146話 Monster Liveを愛する者達①
遂に公開された『Monster Live LOST』。
やはりと言うべきか、公開初日だというのにダウンロード数は桁を増やしていく。
動画サイトでも現在配信中のサムネイルは『Monster Live LOST』が並んでいた。
もちろん僕もダウンロードして既に配信を始める環境は整っている。
だがまだ配信はできない、もう配信開始5分前だというのに...
「...あ、だ、大丈夫?」
「は、はい...大丈夫...です」
なぜか僕の隣には稲香ちゃんが並んでいた。
『稲香ちゃんとコラボですか?』
それは昨日の夜に届いた。
どうやらMonster Live博士こと僕と familyのMonster Live博士の稲香ちゃんでコラボして『Monster Live LOST』を配信してほしいというもの。
Monster Liveが大好きな僕達がプレイすればより面白くなるのではと話題になったかららしい。
僕自身稲香ちゃんと仲良くなりたかったので断る理由もなかった。
そこから今に至るが、どうしても緊張するのか稲香ちゃんがガチガチになってしまっている。
気持ちはものすごく分かる...
共通の友達という緩和剤を失った時、何を話せばいいか、どう話せばいいかが分からなくなってしまうのだ。
だが、僕はもう先輩だ。
稲香ちゃんをフォローできるくらいの立ち回りを見せなくては...!
「よ、よし!稲香ちゃん、配信始めるよ...!」
稲香ちゃんのモデルがビクッと動く。
数回頷いた後ようやく声が聞こえた。
「は、はい!」
僕は配信開始ボタンを押し、配信を開始した。
【Monster Live LOST】絶対に助けてみせる...【九尾狐狐/長閑稲香】配信中
@九尾狐狐 Monster Live三期生
遂に公開されました。
絶対にみんなを救い出します...
強力な助っ人、稲香ちゃんと一緒に...!
#狐狐ライブ
#Monster Live LOST
配信画面にゲーム画面、モデルが映っていることを確認していつもの挨拶に映る。
「ここにちは〜」
【ここにちは!】
【きちゃ!!】
【ここにちは〜】
【稲香ちゃんマ!?】
【待ってた】
【この2人は俺得すぎる...】
「ほら、稲香ちゃんも挨拶しよ...?」
「う...長閑稲香...です...」
【ガチ緊張w】
【稲香ちゃんココ友だもんなぁ...】
【↑マジ?】
【1番好きな配信者狐狐ちゃんって言ってたぞ】
【最推しとコラボか、そりゃこうなるわな】
「こ、コメント...!うるさい...!」
【やっべ怒られた】
【いえーい、稲香ちゃん見てる〜?】
【緊張しなくてもええんやで】
「稲香ちゃん結構緊張してるみたいだけど、リラックスしていこ...!」
「わ、分かった...」
【狐狐ちゃんが先輩ムーブしてる...!】
【成長したなぁ...】
【俺泣きそう...w】
コメントが謎の感動の渦に包まれている。
僕は気にせずゲームの話題に変えた。
「それじゃあ、Monster Live LOSTやろう...
早くこのタイトル画面から進みたい...」
ダークな雰囲気が漂うタイトル画面に胸が苦しめられる。
スタートすれば即ゲームが始まる仕様なので自己紹介が終わるまでは押せなかった。
スタートボタンを押すと、チュートリアルをスキップしますか?と選択肢が表示された。
チュートリアルは丁寧な作りがされており、結構なボリュームとなっている。
一昨日の配信でチュートリアルは終えているので、スキップした。
一応ココ友のみんなにも聞いた上でスキップしているので大丈夫だ。
チャプター1が始まる。
流石にチャプター1をスキップすることはできず、僕は慣れた手つきで進んでいく。
「狐狐先輩上手...」
「ふっふっふ...デモ版で練習しておいたからね...」
あの配信後、操作感覚を忘れないように密かに練習を重ねていた。
僕にはMonster Liveを救うという使命があったからね...
そしてこのMonster Live LOSTが公開された今日から一期生と二期生が休みに入っている。
そう、ゲーム世界とリンクさせるために姿を隠しておくのだ。
そうすることでよりリアリティが出て、ゲームに対するモチベが上がる。
Monster Live LOSTは難易度が2つだけあり、推奨は何も弄らないノーマル。
どうしてもクリアできない人向けにイージーがあるが、何回かゲームオーバーになってようやく出てくる設定になっている。
と言っても、相当ゲーム慣れしていない人でなければクリアできる難易度に設定されている。
「とりあえずチャプター1はさっくりやりますね」
「早過ぎない...?」
僕は自分の妖術で身体能力を強化してビルの上を飛び移り、目的地の最短ルートで移動する。
人に見つかりそうになった瞬間にドクロちゃんの妖術を使用、ほぼミスのない立ち回りでチャプター1をクリアした。
それもそのはず、デモ版はチャプター1しかないのだから練習するとなるとひたすらチャプター1を走ることになる。
必然的に最適化されるのだ。
【あれ?RTA?】
【あまりにも早すぎるw】
【まーたこの狐極めようとしてるぞ...】
【これはMonster Live LOSTしないです】
一応ストーリーは見ておこうとスキップせずに流しておいた。
ざっくりチャプター1を説明すると、急に一期生二期生が配信できなくなったのでファン達が混乱、主人公が原因を確かめに異世界と繋がっているゲートに向かうと異世界側から閉じられていることが判明した。
という感じだ。
正直新しい情報が少ないので全貌は見えない。
そしてここからは未知の領域、チャプター2だ...
「じゃあ、チャプター2いきますよ...!」
「が、頑張って...」
【狐狐ちゃん頑張れ!!】
【俺たちの分まで頑張ってくれ...】
【頑張れ〜!】
自動セーブの後、データの読み込みが行われた。
僕は絶対にクリアしなければならない...
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