72話 みんなにプレゼント②
「それじゃあ次はエンディングのプレゼントです...!」
「エンディングはどうなるのかしらね」
「楽しみ」
「期待しちゃうよ!」
僕も初めて見るエンディング。
どういったものに仕上がっているのか楽しみだ。
コメントに急かされるように再生ボタンを押した。
画面は紙芝居のような色使いで描かれた縁側。
そこにデフォルメキャラで描かれた僕が目を細めて並んでいる。
空いたスペースの左上にはおすすめ動画やチャンネル登録が置けるようになっている。
ゆったりとしたBGMと少しだけ動く僕のイラスト。
十数秒経つとフェードアウトしていき、やがて画面は暗くなった。
「可愛い〜!」
「凄く和むわね」
「小さい狐狐ちゃん可愛い...!」
「いいなぁ...これ...」
「私達バージョンのエンディングもあるのかしらね」
「多分あるはず...あ!」
僕は事前にエンディングを見終わったらファイルの中を見てくれと言われていた。
ファイルの中を確認すると各一人バージョンがあり、キャラのデータを動画に入れればコラボの場合用に一人一人追加したりできるようだ。
つまり全員のデータを入れれば...
「一人一人のバージョンもあるから流すね!」
「やった!」
「みんなとお揃いのエンディングだ〜!」
「嬉しいわね」
僕はみんなの分のエンディングを流し、それぞれの可愛らしく描かれたデフォルメキャラを眺めた。
全員分のエンディングを流し終え、コメント欄は拍手で埋まる。
「みんな可愛かったね」
「このイラストをグッズ化してほしい...!」
「そうね、大変だろうけど先輩達のイラストも見たいわ」
「みんな、実はまだ終わりじゃないんだよ!」
「「「え?」」」
【なん...だと...?】
【まだ何かあるのか】
【次のプレゼントじゃないの?】
【え?】
綺麗にハモった三人。
僕は急いで僕達四人が並んだバージョンのエンディングを用意する。
「なんとみんなが揃っているエンディングもあるのだ!」
反応を待たずに僕は再生ボタンを押した。
今までと同じ入り、同じBGMなのだが縁側には三期生みんなが揃っていた。
縁側の角度もみんなの顔が見えるように調整されていたのだろう。
可愛らしく描かれた僕達が縁側にいるエンディングが流れた。
「めっちゃいいじゃん!」
「みんないる...!」
「スクショして壁紙にしたいわね...」
「分かってたけど最高だ...」
【イラスト単品でもほしいレベルで欲しい】
【パソコンの壁紙にしたいなこれ】
【揃ってるの最高すぎだろ】
【セブンママありがとう...】
最高すぎて胸が痛い。
コメントでもかなり評価が良く、鳴子ちゃんと同じように壁紙にしたい人が大勢いた。
最高のエンディングの余韻も収まり、次のプレゼントに移る。
次のプレゼントは各自喜びそうな物だ。
「次のプレゼント!」
「まだあるのね!」
「もう既に大満足なのにまだ用意してくれてるの!?」
「嬉しすぎる...」
僕は事前に用意してある台本に従って、順番にプレゼントを発表する。
「まずは奈女々ちゃん」
「私から!?」
「奈女々ちゃんは歌ってみたが人気で、オフでカラオケに行った時も最高の歌を歌ってくれました!」
「そ、それほどでも...」
「これからも歌を頑張ってほしいということで、こちら!」
僕は画面にプレゼントを映す。
プレゼントは性能がかなり良いマイクだ。
歌ってみたが主体の活動をしている方も使っているマイク、奈女々ちゃんの歌声をより最高のものにしてくれるだろう。
「わ〜!欲しかったマイクだ!!」
「見るからに性能が良さそうね」
「良いなんてレベルじゃないんだよこのマイク!
えぇ!?本当にいいの!?ドッキリじゃない!?」
「ドッキリじゃないよ!」
【このマイクどんだけヤバいんだよ...】
【ゲームに例えると掠っただけでラスボスが倒せる剣みたいな感じ】
【↑えぐw】
正直僕自身も性能がよく分かっていないが、いろんなマイクで歌ってきた奈女々ちゃんがここまで喜ぶのだ。
凄まじい性能をしているに違いない。
興奮する奈女ちゃんが落ち着くのを待って、次のプレゼントを公開する。
「次はドクロちゃん!」
「はい...!」
「ドクロちゃんはいろんなホラーゲームを配信したいって言ってたけど、昔のホラーゲームとか発売終了してしまったゲームがあるよね?」
「うん、やりたくても入手できない作品がいっぱいある...」
「そんなドクロちゃんへのプレゼントはこれ!」
画面に古いパッケージのゲームと古い機種のゲーム機が並ぶ。
パッケージからホラー作品であることが分かるが、どれも知らないものばかり。
だが、ドクロちゃんは違った。
「わあ...!もう二度と見れないと思ってたゲーム達だ...!」
「昔のホラーゲーム詰め合わせセットがプレゼントです!」
「凄い...泣きそう...」
【ドクロちゃんホラーゲーム好きすぎでしょ】
【実際どれだけやばいのこのゲーム】
【機種から分かるけどかなり前に生産停止したゲーム機の最初期のソフト、持ってるだけで自慢できるレベルの物ばっかり】
【よく集めたな...】
【実際三期生入ってMonster Liveより一層盛り上がってきてるしね】
ドクロちゃんは声色は変えないまま、興奮していた。
よほど欲しかった物なのだろう。
内容はドクロちゃんの配信を見て確かめることにしよう。
「最後に鳴子ちゃん!」
「はい!」
「鳴子ちゃんはいろんなジャンルの配信にチャレンジしてファン達を喜ばせてくれました!」
「私がやってみたいことをやっているだけよ、でもそれで楽しんでもらえているなら嬉しいわ」
「プレゼントとして、やりたい企画をMonster Liveが全力でサポートする券を送ります!」
「え!?な、なんでもいいの!?」
「さ、流石にお金が莫大に必要な物とか迷惑をかけるものはダメだけどね」
「それは大丈夫よ」
【そういうプレゼントもあるのか!】
【また楽しみが増えてしまった...】
【どんな企画考えるんだろう...】
コメントも僕もどんな企画をするのか気になる。
鳴子ちゃんは本当に全ジャンルの配信をするんじゃないかってくらいいろんなことに挑戦している。
しかもそれは数字を稼ぐ為ではなく、自分が本当にやりたいと思ったことをやっているのだ。
いろんなことを全力で楽しんでいる鳴子ちゃんの姿を見て元気付けられているファンも多くいるだろう。
全員のプレゼント発表が終わり、僕の台本は配信を締めると書かれてあった。
僕はなんとなくそれっぽい言葉を浮かべ、締めの言葉にしようとした時、スタッフさんのアカウントがシャベルに入ってきた。
「あ、あれ...?」
「あら、スタッフさんが入ってきたわね」
「間違えちゃったかな?スタッフさん、今配信してますよ〜」
「......サプライズ?」
ドクロちゃんの予想は正しかった。
数秒の沈黙、スタッフさんのアカウントで動画が再生された。
僕は配信の画面をそのスタッフさんの動画に合わせる。
なぜなら、その動画には一期生と二期生のみんなが映っていたからだ。
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