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神殺し

 俺は知ってる……まぁ、シューダさんが教えてくれたんだけど。アースクがどこにいるか...それは地面の下だ!

 でもどうやって下に行くかだよな。それにどれぐらい下にいるか全く分からないし、この剣で掘れって言うのもおかしいしな…


「どうやって下に行こうか…」

「スコップなんてここにはないですからね」


 どうしようかと悩んでいるとき、また脳内にあの声が聞こえた。



スキル 土竜(もぐら)を習得しました



 モグラ…?モグラってあれだよな?地面を掘るやつだよな?でもモグラなんかで……あっ!地面を掘る!丁度いいじゃん!


「どうかしましたか?」

「いや、新しいスキルを習得したらしくて」

「そのスキルなら、アースクに近づけれますか?」


 出来るよな?このスキルであいつをボッコボコにしてやる!

 行くぜ…スキル 土竜もぐら



スキル 土竜もぐらを発動します



 スキルを発動した瞬間、俺とシューダさんの手にモグラの爪の様な物が光として付いた。意外とデカいな。でもこれなら行ける!俺の直感がそう言ってる。


「おらおら!どんどん掘るぜー!」

「レルアさん!?」


 このスキルは周囲の人にも反映されるんだな。シューダさんにも俺と同じやつ付いてたし。

 地面の中は暗い、そして寒い。目の前が暗いから先が見えない。けどアースクの方には近づいている気がする。

 そして、掘り続けているとかすかに変な音が聞こえてくる。ゴゴゴという音だ。多分アースクが地面を動かしている音だと思う。

 ドゴッ!


「痛って!」


 まさかアースクの攻撃か?地面の中から攻撃してきた!ドリル状ではなさそうだが、まるでハンマーで殴られたかのようだ。それにさっきより重く、痛い。暗闇の中から何かが俺を攻撃してくる。何も見えないし、音もうるさい。どこから来るか分からない。足や腹、身体全体を何かが殴る。


「くっ…」


 俺はその痛みに耐えつつも掘り続けた……あれ?さっきまで感じてたオーラが…?

 オーラを感じてた方に進んでいたが、今は全く感じない。どこに行ったんだ?地中だから、小回りも効かない。あいつ…まさか地中を移動している!?

 さすが神様。到底、人間には出来ないことをやり遂げる。


「クソ…どこに行った?」

「馬鹿め。我の範囲に自ら入るなど、自分の首を絞めていないか?」


 舐めやがって…

 いつもなら、ここで俺は考えなしに掘り続け、体力を無くす。そこをあいつに攻撃され、殺される。

 考えろ、あいつに近づくにはどうする?オーラを感知しても、あいつは地中を自由に移動できる。それも俺の移動速度を超えて。


「ん?なんだここ?」


 なんか変な通路に出た。それに俺の体力もそろそろ限界だ。一度地上に戻るか?でも体力がギリ残るか…

 あいつは今、攻撃する事と移動する事を考えていると思う。なら、その答えにならない行動をすればいいんだ!

 俺は一旦地上に戻った。


「はぁ、はぁ…」

「レ、レルアさん?大丈夫ですか?」

「あいつを追うために地中を掘ってたんですけど、あいつは地中を移動してて全く追いつかないんです」


 シューダさんも一緒に探してもらおう。挟み撃ちすればあいつを倒せる気がする!


「今まで掘ってたんですか?」

「はい…」

「あの…アースクが地中を移動しているなら、アースクもレルアさんと同じように地中を掘ってると言うことになります。ならアースクが掘った後を走って追えばいいのでは……?」

「でも、なんか変な通路に出たんですよ!」

「えっ…と」


 へ?


「え?」

「ですから、その通路がアースクが移動している跡ですよね?それを追えば体力の消耗も抑えつつ、アースクに近づけますよね…?」


 シューダさんは少し困惑した顔をしている。俺は最初、シューダさんの言っていることがよく分からなかった。


「あっ…」


 俺は顔を一気に赤らめた。俺が掘ってた時間は一体なんだったのか。すっごい恥ずかしい…


「アースクを追います…か?」

「あっ、はい…」


 ダッセェ!俺、今すっごいダセェ。シューダさんにかっこいい所見せたかったのに…!だって、あんな綺麗な人を前にしたら誰でもカッコつけたくなるって!

 シューダさんに普通の正解を言われてなんも言い返せなかった。でもその方が体力もあまり使わず近づけるし、地中を掘らなくてもいい。


「これがアースクが掘った後です」

「追いましょう!」


 俺とシューダさんはアースクが移動した後を追う。その時、後ろから何か揺れを感じた。後ろを振り返ると地面が波のように押し寄せてきた。あれに飲み込まれたらやばい!でも俺は走りに自信はないし、さっきので体力を結構使ってしまった。多分だが、このまま走っているとあれに飲み込まれる。


「レルアさん!」


 シューダさんが俺をお姫様抱っこした。いきなりのことすぎて、声すら出なかった。シューダさんは俺を抱くと一気に加速した。うん、俺惚れた。シューダさん大好きだわ。


「好きだ…」

「こっちの方が早いと思いまして…え?今何か言いましたか?」

「っ!!な、なんでもないです!それより俺、重くないですか?」

「はい、大丈夫ですよ」


 俺より身長が高い女性にお姫様抱っこなんか初めてされた……

 シューダさんが走っていると先に何か人影が見えた。まさか、あれがアースクか?神様だからもっとデカいと思ってたけど、普通だな。


「ふっ。男が女に抱かれているなどとは…笑わせるな」

「黙れ、シューダさんがしてくれたんだ」

「私たちは完全にあいつの攻撃範囲に入っています。攻撃の速度も何から何までさっきよりも強いです。注意してください」


 その瞬間、アースクからの攻撃が来た。くっ!速すぎる!さっきまでとは全然違う。速いそしてでかい。ドリル状の攻撃だけでなく、上から叩きつけてくる攻撃なども、飛んできている。まるで弾幕ゲームみたいだ。一回でも当たったら死ぬな…油断大敵ってやつだな。

 壁や天井が波打っている。それも地上にいた時以上に立ちづらい。


「すばしっこい。これならどうだ」

「そんなの効かねぇよ!それがお前の本気か?」

「口を開くな。今すぐに殺してやる。スキル 磊磊らいらい


 キーーンっと甲高い音が響き渡る。耳が痛い。それに目の前が少し霞む。耳を塞いでも聞こえてくる。鼓膜がイカれそうだ。


「うぅ…」


 シューダさんも耐えれず、耳を塞いだ。俺は地面に落ちた。


「人間如きが、我に勝てると思ってるのか?」

「レ、レルアさん!後ろから!」


 クソっ!早くこいつを殺さないと!こいつ、まさかこのまま圧死させる気か!?いや、待て……そうだ!

 さっきもらった土竜でここを抜け出されるんじゃないのか?俺は土竜で部屋を抜け出した。シューダさんも間に合ったようだ。良かった…

 でも危なかった。それにまだ耳が痛い。マジで死ぬかと思った…


「馬鹿め。どこへ逃げても無駄だ、我の前に散れ」


 アースクが俺たちに近づいてきた。


「あぁ、馬鹿だよ。でもな俺だって頑張ってるんだよ」


 俺は馬鹿で一人じゃ何も出来ない。でも今は俺にはシューダさんがいる!


「行け、シューダさん!」


 俺はある事を狙っていた。それはアースクが俺だけに集中し、シューダさんを忘れさせる事だ。そしてシューダさんをアースクの後ろへ行かせ、背後を突く。

 だが、その作戦は無意味だった。


「なるほど、自分を囮にし、もう一人を我の後ろに行かせるという作戦だったのか」


 マジかよ…シューダさんの剣がアースクまで届いてない。ガンッという音が響いた。アースクは地面を盛り上げ、剣を止めていた。


「くっ…」


 シューダさんの剣が震えている。両手で剣を押し込んでいるがビクともしていない。どうしたらあいつに勝てるんだ?動けないシューダさんの後ろから、ドリル状の地面が形成された。


「やめろぉぉー!!」

「邪魔をするな」


 アースクに距離を詰めるが、攻撃が俺の方にも来る。潜るか?いや、もうその時間はない!やられる!

 だが、アースクの攻撃は俺の前で砕けた。何が起こったんだ?身体には傷ひとつない。でも確実にアースクの攻撃は俺の顔面へ向かってきた。


「もしかして、このスキルで?」


 スキル 土竜は地面を掘るもの。アースクの攻撃方法は地面や土。俺は無意識に顔の前に腕を持ってきていた。つまりスキル 土竜でアースクの攻撃を防ぐ事ができる。剣なんて使わなくてもこいつに勝てる!


「そのスキルが我の攻撃を無効化したのか」

「ビビったか?」

「笑われるな」


 俺は土竜でアースクを攻撃しようとした。だが、神はそう簡単には攻撃できない…というより、触れることすら出来ない。

 アースクは何かオーラを放った。土竜の爪はガラスのように割れて消えた。


「土竜が消えた!?」

「スキルなど神にかかれば、ただの物理攻撃と変わらない」


 いや、一瞬消えただけだ。もう一度土竜を使えば……使えない?まるで記憶の中から「土竜」という言葉が消えたように、言うことが聞かない。

 このままでは、殺される!神はこんなに強いのか!?

 アースクは地面で俺を壁に拘束した。土竜があれば……


「見掛け倒しか、つまらんな」

「意味わかんねぇ言葉喋ってんじゃねぇ!」


 何か…何かないのか!?土竜以外でこの拘束を壊す方法が!……そうだ!確かこのスキルがあったはず!アースクはさっきのオーラを放ってない。この隙にあのスキルを!


「スキル デストロイ」


 このスキルは持っている武器に"常時発動"しているだけであり、俺自身には常時発動していない。俺は身体中にスキル デストロイを付与し、拘束を壊した。


「壊したところで無意味と言っただろう」

「スキル 土竜!」


 俺は土竜で爪を生成し、地面を掘った。オーラの範囲がよく分かんないけど、今はアースクから離れないと!

 あれ……ってか、俺シューダさんのこと忘れてない!?

 バカすぎるだろ、俺!早くシューダさんの元に戻らないと!

 俺は急いでシューダさんの元へUターンした。


「大丈夫ですか!?」

「レルアさん!」


 良かった…大丈夫だった。でも、どうやってアースクに攻撃をすればいいんだ?土竜で近づいたって、あのオーラで無効化される。それに俺のブラッティソードも効かない…


「どうすればいいんだ…」

「今ならアースクに攻撃が通りますよ!」


 なんだって!?でも特にアースク自体には変化がない。でもシューダさんが言うんだ!今しかチャンスがない!……と思う!


「何故だ…何故貴様は人間の味方をするんだ…」


 何を言ってるのかよく分からんが、災厄の神々は許さない!


「裏切り者め……ゴットスキル 地震アースクエイク!」



ゴットスキル 地震アースクエイクを発動します



 ゴットスキル?アースクの足元に巨大な魔法陣を展開された。辺りが蠢き、徐々に上に上がっている気がする。


「何をする気だ!」

「まずはこの森を破壊し、次は地球を破壊する。ミーティア様が堕とし、ただでさえ壊れかけの地球をさらに終わりへと導くのだ」

「壊れかけの地球…いや、そんなことさせるか!」


 俺は爪をアースクに切りつけようとした。ここはまだ地中だ。地上に出る前に、ここで殺す!


「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「無駄だ」


 アースクはまたあのオーラを放った。しかし、土竜の爪は消えなかった。なんでかは分かんないけど、今考えたって答えはすぐ出ない。


「何!?身体にヒビが!」


 いける!体力が底を尽きる前に、壊し続ける!バゴン!バゴン!っとアースクの地の鎧が砕ける。こいつの装甲のような硬い土を土竜で壊す。


「レルアさん、心臓を狙ってください!ゴットスキルの使用中は行動不能です!」

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」


 そして、アースクの心臓を貫いた。装甲を貫き、俺の一撃がアースクに響いた。


「まだ…だ、終わらんぞ!」


 アースクは最後の力を振り絞り、ドリル状の地面をシューダさんにくらわせようとした。だが、シューダさんにも土竜の爪が付与されているので、簡単に壊した。


「絶対に止める!」


 ドリル状の地面が一斉に俺へと直進してくる。今までにない速さだ。ここで殺らないと……!


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 俺はアースクの心臓を切り裂いた。ゴットスキル 地震アースクエイクとやらは収まり、ドリル状の地面はバラバラに砕け散った。


「くそ…こんな人間に…必ず、必ず殺してやる…」


 アースクは光の粒となり、この世から消えた……倒したんだよな…?実感が湧かないんだけど。

 その時、地面にヒビが入り、壊れそうになった。


「シューダさん!地面が!」

「今、もらったゴットスキルで止めてください!」



ゴットスキル 地震(アースクエイク)を習得しました



 これか!

 俺はゴットスキルを発動した。すると、地面のヒビが止まった。これがゴットスキルの力…やばいな!

 あと、土竜も結構使えたな。でも、もう使わないかも?いやいや、まだ分からない。もしかしたら、地中に激レアな物とかあるかもしれないし、お宝とか?ひとつなぎの大秘宝とか?あり得る。全然あり得る……あれ?ひとつなぎの大秘宝って海じゃね?

 俺とシューダさんはゴットスキル 地震アースクエイクで地中を抜けて、外へ出た。


「眩しっ」

「ずっと地中にいましたからね…それにレルアさん…」

「はい?」

「森の奥には行かないようにと…言いましたよね!」


 その後、シューダさんに怒られた。それでも俺と一緒に戦ってくれた人。こんなに優しい人がほかにいるのか?

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