第百五十話
「びゅ~~~~~~~っ!」
「び、びゅ~~~……」
我ながら俺は何をやっているのだろう。
あれから三日間……俺はひたすら眼の前の物体を動かそうとしている。
「何を恥ずかしそうにしているのじゃ! ちゃんとやらないと、目標の領域まで上達しないのじゃ!」
「わかってる、ちゃんとやってる!」
そう、ちゃんとやってはいる。
だけどものすごく恥ずかしいのだ。
「…………」
想像してみて欲しい。
自分が不特定の物体に対し、「びゅ~~~」と言いながら何かを念じている姿を――大半のものは思うだろう。
滑稽でしかないと。
そして考えるはずだ。
気が付いてしまうはずだ。
何やってるんだ、俺?
「…………」
「何をボケっとしているのじゃ!」
そして一番の問題?
まぁ問題は――。
「おぬしはミーニャ以上の上達速度なんじゃから、もっと気合い入れてやるのじゃ!」
こんな訳のわからない訓練にもかかわらず、俺がどんどん魔法を使えるようになってきているという事にある。
当初は紙も動かせなかった……というか、「魔法? なにそれ」状態だった俺だが、今では何だかんだで岩を動かせ始めている。
「……意味がわからない」
いや、嬉しいことは嬉しい。
上達するのは嬉しいが。
「どうしてこんな方法で上達するんだ……びゅーってやってるだけで、どうしてここまで」
上達の仕方に全く納得がいかないのだ。
それともアレだろうか――マオの教え方は、本当は実に理にかなった物だったりするのだろうか?
例えばびゅーってイメージする事によって、魔法を身近に感じられるとか。
「……うん、ないか」
「何をボソボソ言っているのじゃ! 早く続けるのじゃ!」
俺が思ったより覚えがよかったせいで、何だか気合いの入ってしまったマオ。
俺の苦労はこれからも続きそうである。
すっげぇ風邪ひきました。
別にとんでもない風邪をひいたというわけではりません。めちゃくちゃ風邪が長引いているという意味です……みなさん、体調には気をつけてください。
あと、狐っ娘万歳!




