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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
8章 コミュ障、新プロジェクト!?
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84話 少し違う学校

(完全回復...!)


寝込んだ次の日に万全の状態に戻った僕の体。

自分の回復力が怖いね...

それはさておき、学校へ行く準備をしなければならない。


学校というのは一日いなかっただけで、授業に置いて行かれるなんてことが起こりうる...

昨日渡さんがプリントを届けてくれたが、寝ていて読めなかった。


(渡さんにノート見せてもらおうかな...)


今日の時間割を確認しながら必要な教科書、ノートをカバンに入れる。

二回確認したから忘れ物はないだろう。

制服は家を出る前に着替える派だ。


僕は準備を終え、一回のリビングに行く。

リビングからはパンの焼けた香ばしい匂いがした。

朝は大体パンが食卓に並ぶ。


「お母さんおはよう」


「おはよう、もうすぐできるから待ってて」


「はーい」


待つ間に髪の毛を整え、顔を洗う。

冷えた水が暑い季節には気持ちいい。

ニュースの声が洗面所にまで聞こえて来た、今日も暑くなるそうだ。


肩まである髪の毛を整え終わり、リビングに戻る。

ちょうどお母さんが焼けた食パンを机に運んでいた。

僕はコップと飲み物を用意する。


「ありがとう」


「ううん、大丈夫」


「じゃあ食べよっか」


「うん、いただきます」


「いただきます」


ニュースの音とカリカリの食パンを齧る音。

いつもの朝の風景、いちごジャムを付けた食パンが寝起きのお腹にちょうどいい。

一緒に飲む牛乳も最高に美味しい。


「ごちそうさまでした」


「はい、ごちそうさまでした」


お皿とコップを台所へ運び、僕は歯磨きをしに洗面台に向かう。

お母さんも食器を洗って乾燥機に入れると仕事の準備をしに仕事部屋に入っていった。


やがて家を出る時間になり、僕は玄関に行く。

靴を履いているとお母さんが玄関まで見送りに来る。


「気を付けてね」


「うん、行ってきます!」


「行ってらっしゃい」


お母さんに手を振りながら家を出る。

庭に置いた自転車に乗り学校へ向かう。




学校に着くといつも通り多くの生徒で賑わう。

話し声が響く駐輪場を早足に立ち去り、教室まで移動する。

教室には既に半分以上のクラスメイトが各グループで固まって雑談していた。

僕はいつも通りあまり目を合わせないようにして自分の席に座る。


(この時間苦手なんだよな...)


先生が教室に来るまでの時間、何をして時間を潰せばいいか分からない...

すると僕の元に渡さんがやってきた。


「おはよう、歩さん」


「あ、う...うん、おはよう...」


渡さんは挨拶だけすると自分の席へ戻っていった。

相変わらず学校では委員長モードである。

周りからは珍しいものを見るような視線を感じた。

その視線から気を逸らすように空を眺め、先生が来るのを待つ。




四時間目終わりのチャイムが学校中に響いた。

廊下からは凄まじい足音が聞こえる。

毎日恒例の売店競争が始まったのだ。

僕はそんな慌てる人混みを避けつつ、屋上へ向かった。


相変わらず屋上から眺める景色は綺麗で、フェンスの向こう側に広がる山や空が心を落ち着かせてくれる。

いつもの端にあるベンチでお弁当を食べ始めようとした時、後ろに人の気配を感じた。


「歩さん、今日も隣良いかな?」


「うん、大丈夫だよ」


初めて絡んだあの日からずっと一緒にご飯を食べている。

僕と渡さんが一緒に食べている姿を見た人達からは、謎のペアとして少し視線を感じることもある。


隣に座った渡さんがお弁当を食べ始めた時、ふと気になった事を聞く。


「そ、そういえば渡さんはイラストレーターとしてMonster Liveに来なかったの?」


「一応お誘いのメッセージはもらったけど、私は狐狐ちゃん一筋だからね〜」


「うぅ...照れる...」


マジマジと顔を覗かれるように見られる。

自分でも顔に熱を持っていることが分かるくらい照れてしまう。

きっと今顔は真っ赤になっているだろう...


「それもだけど、私まだ学生だし責任が重そうな仕事は受けないようにしてるんだ」


「た、たしかに、その方がいいかもね」


「やっぱり学力はあった方がいいからね」


「そうだね」


「実はイラストレーターにはならないけど、私も新しい挑戦しようと思ってるんだ」


「そうなんだ、どんなことするの?」


「それは秘密〜」


「もしかして僕関係ある...?」


「Monster Liveは関係ないかな」


「う...ご、ごめん...」


思わず聞いてしまったが、改めて考えると自意識過剰な反応だった気がしてしまう。

無意識に落ち込んでしまい、俯いてしまった。


「まあまあ、私だったら狐狐ちゃんだったら疑っちゃうもん。

こんな身近に大ファンがいて大変だね〜」


「そ、そう言うこと平然と言わないで...

照れる...」


「私は狐狐ちゃんも歩さんも好きだよ?」


「わっ、ふぇ、す、え?」


「ライクの方の好きだよ、もしかしてラブの方が嬉しかった?」


「もう!あんまり揶揄わないで...!」


「ごめんごめん、やっぱり歩さん可愛いから」


「うるさい...」


「とにかく、Monster Liveも新しいことに挑戦してるし、狐狐ちゃんの大ファン兼オープニング作成者の夏花として私も挑戦していくよ!」


渡さんは握り拳を作り僕に向かってガッツポーズのような動きを見せる。

僕はその姿が少し眩しく見えた。


今ですら依頼を受けるほどのイラスト力、学校でのテストも高得点。

そんな渡さんを見て、僕は自分が情けないと感じてしまった。


「僕も...」


「ん?」


「僕も、いろいろ頑張ってみる...」


「じゃあ、私も負けてられないね...

お互い頑張っていこう!」


「うん...!」


「あ、そうそう今日の配信も楽しみにしてるからね、狐狐ちゃん!」


「う、うん...!夏花さんもイラスト描くの頑張ってね」


お互い弄り合うような声色で言い合う。

僕は久しぶりに学校でこんなに話したなと思いながら教室に戻っていった。

それと同時に新たに悩みが増えるのだった。


(僕はどんなことに挑戦すればいいんだろう...)

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[良い点] なにこのやり取りこっちが恥ずかしくなるわもっとやってくだせえ
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