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カスタムソルジャーGT  作者: バームクーヘン
第1章 ニュージェネレーション
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第3話 カスタムショップ

「こんにちは」


ヨルは店の自動ドアが開くと、挨拶しながら店内に足を踏み入れた。

しかし店員の姿は見当たらず、テーブルでコスモギャラクシーをメンテナンスしているセイカしかいなかった。


セイカはヨルに気づくと片手を挙げて声を掛けた。


「よっ」


「お前……もっと上級生に敬意を払えよな」


「おう。分かった」


そうは言っているものの、セイカが反省しているようには見えなかった。

普段のがさつで男勝りな言動といい、本当に女の子かどうか疑ってしまう。


当の本人はヨルには目も暮れずコスモギャラクシーをカチャカチャ弄っている。



「やぁ、二人とも来てたんだね」


そこへ、店の中から出て来た男が二人に声を掛けた。

ヨルは男に頭を下げて挨拶した。


「こんにちは。カジオさん」


現れたのはこの店の店員、カジオだった。

子供の頃からのふくよかな体格は変わらず、しかし、その雰囲気は大人を思わせた。


「いやいや、僕も君達が来てくれて嬉しいよ」


そう言って駄弁っていると、また店の奥から人が現れた。


「ちょっと、サボってないで商品の整理しなさいよ」


「ご、ごめんなさい」


カジオは謝ると、直ぐに仕事に戻った。

ヨルはカジオを叱った女性に挨拶をした。


「相変わらず厳しいですね、アムさん」


アムは力強く言った。


「あいつは甘やかすとすぐだらけるから」


アムの口から溜息が漏れた。

子供の頃は同級生だった二人も、今では店員と店長という越え難い力関係が出来上がってしまった。






それから暫く時間が過ぎ、カジオも戻って来て寛いでいると、突然セイカが立ち上がった。


「よっしゃ出来たあぁ!」


コスモギャラクシーを握って上に突き出す。

たった今メンテナンスが終わったのだ。

ヨルはセイカにどんなカスタマイズをしたのか尋ねた。


「一体、何を強化したんだ?」


「いや、汚れ掃除してただけだけど」



ヨルはあまりの珍妙な返答にずっこけた。


「どんだけ汚してんだよ!」


「いつもはこまめにやってたんだけどな。最近はずっと特訓してたから」


セイカがそう答えると、アムはポンッと手を叩いた。


「ああ、貴方達明日のスカイカップに出るんだったわね」


スカイカップとはこの町で開かれる大会のことで、誰でも気軽に参加出来る大会だ。

参加者は百人程で、制限時間内に多くの勝利を収めたものが決勝に進出出来る。


その話を聞いて、カジオがセイカに提案した。


「じゃあ、今から僕達で練習試合をしよう!」


「お、いいなそれ」


「俺も良いと思います」


セイカとヨルは乗り気だ。

カジオはアムにやってもいいかどうか視線で尋ねた。


「仕方ないわねぇ」




四人はGキューブを囲むようにして並んだ。


「じゃ、始めるわよ。チームは私とヨル君、カジオとセイカちゃん」


アムが確認すると、三人は頷いた。

そして、自分の機体をGキューブの中へ向かわせた。


「コスモギャラクシー!」


「カーネル!」


「シグマ!」


「イカロスX!」


四人の機体がフィールドに着地する。


ヨルの機体のカーネルは、迷彩柄の装甲に軍服の様な格好をした機体だ。


カジオの機体のシグマはガンマの後継機で、ガンマと同様に一般に広まっている量産機だ。

茶色い装甲と赤い一つ目はそのまま、肩や膝にトゲが追加された、荒々しい機体になっている。


そして、アムの機体のイカロスXは、十年以上前から愛機だったイカロスをカスタマイズし続けたもので、装甲は白から桃色に。粒子で出来た羽は桃色から虹色になっている。



「じゃ、バトルスタート!」


アムの合図と同時に四機が動き出した。

イカロスXはシグマに向かい、コスモギャラクシーはカーネルに向かって行った。


カーネルはスナイパーライフルで狙撃する。

コスモギャラクシーはエネルギー弾を軽快にかわしながら突っ込み、ビームブーメランを手に取る。


カーネルはスナイパーライフルの上にあるレバーを引いた。

すると、ライフルが四つに開き、花のように広がる。そして、開いたライフルの中心からビームが飛び出し、ビームサーベルのようになる。



「やっぱり接近戦に持ち込んで来たか!」


ビームブーメランとカーネルのガンサーベルが激しくぶつかり合う。


「うわー!」


その瞬間、カジオが悲鳴をあげた。

イカロスXの対艦刀がシグマを切り裂いたのだ。


アムは呆れて肩をガックシした。


「あんた、負けるの早過ぎでしょ」


カジオは自分の情けなさに思わず涙した。



「そらっ」


そんな様子をヨルが眺めていると、その隙を突いてセイカが攻撃を仕掛けた。

ビームブーメランが、カーネルを吹き飛ばす。


「そういや、オレお前の事ちょっぴり嫌いだったんだよ」


「ん?」


ヨルは正直驚いた。

一体何が気に入らないんだろう。



「お前、同じ金髪でキャラ被ってんだよな」


「知らねーよ」




イカロスXは、対艦刀を振りかざしてコスモギャラクシーを襲う。

何とか回避するも、遠くに離れたカーネルがスナイパーライフルで狙撃する。


それもギリギリ回避したが、イカロスXの対艦刀がコスモギャラクシーを吹っ飛ばした。


「悪いけど、決めさせて貰うわよ!」


《スターブースト》


イカロスXの体が赤紫に輝く。

それを見て、ヨルも仕掛ける。


「俺もだ!」


《スターブースト》


カーネルの体が緑色に輝く。

そして、狙撃を再開した。


ライフル弾のパワーとスピードが格段にパワーアップし、コスモギャラクシーは銃弾を喰らって吹き飛ぶ。

そこへ、イカロスXが追撃を仕掛けた。対艦刀の思い攻撃が容赦無くコスモギャラクシーを追い詰める。



正に絶体絶命だったが、セイカは落ち着いている。


「んー、コレか」


そして、PCDを操作してある画面にすると、ボタンをポチッと押した。


《アースモード》


セイカのPCDから電子音声が流れ、そして………






「じゃあなー」


セイカは何食わぬ顔で店から出て行った。

ヨル達は呆然としていた。


ヨルは一体セイカはどれだけの秘密を持っているのか、と考え、つくづく恐ろしくなった。

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