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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
6章 コミュ障、新たな仲間!?
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68話 第一回ML杯③

「冷静過ぎでしょ...!」


実はうさぎのソウルで使用できるスキルはジャンプした後少しだけ銃を撃てない時間が存在する。

ニコさんはキラリちゃんは目の前にいるが銃を撃てないと判断して僕を先に狙う事にしたのだ。


僕は一瞬動揺するが、銃を撃ち始める。

ニコさんに負けてダウンする自分の姿が頭をよぎった時、ニコさんのパーティー全員がアイテムボックスに変わった。


「ま、間に合いましたね」


「工作さん...?」


「俺、猿のソウルなんで建物登って屋上から侵入してました」


「なんで言わなかったの!?」


「二人でニコさんを倒すように見せておいた方が後ろ取りやすいかなと思って...

後ろ取ってる事言ったら俺を活かそうと二人が耐える動きになってしまうと判断しました」


「た、確かに...とりあえずナイス!」


「急いで回復しましょう」


「は、はい!」


ソラさんのパーティーは恐らく全員回復しているだろう。

今攻められればすぐに負けてしまう。

焦る僕達だったが、ソラさんのパーティーは攻めてこなかった。


「全回復まで持って行けたけど、攻めて来なかったね」


「結構爆弾投げたからだと思います」


「またちゃっかり活躍してるのです...」


「いつの間に...」


「ダウンさせるまではいきませんでしたけど、結構ダメージは入ってたと思いますよ」


「とにかく...三対五か...」


「ニコさんパーティーがダウンさせた人も起こされてるでしょうね」


「ありったけの弾薬持って行くよ!」


「はい!」


「勝とう!」


「任せたからね!」


「頑張るのです!」


ダウンした二人は起こせないと判断し、迫り来る足音に備えた。


一階の扉が開く音が聞こえ、屋上からも足音が聞こえる。

僕達は二階で待機して、上下から攻めてくる相手に対処しなければならない。


「今!」


キラリちゃんの声に合わせて屋上から二階に繋がる階段にありったけの爆弾を投げ、三人で一階へ降りる。

作戦は相手を分断させて確実にダウンさせていく。


作戦は成功した。

真正面から戦えば三対五の状況だが、分断させたことで三対三と三対二をすれば良いのだ。

一階にいた三人にキラリちゃんが突っ込む。

この作戦にも慣れ、僕と工作さんはキラリちゃんを狙っている相手を撃つ。


「ダウンさせました!」


「もう一人もダウン!」


「ナイスなのです!」


「よし、後二人!油断しないで行こう!」


「一回回復します!」


「了解!」


僕はシールドを回復させ、残り二人が降りてくるのを待つ。

一気にピンチになった相手は焦ったのか、階段を一人ずつ降りてきてしまった。

こうなれば後はエイムを置いた場所を撃つだけ。


一人、二人とダウンさせるとソラさんパーティー全員がアイテムボックスに変わり、画面には派手な演出と共に『王者』の文字が表示された。


「やった〜!」


「ナイスすぎるのです!!」


「三人とも凄いじゃない!」


「や、やりました...!」


「キラリさんも狐狐さんもナイスです...!」


「私達もナイスでしょ!」


「もうみんなナイスです!!」


【ナイス〜!!】

【GG!】

【GG】

【4KテレビWIN!!】

【キラリちゃんつえぇ...w】


僕達もコメントも大盛り上がりだ。

初めての優勝、僕は自然と体が震えた。

このままML杯も優勝したい...




「それでは優勝チームにインタビューしましょう!

通話が繋がっていると思います、ニコ・ウラナさーん?」


結果はニコさんのパーティーが優勝した。

あの後も三位になったり、二パーティーに囲まれるも上手く立ち回って勝ったりといい場面はあったのだが、総合結果は四位となった。


「楽しかったけど悔しいね...」


「なのです...」


「つ、次は優勝だから!!」


「最初落としたのが大きかったかもしれないですね...」


「す、すみません...」


「悔しいけど、結果は四位だよ!

チーム名にも四って入ってるしこれはこれでいいんじゃない?」


「そうですね、とても楽しかったです」


「またこのメンバーでゲームしたいのです」


「そうね!その時は私が一番活躍しちゃうんだから!」


「私も負けないよ!」


「ぼ、僕も頑張ります...!」


こうして第一回ML杯は幕を閉じた。

ネットには全チームの様々な応援イラストが並び、しばらく熱は冷めそうになかった。




「歩、お疲れ様!」


「お、お母さん...ありがとう」


「惜しかったね〜頑張ったね〜」


お母さんが僕を抱きしめながら頭を撫でてくる。

心地よくて気持ちいのだが、もう高校生だ。

流石に恥ずかしさを感じ、お母さんを振り解く。


「もう少し撫でさせて欲しかったな〜」


「ダメ...!」


「残念...っとそうだ」


お母さんが何かを思い出したように玄関に向かった。

戻ってきたお母さんは段ボールを持っている。

ぱっと見フィギュアサイズだ...


「これMonster Liveの事務所から来てるみたいよ」


「え?」


宛先はMonster Liveの事務所だが、端に九尾狐狐様宛と書かれていた。

僕はお母さんにハサミを借りて段ボールを開封する。


丁寧に梱包されていたものは初期衣装の狐狐フィギュアだった。

細かな部分まで作られており、とてつもないクオリティだ。


「え?まだフィギュアとか販売されてないんじゃ...」


「これファンメイドなんだって」


お母さんが入っていた手紙を読みながらそう言う。


「勝手に手紙見ちゃっていいの?」


「いいのいいの!狐狐ちゃんのお母さんなんだから!」


「いいのかな...」


お母さんは手紙を読み終えたのか、僕に渡してくる。

手に取った手紙に目を通すと、僕の配信を見て自分も頑張ろうと思えた、これからも応援します。

そう言った内容が書かれていた。


「良かったね」


「う、うん...」


何故か自然と涙が溢れそうになった。

手に持ったフィギュアを見つめる。

そこには確かに九尾狐狐がいる、愛が込められたフィギュアとして。

僕は大切に自室へ持っていき、埃を被らないようケースに入れた。


(僕の配信が誰かの力になっている...か...)


僕は改めて頑張ろうと決意し、美味しそうな匂いのするリビングへ戻るのだった。


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