第九十八話
つくづく思う。
オークでよかった、と。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「……いや」
現在俺たちが居るのは、まるで拷問室のような場所。
そんな場所にて、話しかけてくるミーニャに適当に相槌を打ち、俺は眼の前のオークを見る。
手足を無理矢理縛られ、口も目も黒い布によって覆われ台に寝かされている哀れなオークを。
これがもし人間だったら……いや、これがもし幼い女の子とかだったら、完全にアウトだ。まず間違いなく人間として終わる。
オークにならこういう事をやっていいのかと問われれば、それはそれで答えづらいのだが、俺が言っているのは絵面の問題だ。
こう言ってはなんだが、かなり外見が醜い部類に入るオークならば、絵面的に犯罪臭はただよわない――そういう意味で安心できると、俺は言っているのだ。
言っているのだが……。
「安心できるはずなのに、どうしてこんなに嫌な予感がするのだろう」
俺は、さきほどから捕えたオークに魔法のようなものを重ねがけしているミーニャを見て、眉間のあたりを揉みほぐす。
「全力で嫌な予感がする」
この世界に来てから色々とあったが、その中でもトップクラスになるであろう何かがおきそうな気がする。
「はい、これで最後だよ!」
キタ。
ミーニャの魔法がかけ終わったようだ。
何かが起きるのならば、そろろろのはずだが。
俺は何が起きても大丈夫なように、ミーニャから目を外さずに――。
「ん……お兄ちゃん。ちょっとトイレに行ってくるんだよ。あとは経過観察してるだけだから、お兄ちゃんだけでも大丈夫だと思うし、でもなるべく早く戻ってくるね」
と、騒動を起こしそうな人物が退場していってしまった。
「これは、心配し過ぎたか?」
ミーニャが退室し、俺がそう口に出した瞬間だった。
「なっ!?」
何だこれ。
続けて言葉を口にする前に、俺の視界は真っ白い光に覆われていった。
今HJ様の読者グランプリにも出ていますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
http://gpx.yomeru-hj.net/novel/revenge/
追伸
最近エロゲばっかやって更新サボり気味ですみませんw




