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同好の士

『無能の悪童王子は生き残りたい』第3巻が4月12日発売!


あとがきもぜひご覧くださいませ!!!

 やあ、ハロルドだ。

 昨日は色々と騒がしい一日だったが、今日の僕はとても爽やかで気分がいい。


 何故かって?

 彼……黄元璋がお詫びの印として譲ってくれた例のアレが、想像以上のクオリティだったからだよ。


 おかげで昨夜は、思いのほか(はかど)ってしまった。


「ねえねえモニカ。ハル、なんだかいつもと雰囲気違わない?」

「どうやら超絶優秀美人メイドであるこの私が用意したあれやそれが、ハロルド殿下の心を鷲づかみにしたのでしょう。これは今夜も色々と準備いたしませんと」


 キャスとモニカが何か言っているが、一切気にしない。

 それよりも。


「む……おお! これはこれはハロルド殿下! よくぞ参られた!」


 僕は王立学院に来るなり元璋のいる教室へと赴くと、彼が笑顔で出迎えてくれた。

 ただ、元璋は(こと)(ほか)声が大きいため、教室にいる他の生徒達が何事かとこちらを見ているよ。


 といっても、元璋が睨んだら顔を伏せたりそそくさといなくなったりしたけど。ちょっと威嚇し過ぎだと思うが、これはこれで好都合だ。


「元璋殿下が譲ってくれた、あの本……最高だった。そのお礼と言っては何だが、これを……」


 そう言って差し出したのは、僕の秘蔵のコレクションの一つ。

 有名絵師が描いた、至高の薄い本である。


 もはや今さらなので多くは語らないが、『エンゲージ・ハザード』の世界でも同人誌という概念が存在しており、毎年夏と冬の二回、王都で世界最大規模のイベントが開催されていた。

 この薄い本も、そこで並んで入手したものだ。


「おお……! この絵師は、まさかあの……!」

「元璋殿下もご存知だったか。そう……あの有名壁サー『meee』のものだ」


 この男、見た目こそは屈強で傍若無人な振る舞いをする野蛮人だが、僕と同類……いや、同志だったようだ。

 同性の友人としてロイドやユリがいるが、そもそもロイドは残念イケメンとはいえ『ガルハザ』の攻略対象の一人。ユリに至っては、むしろ女子と言っても過言ではない。


 つまり、僕の趣味嗜好を理解してくれる同好の士はいない。


 だが!


「元璋殿下。実は他にも、コレクションを所有している。その……もし望むのなら、見せてやらなくもない」

「おお! 誠であるか! ならば余も、秘蔵の逸品をお見せしようぞ!」


 僕と元璋は互いに右手を差し出し、力強く握手を交わす。

 今の僕は、百万の大軍を得たような気分だ。


 だというのに。


「「「…………………………」」」


 僕と元璋の様子を(うかが)っていたサンドラ、モニカ、淑恵の瞳がとても冷ややかに感じるのは気のせいだろうか。


 ◇


「ハロルド! これを見よ!」

「な……っ!? それはあのサークル『エフ杉』の……!」


 その日の授業を終え、僕は元璋を部屋に招き、互いに秘蔵のコレクションを見せ合っていた。

 やはりこの男、かなりの二次元好きのようで、そのコレクションも相当なものだった。というか、蔡帝国は遥か東方にあるというのに、どうやって入手したのだろうか。


 ちなみに、こうやって素性が知れた今、僕達は下手に(かしこ)まることもなく、敬語や敬称など使わずに互いの名を呼び合っている。というか同志に対し、そのほうがむしろ失礼だ。


「くくく……今夜は眠れそうにないな」

「ああ、違いない」


 僕と元璋は顔を見合わせ、含み笑いをする。

 (はた)からは、僕達は間違いなく悪役ムーブをしているように見えることだろう。


 その証拠に。


「「「「…………………………」」」」


 モニカ、キャス、淑恵の三人はあからさまに引いているし、サンドラに至っては思いきり頬を膨らませていた。薄い本に嫉妬するサンドラ可愛い。


「それにしても、元璋はどうして王立学院に留学……なんて、聞くまでもないな」

「お主の考えたとおりよ。ここに来れば、夏と冬のビッグイベントに参加できるが故。……一度、帝国でもイベントを開こうと企画したこともあったのだが、さすがに遠すぎるということで、打診をかけても壁サーはおろか普通のサークルも参加せぬ」


 唇を噛み、悔しそうにうつむく元璋。

 それだけ二次元に懸ける思いが強いということなのだろう。


「……本当に、あの時は大変でした。殿下の我儘(わがまま)に付き合わされ、絵師なる者に自ら交渉に行くと仰せられた時には、さすがの拙者も肝を冷やしました」

「なるほど。淑恵様もご苦労なされているのですね……」


 向こうは向こうで、淑恵とモニカがしみじみと頷き合っている。言っておくが、僕はモニカに言うほど迷惑をかけた覚えはない。いや、むしろいつも揶揄われて迷惑をかけられているほうだからな。


「むうううう……私のハル様を……っ」


 ……サンドラはサンドラで、元璋に嫉妬するのはやめような。

 そもそも、どうして張り合う必要がある。


 まあ、とりあえず周囲は置いといて。


「……なあ、元璋。君は王立学院へ留学する際、何も問題はなかったのか?」


 僕はずっと気になっていたことを、おもむろに尋ねた。

お読みいただき、ありがとうございました!

第3巻発売記念として、4話構成で特別編を更新していきます!(2話目!)


このたび、『無能の悪童王子は生き残りたい』第3巻が、GA文庫様から本日発売!

お見かけの際は、ぜひお手に取ってくださいませ!


3巻では『エンハザ』の舞台となる王立学院編へ突入!

乙女ゲーム版『エンハザ』の主人公、肉食女子のリリアナが大暴れ!

そしてそして、ハロルドの前世でどうしても勝てなかった、ユーザーランキング1位の影も……!

全編書き下ろしの第3巻、どうぞお見逃しなく!!!


また、メロンブックス様で特典SSがあるほか、電子書籍版は3巻だけでなく1・2巻にも特典SSが!

まとめ買いして一気読みのチャンスです!


しつこいようですが、『無能の悪童王子は生き残りたい』第3巻は4月12日発売!

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どうか……どうか、本屋でお見かけの際は、お手に取ってお買い上げくださいませ!!!

何卒よろしくお願いします!!! お願いします!!!

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▼8/19に書籍第1巻が発売します! よろしくお願いします!▼

【余命一年の公爵子息は、旅をしたい】
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