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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第七章 とりあえずパシられてみる

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第百二十二話

「という感じで虐められたんです……鬼畜ですよね?」


 わかりやすく結論から言うと、俺は無事に件の戦いに勝利を収め、目的物であるゲアラブアを無事に入手する事に成功した。


「自分の魔法を自分のプライドと共に素手で粉砕するお兄さん……おまけに最後は自分の尻尾を掴んで、ブラブラ揺らしながら場外に落とす鬼畜さ加減」


「何回同じ説明をするのじゃ……おぬしは」


「マオ姉さんは鬼畜だと思わないんですか? 妹が虐められたんですよ……あと少しで犯されるところでした……鬼畜です」


「どうせ話を盛っているだけじゃろ?」


「盛っていません……本当に虐められました。尻尾をニギニギされて……自分は貞操の危機を感じました……もうお嫁に行けません」


「尻尾を握られたくらいでなんじゃ」


「尻尾をニギニギされてブラブラされました……鬼畜です」


「試合だったのだからしかなかろう? むしろ我はあっさりやられたおぬしにビックリじゃ」


「じ、自分のせいじゃないです……お兄さんが凄まじく俺TUEEEEEEEしてただけです」


「おれ……なんじゃ? 今なんて言ったのじゃ?」


「マオ姉さんはわからなくても大丈夫です……とにかく強かったんです」


「おぬしは時々わけのわからない事を……まぁいいのじゃ」


 さんざん姉妹で話し合って満足したのか、マオはリンの後ろに控えて居た俺に振り返り続けて言う。


「それで例の物、ゲアラブアは手に入れたんじゃな?」


「あぁ、安心しろ」


 お前の妹さんが邪魔しなければ、もっと早く手に入ったんだけどな。という事はこの際置いておこう。


「ほら、これが約束のゲアラブアだ」


「お、おぉ! でかしたの……じゃ?」


「じゃ?」


 何だろう。

 俺が渡したゲアラブアの入った袋を覗いた途端、マオの顔が曇ったぞ。


「どういうことじゃ、中身が入っていないのじゃ!」


 あぁ、なるほど。

 中身が入っていないから、こういう顔を……って。


「は!?」


「は!?じゃないのじゃ! 中身がないのじゃ! 詐欺なのじゃ!」


「詐欺じゃねぇよ! 俺は確かに中に……っ!」


 待て、待てよ。

どうして中身がないのか、心当たりがある。

 

 居るじゃないか、このゲアラブアを勝手に食いそうな奴が。


「おいリン! ……って、居ない。なんという速さだ」


「何という速さだ……じゃ、な~~~~~~~~~~~~っい!」


 突如、バンっ!と大音量を立てて開かれた扉。

 そこから現れたのは――。


「あんたバカじゃないの!? 何であたしの事を宿屋に置き去りにするのよ! 起きたら誰も居ないし、宿屋の店主から『あーあの人たちなら先帰ったよ』って聞かされて……ビックリしたんだからね!」


「あーそれはだな……」


 忘れていた。

 エリスが居たの完全に忘れていた。


「なんだ、とにかくすま――」


「え~~~~い! 早くゲアラブアを出すのじゃ!」


「いや、あの」


「何とか言いなさいよね!」


「…………」


 もう嫌だ。

 早く帰って寝たい。


親知らず……抜いてきました。

これから抜く人が居るかもしれないので、嘘偽りなく言います。


クッソ痛い……まぁ人による鴨だが。


あぁ……傷跡消えたら鴨が食べたいです。

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