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VRマシン・グリフ王国への道  作者: ai56go
変化する環境
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俺達の町

 数日後、

 なんだか頭がぼんやりとする目覚めざめの日。

 いつものようにラナと町に行く。

 道は、荷馬車が通れるように広げたのだが、大工が俺のイメージするような家を建てようとしない。


 やはり、ただ広いだけの家では、建てる意味がない。ラナと楽しく過ごすための家が必要なんだ。

 俺の指示通りに家を建ててもらおう。人夫にんぷのように俺が一つ一つ指示したっていい。俺の家だ。

 そう考え、大工の家へと行く。

「ああ、わかった。あんたの言うとおりの家を建ててやろう。二階に空中庭園と、露天ろてん風呂だな。なんとかなろう」

 あっけない。大工が物柔ものやわらかくなっている。あっさり解決して拍子抜ひょうしぬけした。


 あまった時間で雑貨屋を見てまわるが、目新しい商品は入荷にゅうかされていない。


 食材を買った帰り道、クエスト屋の通りに足を運ぶ。すると、さっそくクエスト屋はペットを見つけてきていた。

「それが、あなたの探していた物です」

 と言って少し大きめの鉄格子てつごうしの付いた木箱きばこを俺の手にたせるのだが、どう見たって、中身は大きな白い犬ではない。

「これ魔物だろ」

 クエスト屋は何も答えようとはしない。


「おい!、これ俺が言ってたのと違うだろ。俺は、大きな白い犬って言ったんだ」

 俺の話など聞いてはいない。

「あと、これをどうぞ」

 次に袋をわたそうとしてくる。

 木箱をラナにあずけようとしたが、

「いやよ。魔物を飼うなんて!」

 ラナは魔物を毛嫌けぎらいして、木箱にれようともしない。

 しかたなく木箱を地面に置き、袋を受け取った。


 中には液体の入ったびんがいっぱい入っている。

調味料ちょうみりょうか?」

「いいえ、においです」

 匂い?香水か?

「俺、こんなのたのんでないぞ」

「いいえ、これがあなたが求めていた物です」

 クエスト屋は瓶の入った袋を手渡すと、どこかに立ち去ろうとする。


 奇妙きみょうな行動をとるクエスト屋だが、俺をバカにしてるとも思えないし、追加料金を請求せいきゅうすることもなく液体の入った瓶を渡す行動も理解できない。俺は何もできずにクエスト屋が立ち去るのをだまって見ていた。


 気づくと、隣にいるラナは、ご機嫌きげんななめだった。

「私ぜったい魔物を飼うなんて反対だから。まだ小さいって言ってもすぐに大きくなるわよ。今のうちに殺してしまいましょ」

 帰り道、ずっとおこったまま、散々(さんざん)ラナは反対する。対象的たいしょうてきな俺は鉄格子てつごうしの向こうの魔物をずっと観察していた。白い犬のような魔物はおびえている。よく見るとかわいい顔をしている。

「これ何の魔物なんだ」

 いやがりながらもラナも鉄格子の向こうの魔物を観察する。

「そうね。ケルベロス……かしら?」


  -----


 結局、クエスト屋に渡されたにおいの瓶を使って、俺は匂いの研究をしている。

 理由はない。なぜか、それが俺のやるべきことのように感じたからだ。

 ほとんど自分の部屋に閉じこもって研究しているが、以前よりはおもてに出る。新しい家のこととか、ペットのこととか、やらないといけないことがあるからだ。


 庭に出て息抜いきぬきをする。


 クエスト屋に渡された魔物はシロと名前をつけ、しばらく飼ってみることにした。殺そうというラナを説得せっとくし、俺が面倒めんどうをみることにした。


 庭の椅子に座っているラナの足に、しがみつくシロ。

 ラナは足でとおざける。

「ラナ、かわいそうだろ」

「これ、じゃれてるんじゃなくておそってきてるのよ。私を獲物だと思ってるのよ」


 そうなのか?

「でも、しばらく飼ってみることにしたんだから。別に危害きがいくわえてないんだから、普通にせっしてみようじゃないか。殺すのはいつだってできる」

 ラナは渋々しぶしぶシロの頭をでる。


 犬小屋を作り、シロを飼っている。


 少し離れたところで大工が俺達の新しい家を建てている。


 用事ようじがなければ、ラナはいつも庭の椅子に座っている。それでも、周りの環境が少しずつ変わり、話すことが増えてきた。楽しい会話は少ないが以前よりラナと暮らしている実感じっかんが持てる。


 俺はすることが増えている。

・シロの世話せわ

・味の研究

・匂いの研究

・大工との打ち合わせ

・湖までの道の管理


「ラナ、夕食を買いに行こう」

「そうね」


 この道は俺が作った道。俺とラナが歩くことでできた獣道けものみちを、木こりをやとって広げた。

『木の枝が邪魔だ、もう少し木を切ろうか?』

『このへこみのはげしいところには土をさないといけない』

『いっそうのこと、石畳いしたたみこうか』

 そんなことを考えながら、この道を歩く。


 おや、《魔物の洞窟》の入り口がやけにさわがしい。


 足早あしばやに歩く鉱夫こうふに声を掛けた。

「どうしたんだ?」

きん鉱脈こうみゃくが見つかったんだよ」

 そう言うと、坑道こうどうの中にいそぎ消えていく。

「金が見つかったのか! ラナどうする?」

 浮足立うきあしだつ俺とは裏腹うらはらに、

「どうもしないわよ。私達は冒険者でしょ。コウヘイは坑道なの?」

 ラナは冷静だった。


 確かにそのとおりだ。金の鉱脈が見つかったところで俺達には関係がない。

 夕食の食材を買いに、町へと向かう。



 その時は、そう考えていたのだが。


 少なからず俺達にも影響があった。

 この地域ちいきは、ゴールドラッシュにいた。ゴールド目当めあてで各地から人々が押し寄せてきた。


 日毎ひごと、《魔物の洞窟》入り口付近ふきんに人が増えていく。

 付近ふきんの木が切りたおされたかと思うと、数日後にはその場所に新しい家が建っている。

 一軒、二軒と建ち始めると、雨後うごたけのこのように次々つぎつぎと建物が建ち並び、集落のにぎわいを見せだす。

 人が集まれば、物・サービスが増える、いつからかこの場所は《ニュー・アントレア・シティ》と人々が呼ぶ町になり、ゆたかではなやかなゴールドラッシュの町へと、成長していく様子が見てとれた。


 歩いて一時間ほどかかる《アントレア・シティ》まで行く必要がない、十分じっぷんも歩けば、新しいこの町に着く……のだが、急激きゅうげきに大きくなったこの町の治安ちあんは悪い。暴力、ケンカ、恐喝きょうかつぬすみと《ニュー・アントレア・シティ》は無法地帯むほうちたいだと錯覚さっかくするほどだ。


 些細ささいな事件に巻き込まれる事がえない。町人など俺の敵ではないと言っても、うんざりしてしまう。


 そんなある日、俺の腕をかわれ治安維持ちあんいじ協力きょうりょくたのまれた。

 地元住民が自警団じけいだんを作り秩序ちつじょある町をめざしているという。


  -----


 数カ月後。

 《ニュー・アントレア・シティ》は、たくさんの観光客でにぎわっている。グリフ城の城郭都市じょうかくとしにも負けていない。

 湖畔こはんも以前とはくらべものにならないほどにぎやかだ。


 俺は都市計画推進委員すいしんいいんに選ばれ、その中でも発言力のある一員となり、いそがしい毎日を送っている。


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