第九十六話
「ダメだったんだ」
「ダメだったんだ……じゃねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!」
あまりにも呑気なミーニャの返答に、俺はテーブルを叩きながら言う。
すると――。
「うっさいわね!」
「何事ですか、お兄様!?」
「お兄さん……うるさいです」
「右に同じじゃ」
最初に双六のようなゲームを狐っ娘姉妹としていたエリスからクレームがあり、次いで店番をしていたリゼット。
最後には、先ほどいったエリスのゲーム相手であるマオとリンからもクレームが入る。
というか、どうしてこいつらは揃いも揃ってここに居るのだろうか。
リゼットがここに居るのはわかる――俺と一緒に帰ってきたのだし、マオの城にいる理由もないのだから。
しかし、こいつらは違う。
エリス、マオ、リン。
この三人は明らかに帰ってくる必要ないだろ。
だって、マオの城で何だからよくわからない調査だか検査をしているんだから。
……おっと、リンはただ単にグダグダしているだけだったな。
「どうしたんですか、お兄さん。自分の事をそんなに見つめて……まさか自分をりょうじょ――」
「さてミーニャ、さっきの話の続きだけど」
俺はミーニャについつい大声でツッコミを入れてしまったことを、軽く謝りつつ会話を始める――リンが何か言いかけていたが、それは徹底的に無視する方向で行こう。
「お前が教えてくれた方法さ、全然駄目なんだけど」
「そっか~」
ふむ。
「……あのさ、お前ひょっとしてさ」
「あ、でも嘘を吐いたわけじゃないんだよ!」
「…………」
非常に疑わしいところだが、あんなしょうもない嘘を吐く奴でもないだろう。
「お前がそう言うなら信じるよ、わかった」
「うん!」
笑顔で「お兄ちゃん、大好きだよ!」と言っているミーニャを見ながら、俺は次なる質問をぶつける。
「あの方法が本当なのは信じたけど、それが効果なかったのは変わらない。という訳で、何か他の方法に心辺りはないか?」
「他の方法……」
するとミーニャは横目でマオの方をチラリと見てから、立ちあがって俺の傍にやってくると、耳元に口を寄せて言う。
「あと一つだけあるんだよ……とっておきの方法が」




