144話 Monster Liveの危機!?②
ゲームの世界は夕暮れ、1番あの世との距離が近いと言われる時間らしい。
僕達妖怪と関わっているせいか、主人公の前には悪霊が現れる。
しかもかなりクオリティの高い、気持ち悪いデザインだ。
「これ怖すぎじゃないかしら...」
「うん、私も少し驚いた」
「...ドクロちゃんですら驚くデザインは子供泣いちゃうよ!?」
「というか戦闘あるとは思わなかった...」
「そうね...っと、ここで私の出番かしら。
えっと?見つかっちゃったわね、これは見ての通り悪霊よ。
今までのあなたには見えてなかったでしょうけど、私達妖怪と関わったんだもの、見えるようになってしまうわよね...
さて、お話はここまでにして悪霊は戦って撃退するしか逃げ切る方法は無いの。
はい、私の妖術であなたを怪力にしてあげたわ。
......大丈夫よ妖術を使っている間は悪霊にダメージが通るの。
でも妖術を使ってない時は攻撃してもダメージが与えられないから注意ね。
他のみんなの妖術も借りながら悪霊の動きを見て、私の妖術で撃退して頂戴!
......私のセリフ長くないかしら」
「戦闘の説明は丁寧にしなきゃ」
「それもそうね、さあ狐狐ちゃん頑張って撃退するのよ!」
「任せて...!」
【MG杯見てたら物凄く狐狐ちゃんがかっこよく見える...】
【分かるわ...】
【今の任せてはヤバいw】
【あの感動シーン思い出すわ】
僕は鳴子ちゃんの妖術を使って悪霊に接近する。
だが、一人称視点のゲームかつ相手は気持ちの悪い悪霊だ。
慣れない操作と無意識な拒否反応で操作ミスしてしまい、パンチを外してしまう。
1発攻撃を喰らうと思った瞬間、見えない壁に悪霊が当たったように怯んだ。
「最初のバトルだからお助けありかな...?」
「とりあえず倒しちゃいましょう」
少し慣れてきてなんとか悪霊を撃退した。
悪霊を撃退した主人公を鳴子ちゃんが褒める。
そんな時、もう1人の声が聞こえてきた。
正確にはセリフが聞こえてきたのだが...
「これは私だなぁ...」
「名前『?』になってるけど、これは奈女々ちゃんだね」
「読むか...ちょっと待った〜!!」
「ついさっきの奈女々ちゃんと同じリアクションじゃない?」
「すごいね...そのまんまだ...」
名前が?のキャラは姿を現す。
なんの驚きもなく、当たり前のように奈女々ちゃんが出てきた。
「ちょっと3人とも!
かっこいい妖術でサポートしちゃって、私垢舐めだよ!?
...ねぇ、なんでこんなに私読まれてるの?」
【完全一致w】
【そりゃ日頃から本性丸出しだからなぁ...】
【運営も分かってるんや】
【むしろこれが奈女々】
「すごいわね、完全に一致したじゃない」
「なんか読まれてるみたいで嫌なんですけど...!」
「まぁまぁ...きっと便利な能力だよ...」
「私の妖術はこれ!...ちょっと汚くない?」
奈女々ちゃんの妖術は目的地までの道のりをマーキングできるものだった。
聞く限りかなり便利な妖術だが、この妖術設定が少し汚い。
その目的地にいる人の垢を追う妖術なのだ。
「なんかもっとなかったかな...」
「物凄く便利だよほら...」
「狐狐ちゃんの励ましが身に染みる...」
マップに目的地までの道のりが赤く表示された。
チュートリアルでは妖術に慣れることと、弱い悪霊を倒すのが目的だ。
その目的を果たし主人公は自分の家へと帰る。
その道のりを示してくれるのが奈女々ちゃんの妖術である。
「にしてもこの街並みのクオリティでオープンワールド作れるのね...」
「このクオリティは相当軽量化とか頑張らないと作れない」
「相当力入れてくれたんだなぁ...」
「これでみんな救えなかったら運営に報告します」
「...初めて聞く声色」
「狐狐ちゃんがガチだぁ...」
「う、運営さん!?ストーリーは大丈夫かしら!?」
【狐狐ちゃんこっわw】
【流石に自分達のとこのライバー達を悪いようにはしないでしょう...多分...】
【これで狐狐ちゃんが闇堕ちしてみんなが助けに行くまでが物語】
【闇堕ち狐狐ちゃんちょっと見てみたいw】
僕は久しぶりにやるオープンワールドに興奮を覚えながらも、オープニングで見た光景が頭の中に何回も浮かび上がる。
みんなのいないMonster Liveを想像しただけで涙が滲みそうになる。
「これ製品版いつ出るんですかね...」
運営⭐︎【明後日です】
【運営!?】
【全ての元凶】
【諸悪の根源】
【散々な言われようで草】
【ストーリーは大丈夫なんだろうなぁ!】
【俺らの狐狐ちゃんが黙って無いぞ!】
【三下感すごいってお前ら...w】
まさかの運営登場にコメント欄も速度を上げる。
僕も独り言のように呟いたつもりが、まさか返答があるとは思わなかった。
「え、発売日当日から配信とかしても良いんですか?」
運営⭐︎【大丈夫です】
「よかったじゃない!最後までやってみんなを助けられるわよ!」
「今日は途中までになっちゃうと思うけど、明後日まで待てるかな...」
「それはもう待つしか無いね〜」
「頑張って」
「うぅ...」
そんな話をしつつゲームを進める。
日付が変わり、主人公は別の任務へと足を運ぶ。
どうやら流れは昼間は人の視線を避けながら情報集め、夜に悪霊を撃退もしくは回避しながら昼で得た情報の確認。
これを繰り返すことで真相に向かうようだ。
「よし...最速で行ってやる...」
「狐狐ちゃんの目に炎が見えるよ〜...」
「燃えてるわね...」
「こうなった狐狐ちゃんは凄い...!」
コメントでも応援をもらいながら、僕は現世の街を駆け回った。
チャプター1が終了し、画面には『製品版をご期待ください』と文字が映し出された。
「ここまでか〜...」
「異世界側からゲートが閉じられたんだね」
「そうね、詳しい原因は分からないけれどチャプター2以降で語られるのかしら」
「ここからもっと楽しくなる」
僕はタイトルに戻った画面を見て、緊張で張っていた心をほぐす。
配信時間はいつもの倍ほどになっており、既に深夜とも呼べる時間になっていた。
軽くトークを挟んで終わりの挨拶をする。
「このMonster Live LOSTは明後日販売となります!
皆さんも一緒にみんなを救い出しましょう!
それではおつここ〜」
「「「おつここ〜」」」
【おつここ】
【おつここ!】
【おつここ〜】
【おつここ〜!!】
配信を終え、時間も時間ということで即解散となった。
眠気を感じた僕はすぐに眠りにつくのだったが、夢にMonster Live LOSTが出てきてしまい、泣きながら目を覚ますことになってしまうのだった。
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