第百十八話
「……かんちが……よね」
「……きちくです」
「…………」
うん。
寝れない。
全くねれないね。
何でかって――。
「……うん」
俺はチラリチラリと左右を見る、
まず右側――そこに居るのはリンである。
ただのリンではない。
なんと、暑かったのか寝る時に着て居たパジャマを脱ぎ捨て、全裸で寝て居るキャストオフしまくったネイキッド狐っ娘モードのリンである。
「事案だな、これは」
次は右側――そこに居るのはエリスである。
もちろんただのエリスではない。
なんと、暑かったのか寝る時に着て居たパジャマを脱ぎ捨て、全裸で寝て居るキャストオフしまくったネイキッド悪魔っ娘モードのエリスである。
「事案だな、これは」
この状況、考えれば考えるほどに頭がおかしくなってくる。
全裸の少女に挟まれた男一人――これはあれだろうか?
オセロよろしく全裸に挟まれたから俺も全裸にならなきゃいけないパターンだろうか。
そういう類のゲームへと知らない間に参加させられていたと考えていいのだろうか。
「くっ、リンとエリスの分際で……分際でぇ!」
普段はあまり女として見ていない二人だが、こういう状況になっても女として見れないかと問われれば否である。
お、俺だって男だし……まぁ認めるのは癪だが二人とも……か、可愛いしな。
それになにより。
「んぅ……」
「おにいさ……」
全裸でこんなにくっつかれた嫌でも意識するわ!
両腕におっぱいを押し当てられ、左右から異なる女の子特有の香りがしてくる。
あれか――こいつらは俺を発狂させる気か。
というか自信がある。
自慢ではないがこの状況、俺でなければ事案が発生している自信がある。
こう見えても俺は、かなりの自制心を有している方だからな。
だがしかし。
ぎゅっと腕を抱きしめられる感覚。
再び当たるおっぱい……。
「…………」
こんなの寝むれるわけがない。
例え事案が発生しなとしても、俺が寝むれないという目下最大の悩みを解消する方法は全く思いつかないのだった。




