表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
13章 コミュ障、3D化!?
157/158

156話 狐狐ちゃん3D配信の裏側(稲香視点)




【同時視聴】狐狐先輩の配信を一緒に見よう【長閑稲香/骨掘わんこ/夢中メア/ファリー】配信中




運営さんからメッセージが届いた。

狐狐先輩が重大発表をするから見届けて欲しいと...

こうしてfamily一期生の私達は狐狐先輩の配信を同時視聴しながら配信している。


「狐狐先輩の重大発表...ね...」


メアちゃんの心配そうな声、他のみんなも雑談できないほど変な緊張感に包まれていた。

今までMonster Liveはこういった事は起きなかったから余計だ。

重大発表、しかもそれを後輩に見届けて欲しいとなると思い浮かぶ言葉がある。


卒業...


まだ1年も経っていないが、狐狐先輩の気持ちは誰にも分からない。

もしかしたら私たちが知らない所で嫌な言葉を言われたり、配信を続ける上で苦痛が生じる出来事があったのかもしれない...


「狐狐先輩...」


重い空気の中、待機画面がフェードアウトしていく。

狐狐先輩を除いた三期生3人が画面右下に並び、真っ暗な画面を眺めている。


「始まったわね...」


「そ、そうワンね...」


狐狐先輩の声が震えている。

いつもの元気な挨拶が嘘のようだ。

その声を聞いた瞬間、卒業の2文字がより一層濃く見えた。


「う...」


自然と溢れ出す涙、堪えきれず漏れてしまった声がマイクに入ってしまう。

だが、他のみんなも何か堪えているように真っ暗な配信画面を見つめる。

次の瞬間、画面には3D化した狐狐先輩の部屋が映った。


「え...」


その画面を見た瞬間、全てを理解した。

涙は止まるどころか溢れ出す。

しかし、涙の意味は全く別のものへと変わっていた。


「3Dだ!!狐狐ちゃん3Dだぁあ!!!」


「い、稲香ちゃん...落ち着いて...?」


ファリーさんがそう言うが気持ちの昂りが抑えられない。

全身という全身を震わせ、心から溢れてくる衝動を抑えるが無理だった。

腕をブンブン振り回し、座ってられなくて立ち上がった。

顔が認識されなくなり、モデルは固まってしまったが私の暴れている音はしっかりと拾っているみたいだ。


「狐狐ちゃ...先輩...!!!」


「あ、言い直したワン」


「さっき思いっきりちゃん付けで呼んでたもんね」


「だって...だって...!狐狐先輩3Dだよ!?

Monster Live最速だって...!!」


「え、そうなの...?」


「そうだよ...

今まではルドラ先輩が1番早かったけど狐狐先輩はそれ以上早かった...!

もちろん3D化の早さが全てじゃないからね!」


「そ、それはわかってるワン」


私が話している間にモデルを公開する一歩手前まで進んでいたようだ。

遂にこの瞬間が...!

大人しく椅子に座り直し、その時を待つ。


『ということで...!

僕、九尾狐狐は3D化しました〜!』


「きたぁあ...あああぁああああ!!!」


「狐狐先輩!?」


「こけたワン!?」


「あら〜...」


大の字の狐狐先輩が満面の笑みのまま、右半身を下にするように滑って転んだ。

アニメのワンシーンのように綺麗に90度回転して倒れた狐狐先輩のモデルが、物凄く痛そうに上半身を起こす。

高性能すぎるセンサーが寸分狂わず狐狐先輩の動きをそのままモデルに反映する。


「何というか...狐狐先輩らしいわね...」


「こういう所が狐狐先輩って感じだけど痛そう...」


「セブンママが来たワン」


「こうして見てると本当に親子なんだなって思うな...」


セブンママから保冷剤を受け取った狐狐先輩はヨタヨタとカメラ付近に来てくれる。

動きすらも完全に解釈一致、最初のコケですら狙っているんじゃないかと思うほどだった。

コメントでは【原作再現】や【俺達の思ってた九尾狐狐】と書かれていた。




「これもしかして二期生の動物をジェスチャーしてる?」


狐狐先輩のジェスチャーゲームを見ているとメアちゃんがそう呟いた。

合間合間に別のお題を挟んではいるが、カンガルー、ライオン、パンダがお題として出てきている。


「確かに言われてみればそうだワン!」


「よく気付いたね〜」


「流石狐狐先輩...こういう所でもMonster Live愛が...」


「流石だね...」


Monster Live愛が止まることを知らない狐狐先輩を見て、自分がまだまだだと感じる。

そして配信では精一杯動き回る狐狐先輩の動きを見て愛されている理由が嫌でもわかる。

やっぱり私の憧れの先輩で、最推しだ...


「ほら!やっぱりキリンだよこれ!」


メアちゃんの声で我に帰る。

現在狐狐先輩が頑張って腕を伸ばし、手をぱくぱくとさせていた。


「本当ね」


「一期生はと思ったけど、ルドラさんのドラゴンとか難しいか...」


「エルフも難しいワン...」


「パンダも凄く頑張って表現してたもんね〜...」


「私達も3D化できたらみんなのジェスチャーをしたいわ」


「それを言ったら特別感がなくなるワン」


「まぁまぁ、それは今後の楽しみにしよ!」


そうこう言っている間にジェスチャーゲームが終わったようだ。


優勝者は...狐狐先輩をモフれるだって...?


三期生は冬にオフ配信をする予定があるので、そのタイミングでモフられるのだろう...


「奈女々先輩が優勝しちゃった...」


「狐狐先輩が危ないワン!」


「稲香ちゃん、奈女々先輩が羨ましいんじゃないの〜?」


ファリーちゃんがそう聞いてくる。

だが、推し同士の絡みに混ざるファンはいないだろう。

私は当たり前のように淡々と答える。


「なめここは良いと思います」


「稲香ちゃんも好きよね〜...」


「ファンの鏡ワン...」


「稲香ちゃんもMonster Live大好きだからね!」


こうして狐狐先輩の3D配信は大盛況で幕を閉じた。

ちなみに、なめここのファンアートが急増し、たまに私が端から眺めているイラストが描かれることになった。

読んでいただきありがとうございます!

誤字脱字等ありましたら報告していただけると助かります...!


Twitter作ってみました!

気軽にフォロー、DMなどどうぞ!

感想やご意見など励みになります!

@_Kamu_Kamu

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここにも限界オタクがw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ