98話 十万人記念!①
「ほぉ...!」
遂に僕のチャンネル登録者の桁が一つ増えた。
十万人に到達したのだ。
並んだ数字の大きさに思わず声を漏らしてしまう。
通知音が聞こえ、スマホを見ると三期生のみんなからメッセージが届いていた。
『狐狐ちゃんおめでとう〜!!
どんどん狐狐ちゃんの魅力に気付いてくれる人が増えてきて私も嬉しいよ!
最近忙しそうだけど体調には気を付けてね!』
『狐狐ちゃん十万人おめでとう!
狐狐ちゃんのことだからプレッシャーとか感じてるんじゃないかしら?
でもプレッシャーなんて感じなくても良いわよ!
そのままの狐狐ちゃんが好きだからみんな登録してくれたんだからね。
また予定が落ち着いたらコラボしましょう!』
『十万人おめでとう〜!
初顔合わせの時の怯えてた狐狐ちゃんが懐かしい。
配信見てるけど忙しそうだね...
無理せずいっぱい休んで、いっぱい配信してね!』
三人からのメッセージに笑みが溢れる。
学校に行っている間に十万人達成していたらしく、綺麗な十万ちょうどでスクショは撮れなかった。
でもこの記念すべき瞬間をトイッターに投稿したい。
スクショと共に感謝のメッセージを投稿する。
@九尾狐狐 Monster Live三期生
チャンネル登録者数十万人突破しました!
皆さん本当にありがとうございます!
記念配信は凸待ち配信です、お楽しみに!
♯狐狐ライブ
僕の投稿でココ友達がお祭り騒ぎとなった。
狐狐グッズとお祝いメッセージを並べた写真を送ってくれる人やお祝いイラストを投稿してくれる人。
様々なお祝い方法が僕の元へ届いた。
「狐狐ちゃん十万人おめでとう〜!!」
「お母さん抱きつかないで...!」
「そんなこと言わないでよ〜」
今はお風呂に入ろうと一階へ降りたところ、お母さんに捕まってしまった。
ハグというのは安心するもので、恥ずかしいけど心地良い。
「お祝いでお母さんとコラボする?」
「お、お母さんとコラボ...!?」
「する?」
「いつかしてみたいけど、お母さんはお母さんだからセブンママとして話せない気がする...」
「それでもいいんじゃない?
本当のお母さんってバラしても面白いんじゃない?」
「なんか裏があると思われてしまいそうで怖い...」
「大丈夫だと思うよ?
歩が狐狐ちゃんとしてデビューした後、住所確認したスタッフさんに驚かれてたから。
本当に歩だけの力でデビューしたんだよ?」
「そう言われると嬉しい...
じゃあ、いつかコラボしようかな...」
「うん、待ってるね!
記念配信頑張って!」
「配信はちょっと先だけど、ありがとう!」
お母さんに手を振りつつお風呂に入る。
慣れた手つきで髪を洗っていく。
前世では女の子は大変だと思っていた、実際に男と比べてやらないといけない工程が多いのは事実だ。
でも、僕は髪を触るのが好きなのだろう。
シャンプーやリンスはむしろ楽しみながら洗っている。
(ふぅ...)
ふと鏡を見つめる。
不安げな表情がデフォルトの小柄な美少女。
自分が顔を動かすと鏡の美少女も一緒に動く。
初めて九尾狐狐のモデルを動かした時のような感覚だ。
(本当に僕のファンが十万人...?)
でも数字は嘘をつかないとはよく聞く。
僕のチャンネル登録者は間違いなくその数で合っている。
もう少し自信を持ってもいいのかもしれないな。
お風呂を上がり、後は寝るだけの状態で自室へ帰る。
ご飯を食べてお風呂に入って既に程よい眠気を感じているが、みんなの配信を追いたい。
もうすぐ十万人ということで、狐コ好きVtuberは一度お休みになっている。
(あ、鳴子ちゃんが配信してる)
つい同期のみんなを優先で見てしまう。
もちろん先輩達の配信も見れる分は見ている。
時間が無い場合は切り抜きを見させてもらっている。
鳴子ちゃんの配信は雑談だった。
『そう!私それで嬉しくなってしまったのよ!
......嬉しいといえば、遂に狐狐ちゃん十万人達成したわね!』
【狐狐ちゃん十万人いったのか!】
【俺らの狐狐ちゃんも大きくなっちゃって...】
【初手号泣謝罪の狐狐ちゃんが凸待ちとはね〜】
『狐狐ちゃんの記念配信凸待ちなのよ!
何を話しにいけばいいのかしらね...
せっかくの記念なんだし、何かしてあげたいわ...』
【やっぱり歌とか?】
【っていうか狐狐ちゃん見てるんじゃね?】
【確かにw】
【狐狐ちゃん見てそうだなぁw】
『狐狐ちゃん本当に全員追ってるみたいなのよね...
って言う私も狐狐ちゃん含めみんな見てるんだけれど。
狐狐ちゃん見てるかしら?
コメントちょうだい!』
鳴子ちゃんの配信にコメントしていいか悩んでしまうが、こうして呼ばれているのだ。
それに推しに呼ばれて返事をしないオタクがどこにいる...!
【そんなタイミングよく見てるか?】
九尾狐狐⭐︎【見てるよ】
【狐狐ちゃんいるかな...】
【おるやんけ!?】
【狐狐ちゃんもよう見とる】
【しっかりおるw】
『本当にいた...!
ごめん狐狐ちゃん!
今からサプライズ考えるから、記念配信後に見て欲しいの!』
【言っちゃったらサプライズじゃない定期】
【サプライズするって分かってたらサプライズじゃないのよw】
九尾狐狐⭐︎【分かった!】
【狐狐ちゃん十万人おめでとう!!】
『ごめんね、ありがとう!
凸待ち行くからね!』
その声を最後に僕は配信を閉じた。
やっぱりみんなの声を聴くと落ち着く。
僕もなのだが、みんなも忙しくなりコラボする機会がなくなっている。
(またみんなと話したいな...)
凸待ちでみんなが来るのが待ち遠しくなった。
みんなが来たらいっぱい話そう。
僕はそう思いながらマネージャーさんとの個人チャットを開く。
記念配信の台本をマネージャーさんと決める。
とりあえずはどのような配信にしたいかをマネージャーさんに送らなければならない。
内容は凸待ちなのだが、どのような流れで凸待ちを始めるかなど僕が進めやすいような台本を用意する必要がある。
(どんな流れ...か...)
その時、トイッターの個人チャットに通知が届いた。
送り主は夏花さんだった。
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