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親友が仲間に加わりました。

「約束しただろ? 『そんな運命、この僕がぶち壊してやる』って」


 そう言って、僕はユリを抱きしめた。


「あ……あは……そ、そんな約束、いつしたっていうのさ……」


 ユリは顔を引きつらせて笑い、声を絞り出してそんな悪態を吐く。

 でも、彼は肩を震わせていて、涙声で、(すが)るような瞳で。


「確かにしたよ。魔塔から王都へ帰る途中、僕は君の膝枕の上で」

「え……?」


 まあ、ユリはあの時のことを寝言だと思っていただろうからね。ちょっとしてやったりな気分だ。


「そういうことだから、ユリはただ最後まで見守ってくれるだけでいい。その()とやらのせいで僕達の味方をできないことも分かってる。だから」


 僕はユリの瞳を見つめ、口の端を持ち上げると。


「僕がきっと、運命を……いや、“ナカノヒト”を、この世界から消去してみせる」

「あ……あああ……あああああああああああああああ……っ!」


 そう告げた僕の胸で、ユリが声を上げて泣いた。


 ◇


「あはは、落ち着いた?」


 あれから五分くらい経っただろうか。

 まだ少しぐずっているものの、ユリはようやく泣き止んだ。


「じゃあそういうことだから、今すぐ僕をサンドラ達のところに帰してくれ」


 ユリによってサンドラ達とエイバル王との戦いが映し出された映像を睨みつけ、僕はお願いする。


 サンドラとモニカ、それに『ガルハザ』の主人公であるリリアナの活躍もあり、今のところ戦況は五分五分だけど、このままだと劣勢に追い込まれてしまうことは明らかだ。

 何より、僕がいないことでサンドラの表情は暗く、動きも精彩を欠いている。


「グス……で、でも、もしハル君がアイツ(・・・)の手で消されたりしたら……」

「それは絶対にないから安心しろ。というか、そんなことができるならとっくにしているだろ」


 僕はユリを安心させるため、彼の小さな背中を撫でて笑顔で告げた。


「だけど……それでも……」

「ああもう! もしそんなことになりそうだったら、その時は今みたいにユリがこの空間に連れてくればいいだろ! とにかく、サンドラ達がいなければ“ナカノヒト”を倒すこともできなくなってしまう!」


 ユリはキュ、と唇を噛み、うつむく。

 そんな彼の両肩をつかみ、僕は詰め寄った。


「ユリ!」

「……絶対に約束して。私の目の前から消えたりしないって」

「! ああ! 約束する!」

「ん……」


 納得はしていないものの、ようやく折れたユリが両手をかざすと。


「っ!? ハル様!」

「ハロルド殿下!」

「ハルさん!」

「ハル!」


 エイバル王と戦っていたみんなが、突然現れた僕を見た。


「話は後だよ! 今はエイバル王を倒すことに集中するんだ! キャス!」

「任せてよ!」


 『漆黒盾キャスパリーグ』に変身したキャスを携え、僕はみんなの前に立つ。

 みんなを守るのは、この僕の役目だ。


「ふふ……ふふふ……! ハル様がお(そば)にいてくだされば、私に倒せない者などおりません! こうして私のもとに戻ってきてくださったお祝いに、エイバル王の首を捧げましょう!」

「お嬢様、その役目はぜひともこのモニカめに」


 真紅の瞳を爛々(らんらん)と輝かせ、サンドラは口の端を吊り上げる。

 見ればモニカも、これでもかというほど満面の笑みを浮かべていた。


「ほらほらどうしました? このままではあなたの首が胴体から離れるのは時間の問題ですよ?」

「ぐう……っ!?」


 サンドラが『バルムンク』をによる強烈な一撃を打ち込み、かろうじて盾で受け止めたもののエイバルは顔を(ゆが)めた。

 【ウェポンマスター】のスキルだかなんだか知らないけど、それくらいで僕の(・・)サンドラに勝てると思ったら大間違いだよ。


「後ろが(おろそ)かです。……ああ、この鎧があるからと安心しているのですね。ならばその鎧、この私が消して(・・・)差し上げ(・・・・)ましょう(・・・・)

「なっ!?」


 モニカが触れたその時、『黄金鎧カヴァーチャ』は一瞬にして消え去ってしまった。

 い、今のは一体……。


「……彼女もノルズの民の末裔。だから私達と同じ能力が使えて当然だよ」

「ユリ!?」


 いつの間にかユリが、僕の隣にいた。

 表情はどこか暗いものの、そのアメジストの瞳には先程までのように壊れた様子はなく、力強い輝きが宿っている。


「ハル君が私を助けてくれるんでしょ? だったら隣で守ってよ」

「ああ! 任せてよ!」


 どこか照れた様子のユリに、僕は満面の笑みで頷いた。


「お嬢様、今です」

「さあ……くたばりなさい」

「っ!? が……は……っ」


 サンドラの無情の一撃はエイバル王の胴体を貫き、そのまま真っ二つに分断された。

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