラユラしてないぞ。


「やるじゃない、レッド。でもサファイア様のお手を取る必要あった?」


 チェリー嬢がダンスに刺激され正気に戻る。あと目がマジでキレてますって。


「高くつくわよ?」


 キランと輝くサファイア様の瞳。吸い込まれそうな美しい青空のような紺碧の海のようなブルーがいたずらに輝く。参ったな⋯⋯サファイア様も素敵過ぎて眩しいばかりだ。


 代償は高くついた。グリーン払いで割り勘とはいえ、スペシャルなサファイア様の指名料金。チェリー嬢が私の萌えキュンの倍と言い張るので、十倍払ってやる(割り勘)と格好つけた。調子に乗った罰には、さらに調子に乗る。レッドとしての悲しい性だ。


「うちはぼったくりではないの。だから三倍(割り勘)でいいわ」

 

 チェリー嬢が店員モードに戻った。しっかり三倍分の仕事はしてくれたので、良しとしよ──キュン♪

 

 ◇


 グリーンが「悩み」と「告白」 と称して手記を公開した。神父様への懺悔⋯⋯独白のつもりだが、通信機により全国展開しているからね。


「ちょーしょうもなかったな。神父さん改宗させるし」


 私の努力は無駄だった。シルバーの用意した逆踏み絵を、躊躇いなく踏むグリーン。罠にハマった猪のように猪突猛進して、泥沼へ突撃する。


「私達の創造神様にも、アップルパイにも罪はないの。グリーンをクリーニングする必要あるわね」


 全てはグリーンのせい。グリーン自身が認めた事で、サファイア様は嬉しそうに呟く。泥沼に落ちても汚れを落としてあげる意味なら良いなぁ。サファイア様の汚物は消毒だぁーーっは見たくない。


「神父さま、辛抱しすぎよ。私ならチェリーライフルで、グリーンの脳天にチェリーの種をしこたまぶちこんでるわ! トドメはチェリー・ボムで跡形もなく消し去るよ!」


 チェリー嬢はどこからかチェリーライフル(レッド・バロン)を取り出すと、ヒョウリュウジャーの隊員募集ポスターに向け発砲した。チェリーの種弾は見事にイメージキャラクターを務めるグリーンの額を撃ち抜いた。


 見た目はチェリーの枝色をした、お祭りにありそうな射的のライフル。速射と貫通のチェリーの種型弾と、チェリー・ボムを撃ち込めるようだ。


 セーラー服と機関銃のように、踊り娘衣装にチェリーライフル[レッド・バロン]が様になる。


「⋯⋯って、チェリー嬢、そんな武器どこから?」


「幻邏神様がチェリーレッドに支給予定の武器を、私がもらっただけよ」


「ボムはともかく、そんな話‥‥聞いてないぞ?」


「当たり前じゃない。聞いてないもの」


 チェリー嬢と、話が噛み合わない。いやこれって、例のおねだりか。多忙なんだぞ、あの方は。お米やポッポとの戦いをこなし、天の川でクリームソーダ世界の旗作りを日々こなしがてら、グリーンの魔改造を行わねばならない。


「レッド、神々に無理をさせては駄目よ?」


 サファイア様が言うと説得力がある⋯⋯わけない。実装はともかく、設定集にサファイア様の特技にブルーインパクト(サファイア様のオーラ)と、チェリー嬢の武装にチェリーライフル[レッドバロン]等を加えてもらいたい。私はグリーンへの文書を認め、送った。


 後日グリーンが頭痛を発症したようだ。しかし安心してほしい。エメラルド様の要望で、チェリーの種弾は、チェリーのグミ弾に入れ替えておいたから。

 お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
チェリー嬢とサファイア様の武装度合いがどんどんグレードアップされてくる。 がんばれ、グリーン!(←免罪符)
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