57話 顔合わせ配信開始!
「み、皆さん...!ここにちは〜」
初対面の四人がいる中での挨拶、無意識のうちに緊張し体が強張る...
僕の緊張が伝わってしまったのか、コメントでは緊張した僕を心配するコメントが見えた。
「はい...もうバレてると思うんですけど、凄く緊張してます...」
【知ってた】
【知ってる】
【もっと緊張して】
「と、とにかく...!今回のイベントで同じチームになった皆さんに自己紹介してもらいたいと思います」
「俺から行きますね。
どうも皆さん、工作造です!
今回は狐狐さんを始め、色んな方とのコラボに気持ちが昂っています...!
よろしくお願いします!」
【初めて見る人だ...】
【工作さんだ!】
【おい、そこ変われ】
「はいはーい!次私!
みんなヤッホー!吉良キラリだよ!
今回のイベントは狐狐さんに会いたくて参加しちゃいました!
もちろん優勝目指すよ!よろしくね〜!」
【声たっかw】
【この女この声から想像つかないくらい歌エッグいぞ】
【この声で歌バカ上手いんだよな...】
「では次は私です。
このきのこです、今回は頑張ろうと思います」
【でた、きのこのヤベェ奴】
【知らない子だけどやばいの...?w】
【きのこが好きすぎてVtuber始めた人】
【なんかもうヤバそうw】
「最後に私ね!
皆さま!私はレヴィ!
今回のイベントは凄く楽しそうだったから参加したわ!
よろしくお願いします!」
【可愛いんよなこの子】
【初めて見たけど可愛いな】
【レヴィちゃん頑張って〜!】
全員が一通り挨拶を終え、コメントではそれぞれの面白いところを語り合っている。
そのコメントを横目に、僕はカンペで用意していた台本に従って進行していく。
「それでは、今回のイベントでやるゲームの練習をしていきましょう」
「了解です、狐狐さんの部屋に入れば良いですか?」
「あ、はい、開いているのでえっと...フレンドコードをシャベルに貼りますね」
【狐狐ちゃんの部屋!?】
【おい工作】
【工作お前】
【俺も狐狐ちゃんの部屋行きたい】
「え!?ちょ、ちょっとなんで僕こんなに言われてるんですか!?」
「言い方の問題かなぁ〜...」
「言い方がなんかやらしいです」
「そ、そんなだったか!?」
「ま、まあまあ...リアルの僕の部屋フィギュアばっかりなんで面白くないですよ...?」
「狐狐さん、ややこしくなるので説明しなくて大丈夫です!」
【狐狐ちゃんの部屋はフィギュアだらけ、と...】
【知ってた】
【もしかしてそのフィギュアってMonster Liveだったりしない?】
【↑絶対そう】
「ゲームが始められない...!!」
「待って...どうやって狐狐さんの部屋に入るんですか?」
開始早々カオス空間となる顔合わせ配信。
だがこのワチャワチャ具合がコラボならではだと思い、事故らないことを祈りながらゲームを進めるのだった。
ゲームのチュートリアルをプレイし、オンラインマッチができるようになった。
早速マッチングを待ちながら、決めないといけないものの話し合いを始める。
「ところで皆さん、チーム名どうしましょうか」
「チーム名ですか...」
「みんなが関係している名前がいいよね」
「私はチームリーダーの狐狐さん主体のチーム名でもいいです」
「私も何でもいいですよ!」
【このメンツで良いチーム名か...】
【共通点あるか?】
コメントでも考えてくれる人が大勢いた。
「共通点ですか...」
「狐狐と愉快な仲間達...?」
「愉快な仲間達ですか...他にないですかね」
「見てるきのこ派のみんなも考えてほしいです」
工作さん、吉良さん、このきのこさん、レヴィさん...そして僕、狐狐...
イニシャルはレヴィさん以外K...
レヴィさんの人気の動画は教えてレヴィ...
そこでふと家電を思い出した。
「4Kテレビ...とか、どうですか...?」
思ったままに口にしたので自信がなく、少し小さめの声で呟く。
「4Kテレビ...由来を聞いても良いですか?」
「えっと、僕、工作さん、吉良さん、きのこさんのイニシャルがKだから4Kで、レヴィさんの人気動画の教えてレヴィからテレビを取ってみました...」
「4Kテレビ結構覚えやすいしいいと思う!」
「みんなの名前に関係してるので私もいいと思います」
「良いんじゃないですか!」
「なるほど、確かにみんなの名前から考えられるチーム名ですね」
【4KテレビWIN...俺は覚えやすいと思う】
【4Kテレビで検索したら家電ばっかり出てきそうw】
【狐狐ちゃんが考えた名前なら異論はないぜ】
コメントでも覚えやすいと高評価だった。
四人の反応も良さげだったので、僕はスタッフさんにチーム名『4Kテレビ』をメッセージで送信する。
数秒で『了解です』と返信が来た。
「あ、4Kテレビでチーム名決定しました」
「お!チーム4Kテレビで優勝目指しますか!」
「優勝しようね!」
「優勝したいです...!」
「やるからには勝ちましょう!」
【♯4KテレビWIN!】
【♯4KテレビWIN!】
【♯4KテレビWIN】
コメントでも僕達のチーム名が広まり、早速タグ付けして応援してくれる投稿があった。
「あ、マッチングしましたね」
「最初はいろいろ試しながらでやってみますか」
「私がばったばったと敵を薙ぎ倒すよ!」
「私はサポートが好きだから後ろに居たいです」
「私も前線で戦いますね!」
ゲーム画面が切り替わり、広大なマップの上空が映し出される。
僕達は何も分からずに戦場へ降り立つのだった。




