第百四十一話
「手を握って答えを聞きたいとせがむお兄さん……頬を染めて応じようとするマオ姉さん」
リンは腕を組んでふんすと鼻息荒く言う。
「確信犯です」
…………。
………………。
……………………。
「何がだよ!」
「何がじゃ!」
俺とマオによる瞬時のツッコミ――ナイスコンビネーションとはこういう時に言うのだろうか。
だがマオのツッコミにやはり確信したことがある。
マオはリンに比べると、大分まともだ――まともでなければ、先ほどのツッコミは絶対に出てこないはずだから。
「おぬしは何を言っているのじゃ!」
「とぼけても無駄ですよ……マオ姉さん」
「はぁ、おぬしの言動はたまに我の頭を猛烈に痛くするのじゃ」
ん?
たまに……たまにじゃないよな?
思わず続けて突っ込みたくなったが、ここは黙って姉妹の会話を聞こう。
「説明が必要なら言いましょう……マオ姉さんはお兄さんを寝取る気ですね?」
「ふぅ……」
「その溜息、図星ですか……鬼畜です。でもダメです、お兄さんは自分のです」
「全く持って図星ではないのじゃ」
気のせいだろうか。
何だか今、ナチュラルに告白された気がする。
まぁきっと気のせいだろう、気のせいに違いない――いや、気のせいじゃなくても一向にかまわないのだが、こいつの場合どこまで本気かわからないから、とりあえずスルーしよう。
「では何の溜息ですか?」
「呆れた溜息じゃ、それ以外に何があるのじゃ!」
うむ、何だか話が長くなりそうだな。
「あ―マオ? 話し中のところ悪いんだけどさ――」
と、俺は聞きたかった事だけ聞いてマオの城をあとにするのだった。
「なるほど、特に必要なものはなしか」
これならあとはスペースや従業員を確保すれば、何とかなるか?




