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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第四章 とりあえず何かしてみる

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第六十六話

「それで?」


 俺は先ほど起きた現象について問いかけるため、ミーニャへと近付いて言う。


「悪魔って何?」


 すると彼女は、何故か中身が空になった壺を脇にどけ、どこか安心したような顔をしながら俺に答える――余談だが、ミーニャが安心したような顔をしているのは何故だろう。まさか俺に中身をどうにかされる心配をしなくて済んだ……みたいな事を考えて居るのではあるまいな。


「えっとね……悪魔っていうのは、召喚魔法を使える魔法使いが、自分の体の一部を触媒にしてこの世界に呼び出す使い魔――その最上位に位置する存在の事なんだよ」


「へぇ、最上位……ねぇ」


言って、俺が流し目で背後を見ると、


「何よ! こそこそしないでよね!」


 言いかえしてくるのは、取りあえずその辺に落ちていた布をひっかけた貧乳娘……確か名前はエリスだったか。

 うん、どう考えてもこいつがそんなすごい存在には見えない。


「何とか言いなさいよね!」


 ……今はスルーしよう。

 こいつに関わると、リンとは違うベクトルで面倒くさくなる気がする。


「で、話を戻すけど」


 背後から「無視するな~っ!」などと言う声が聞こえてくるが、対応はすでに決めた通りである。

 よって、俺はミーニャとの会話を続行する。


「召喚魔法で召喚されたんだよな、あれ?」


「そうだよ。本人も言ってたけど、魔力の感じと流れ的に使い魔……それにミーニャが主で間違いないんだよ!」


 言った後、「触媒が消えてるし」と、何やら意味深な視線を壺へと送るミーニャ。


「と、とにかく! 召喚された悪魔なのは間違いないんだよ!」


 何だろう。

 どうしてミーニャが一人で首を横に振り、明らかに慌てて……いや、テンパっているのだろう。


 とか言って、本当はおおよその予想は出来ている。

 おそらくあの壺は召喚アイテム的な物であり、その中にミーニャが触媒を入れたのだろう。


「…………」


 そう、つまり触媒的なアレを入れたのだ。


 っと、また話が逸れそうになった。

 正確に言うなら、逸れそうになっているのは俺の思考だけなのだが。


「えっと、単刀直入に聞くけどさ……どうして魔法が使えないこの部屋で、召喚魔法を使えたんだ?」


「それは――」


「それはあたしが説明してあげるわ! 感謝しなさいよね!」


 ようやく出番が来たとでも言うかのように、答えに詰まったミーニャの後を次いで喋りだしたのは貧乳娘エリス。


「…………」


 俺はげんなりしながら背後へと向きなおるのだった。


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