表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRマシン・グリフ王国への道  作者: ai56go
変化するラナ
61/68

宝の地図

 今日も何もすることがない。


 ラナは一日中、庭にある椅子に座っている。


 一人でブラブラと小屋の近くを散歩する、気晴らしにもならないが、じっとしてるよりはマシだ。

 おや?木の根元ねもとに何か埋めてある、いかにも発見してくださいと言わんばかりの少し土をかけた程度に埋めてある。



「おい、ラナこれ見てみろよ」

 声が裏返うらがえらんばかりの興奮がかくしきれない。俺は、ラナのもとにけつけ、木の根元に埋めてあった地図を見せた。

「ほら『宝の地図』って書いてあるだろ」

 ラナがおこり出す。

「コウヘイ、私のことバカにしてるの?」

「どうしてだよ」

 呆れた口調で、

「この『宝の地図』って、どう見たって活版印刷かっぱんいんさつでしょ。なんで宝の地図が印刷物だったりするの?」


 言われてみれば、手書きの文字ではない。どうして俺はこれが本物の宝の地図と思ったのだろうか?

 どうして俺はこんなにうれしい気持ちになったのだろうか?


 睡魔すいまおそわれたかのように一瞬ぼんやりしたが、気持ちを切り替える。

「なあ、行くだけでも行ってみないか?」

 ふくれっつらで俺を見ていたラナ。

「そうね。坑道こうどうに入りたがらなかったコウヘイがその気になったのだから、『宝の地図』は別としていいことだわ。 そのかわり、何も無かったらドームに行くのよ」

 機嫌きげんなおし《魔物の洞窟》へと俺をさそう。

 いやな顔をする俺に、

「行くだけでいいからアントレアに会ってみましょ。様子ようすが気になるでしょ」

 久しぶりのイキイキとした笑顔を見せた。



「それにしても分かりにくい地図だな」

 坑道内のめぼしい場所にはいたのだが、地図に『ココ』と書いて矢印している場所が何処どこなのか見当けんとうがつかない。

「ホント、子供が書いたような地図よね。もう、あきらめてアントレアに会いに行きましょ」

「いや、もうちょっと」

 ところかまわず剣で壁をコンコンとたたいて痕跡こんせきを探す。コンコンと音がする壁が、一箇所「ゴボ」と、あきらかにちがう音でひびいた。


「おいここだよ」

 剣を突き立てて壁をる。

 壁が崩れ、壁の中から宝箱が出てきた。


 本格的な宝箱にラナも真剣な眼差まなざしに変わり、

「子供のいたずらじゃぁなさそうね」

 二人で宝箱を開けた。

「ねえ、これどう見たってプラチナコインよね。何枚あるのかしら。 それに、このローブ。こんなすごいローブ見たことがないわ」

 宝箱いっぱいのプラチナコインと、七色にひかかがやくローブが入っていた。



「コウヘイ大丈夫」

「ああ、なんとか」

 俺は宝箱をかつぎ歩く、宝箱いっぱいに入っているプラチラコインは重い。


 ローブはラナが持っている。

 ラナが手に持つローブは、異質いしつだった。俺でも暗闇くらやみの中で七色にあわく光るオーラが見える。


 二時間ほどかけて、やっと俺達の小屋に戻り、台所のテーブルに座る。さすがに疲れた。

 ラナは、ローブに釘付けだ。

「そのローブ使えそうか?」

「手の込んだ刺繍ししゅうよね。それに生地きじつやも違うわ。なにより《精霊の力》がつよすぎて……」

 俺との会話をなおざりにする。

 七色の発光はっこうは、俺にはもう見えなくなっていたが、ラナには俺には見えない《精霊の力》が見える。生地をさわり隅々すみずみまで目を通している。

「私ったわ、これ『ラナのローブ』って呼んでもいい?だって私ぜったい手放てばなさないから」

 ローブをほおに当て、生地の感触を味わっている。

 宝物を手に入れたと喜ぶラナを見ていると、俺自身の宝物のようにうれしくなる。


  -----


「コウヘイ、お願いだからはなさないでよ」

「ああ」

 俺はグッとラナの手をにぎる。

「お、おい、ラナ!ラナってば」

いま話しかけないで、気がるわ」

「いや、浮いてんだよ。高すぎるだろ」

「え?、」

 ラナが目を開けた途端とたん、あまりの高さに動揺どうようし、俺を道連みちづれに湖にドボンと水しぶきを立てて落ちた。

 ばちゃばちゃと水面をたたくラナをかかえ、俺はタライにつかまる。

「ラナ、大丈夫か?」

「ええ、なんともないわ」

 そう言って髪をかきあげるラナ、幾分いくぶんか落ち着いたようだ。 



 あのあと、ラナはローブを試着しちゃくし俺に披露ひろうした。

「なにこれ?強い力を感じるわ。 怖いくらい強い力よ」

「どんな?」

「そうね。風系の属性ぞくせい!?だとは思うんだけど。 物理攻撃や魔法攻撃どんな攻撃も防げそうで……よくは分からないわ。 でもそらける……いいえそらが飛べそうな気がするの」


 庭に出て、ためしてみることにしたが、感じる強い力がどの程度のものなのか見当けんとうがつかない、コントロールできず木にぶつかったり地面に叩きつけられたりするかもしれないと言う。安全を考え、俺はタライにラナを乗せ、湖の真ん中にやってきていた。


「どうする。もうやめるか?」

「いいえ、これからよ」

 ラナらしい前向きさを見せる。


 何度となく飛行ひこう挑戦ちょうせんし、そのたびに不意に空高く舞い上がったり、つまずいたかのように水中にもぐったりしたが、だんだんとコツをつかんできたようだ。日暮れ近くになると、俺を乗せたタライをって水面上を縦横無尽じゅうおうむじんに飛べるようになっていた。

 俺も半分ちゅうに浮いている、ラナの手を右手で、タライを左手でつかんでる。ってというより引きずられていた。


 濡れた《ラナのローブ》と俺の装備を庭に干し、ラナは夕食の準備をする。

 ラナはごきげんだった。


 その日の夕食のラナはよくしゃべった。


「城にだってひとびだわ」

「どんな攻撃でも防げる気がするわ、魔王だって倒せるかもしれない。本当に凄いローブよ」

「見たことも聞いたこともないローブだわ。最上級……、いいえ、きっと伝説級のローブよ」

「ホント、なんのローブなのかしら?、そうよ《ラナのローブ》に決めたんだから、これは《ラナのローブ》よ」

「聞いてる?コウヘイ」

 一方的にしゃべるラナを見ながら、俺は終始リラックスして相槌あいづちを打つ。


「コウヘイ、明日あしたも練習ってね」


  -----


「いいからおもいきり、その木の棒でたたいて」

「い、いくぞ」

 ラナの二の腕めがけて叩く、

 トン、

「痛いわね」

「ご、ごめん。大丈夫か?」

「思いっきりって言ったでしょ。無駄むだ手加減てかげんしないでよ」

 俺がった二の腕の場所をラナがさすっている。


 気を取り直して、ラナが「さあ来て!」と身構みがまえるが、こぶしにした両手を胸元で合わせ、おびえるようにギュッと目を閉じている。

 ラナに向かって木の棒を振り上げた。

「「……」」

「ごめん、やっぱりムリだよ」

「もう!、《ラナのローブ》の性能がわからなかったら、魔物と戦うとき困るでしょ」

「いくらラナが大丈夫だと言っても、ラナを叩くのは俺にはムリだよ」

 こまり顔でラナを見つめると、

「しょうがないわね」

 ラナもこまった顔をする。

「じゃ、つぎ攻撃力ね。恐らくだけど、ゴーレムも一撃で溶かすような《ファイヤーボール》が撃てると思うわ」

 俺を見る。

 さすがに、灼熱地獄しゃくねつじごくに放り込まれるような状況はけたい。

「大丈夫よ。コウヘイに向かって使ったりしないから」

 一歩引き、怖気おじけづいていた俺に愛想あいそよくする。


「木に向かって使って山火事になったら困るから、そうね。湖に向かって使うわ」

 ラナは湖岸こがんに立ち、大きな湖の中央に向けて《ファイヤーボール》をとなえた。


 現れた炎の玉は小さく、ゆらゆらとれて進み、一メートルほど進んだところでポンと音をたてて消滅しょうめつする。以前と全く同じだ。

「あれ?おかしいわね」

 ラナは、その後も《ファイヤーボール》を唱えたが、なんど試しても結果は同じだった。

「おかしいわね。これだけ強力な力を感じるんだから、攻撃力が上がっていても不思議じゃないのに。私って才能ないのかしら」


 その、ラナは使ったことがない攻撃系の魔法を唱える。

「こんなに力を感じるローブなのに、何かめられた力があるはずよ」

 《かまいたち》《竜巻》《稲妻いなずま魔法》しかしどれも、何も起きない。


 俺を実験台に《呪縛じゅばく魔法》を使ってみたが、《烈火れっかのローブ》のときよりも弱くなったという。

 空は飛べるようになったが、それ以外はまったくダメだ。思ったより大したローブではないのかもしれない。

 使える魔法は増えてないし、唯一の攻撃系魔法だった《呪縛じゅばく魔法》は、威力が弱まっている。火を起こすくらいにした使えなかった《ファイヤーボール》はそのままだ。

 《治癒ちゆ魔法》はまだ試せてない。防御力もまだ試せてない。


「ねえ《魔物の洞窟》に行ってみましょ」

「《魔物の洞窟》には行かない」

 間髪入かんぱついれずに俺は断言だんげんした。

「えー、どうして、 これがあれば、溶岩ようがんみぞだってえられるし、頭上で旋回せんかいしているヴァンパイアを牽制けんせいしたりもできるわ」

 俺も驚いた。『《魔物の洞窟》には行かない』らぎない決意けついだが、なぜそこまで断言だんげんできるのか分からない。説明のしようがない。

「……」

 考え込んでいると、

「ごめん、コウヘイがその気になるまで、魔物の話はしないって約束だったわね」

 今まで楽しそうに話していたラナが、暗い顔に変わる。

「「……」」

 沈黙ちんもくが続く。


『せっかくの雰囲気が台無しだ』

 何か話さないと、


「そ、それより、アンナに会いに行かないか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ