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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第六章 とりあえず対話してみる

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第九十四話

「ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


「ぶもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 …………。

 ………………。

 ……………………。


 なんだ……これは。


 俺がリゼットの後を追って通路を進んでいくと、やがて見えてきたのは一つ景色。


 相も変らず肌色成分多目のリゼットを囲んで、オーク達が猛り狂ったように吠えている。

 ぶひぶひぶもぶも、両手を上げたりして踊り狂っている。


「…………」


 なんだろう。

 俺は知らない間に、やばい宗教団体の会合にでも参加してしまったのだろうか。


「ぶもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 やばい。

 俺が今いるこの場所は……俺が見ているこの景色は、人間の本質に「やばい」と――ただただ「やばい」と、そう訴えかけてくる何かがある。


 あるのは熱狂ともいえる何か……そう。


 エロに対する情熱だ。


「明らかにリゼットを見て発情してるよな、こいつら。本当にこんなので意思疎通が出来るのかよ?」


 まぁ意思疎通が図れなかったとしても、最悪こいつらに言葉を伝えられればそれでいいのだが。


 俺はそんなことを思いながら、全力で「やばい」と訴えかけてくる脳内命令を無視してリゼットを取り囲むオーク達に近づいて行く。


「お、お兄様!」


 すると早速俺に気が付いたリゼットが、まるで何かにすがる様な目でこちらを見つめてくる――おそらくその眼は、俺にオークを追い払ってくれと訴えているのだろうが。


「…………」


 許せ、リゼット。

 今日の俺はとことんまでクソ野郎に徹するぞ。


「じゃあ事前に言っていた通り、対話してみてくれ」


 俺は内心決意を固め、そんな言葉をリゼットへと投げかけるのだった。


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