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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
3章 コミュ障、ファンが増える!?
25/158

24話 五万人記念配信!②

「え...?」


連続で聞こえた入室音に驚き、思わず声が漏れた。

通話部屋を見ると全員が揃っていた、静かになった配信にコメントもざわつき始めた時、ルーさんの声が響いた。


「せーのっ!」


全員「狐狐ちゃん!五万人おめでとう!!」


Monster Live全員の声が重なる。

コメント欄も初めての展開に流れる速度が異常だ。


「み、みんな!?どうして...」


「今回から一人一人でメッセージを送るのではなく、別のことをしようということになったんだ!

狐狐ちゃんの五万人記念は僕達MonsterLive全員で考えた歌のプレゼントだ!」


ルーさんがそう言うとURLが届いた。

配信に載せても良いと言うメッセージ付きで、僕は驚きを隠せないままURLをクリックし画面に映す。


「え...すごい...」


優しいメロディのイントロが流れ始め、山の中に建っている家のイラストが背景に流れる。

歌詞は一匹で生きていた狐が人間に憧れて空回りしながらも努力して、人間と仲良くなると言うものだった。

背景の絵は色鉛筆で描いたようなイラスト、最初はただの白い狐だったがラスサビになると立派な九尾となり人間の姿をしている。

そして、右手に持つスマホにはルドラさんらしき配信者が映っていた。


【泣きそうなんだけど】

【狐狐ちゃん成長したなぁ...】

【泣き虫だった狐が今こうやって仲間に囲まれて...】

【エッモ...】


「改めて、五万人おめでとう!」


「おめでとうございます、狐狐さん」


「本当におめでとう、狐狐ちゃん」


「狐狐ちゃん凄い、おめでとう」


「おめでとうー、狐狐ちゃんー」


「流石イオが育てた後輩なのだ!おめでとうなのだ!」


「おめでとう、狐狐ちゃん。

ま、これからも頑張りなさいよ」


「自慢の同期だわ、おめでとう狐狐ちゃん」


「狐狐ちゃんおめでとう!!私も誇らしいよ!」


「狐狐ちゃん、おめでとう、次は十万だね」


ルーさん、ニコさん、ソラさん、レミさん、リンさん、イオさん、パンさん、鳴子ちゃん、奈女々ちゃん、ドクロちゃん...

みんなの声が心に沁みてくる...

そして、静かにルドラさんが話し始めた。


「結局みんなからのメッセージになってしまったな。

...狐狐、お前が私を見てくれていたように今は私もお前を見ている。

もう画面の向こうではなく、共に並び共に進み続ける仲間だ。

これからもよろしく頼む。

そして、おめでとう...狐狐」


ルドラさんが言い終えると拍手が聞こえてくる。

コメント欄でも一緒に泣いている人や拍手をくれる人がいた。

僕はルドラさんのメッセージに涙が堪えきれずに溢れる。


「狐狐...?大丈夫か?」


ルドラさんの優しい声が聞こえる。

涙を腕で拭い、俯いていた顔を上げた。

今目の前にあるのはモニターだが、その奥にいるであろうルドラさんや他のMonster Liveのみんな、そしていつも配信を見てくれるココ友のみんなに向けて満面の笑みを浮かべる。


「みんな...ありがとう...!」


僕の震えた声が静かに響いていった。




【五万人記念配信!】五万人ありがとう!!【九尾狐狐】配信終了


@九尾狐狐 Monster Live三期生

今日は来てくれてありがとうございました!

メッセージだけでなく歌までプレゼントしてもらって、本当に最高の日になりました!

みんなありがとう!これからも頑張ります!

♯狐狐ライブ




配信を終え、僕は受け取った歌のデータを自分のフォルダに保存した。

この歌は家宝にする...


「狐狐ちゃん配信お疲れ様〜!」


「ちゃんと配信切れてるか確認したかしら?」


「鳴子ちゃん、ママが出てるよ」


「だって心配じゃない!」


「うん、大丈夫だよ、ありがとう」


「ならよかったわ」


「いや〜、それにしてもあの初配信をした狐狐ちゃんが五万人とはね...」


「僕もそう思う...初配信やり直したい...」


「でもあの配信だったからこそ応援したいって思ってくれた人もいたんじゃないかな」


「そうだな、あの必死な配信は応援したくなると思う」


「ルドラさんまで...」


「どんなきっかけでも良い、狐狐は頑張っている。

これからも頑張ってくれ」


「はい...!ありがとうございます...!」


「敬語じゃなくていいぞ」


「あ、ごめん...まだ先輩相手には慣れなくて...」


「ああ、ゆっくりで良いぞ。

っと、私は明日も早いから落ちるぞ」


そう言ってルドラさんは落ち、他のみんなも軽く雑談したところで落ちていった。

そしてそのまま、いつものように自然解散となる。


明日からまた学校だと言うのに気持ちがふわふわと浮かび、自然と笑顔になっていた。

これからも頑張っていこう...

そう思い、瞳を閉じるのだった。






時計の針は午前四時を指す。

月が沈みかける時、彼女はパソコンに映った九尾狐狐のイラストを見て満足げに伸びをする。

机にはエナジードリンクの缶が二本並び、既に一本は空になっていた。


「もうこんな時間...学校終わったなぁ...」


狐狐の大ファンである姫島渡(ひめじま わたり)は狐狐の真似をした前髪ちょんまげを揺らす。

学校のことを考え憂鬱な気分になっていた彼女だが、途端ニヤリと笑みを浮かべる。


「まさか私の作ったアニメを使ってくれるなんて...狐狐ちゃん大好きだ〜...」


そう、彼女はオープニングアニメを作ったsummer flowerなのである。

由来は苗字と名前の頭とお尻を取った「ひまわり」、その英語であるsun flowerのsunを夏のsummerに変えたものらしい。


「とにかく、これを投稿して...

よし、今日に備えて寝るか〜」


渡はパソコンの電源を落としてベッドに横になり、狐狐がMonster Liveの先輩に迫られる所を妄想しながら眠りに付くのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] みんなで祝うところ、目から水が出ました……後歌のところび、病気かな……?星5どうぞ、正直感動しました、いい話ありがとうございます。
[一言] わお……… てっきり男かとw
[一言] ついに小説がまた読めるようになりました。最近は仕事がとても多いです。
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