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前世がコミュ障男な僕がVtuberになれますか?  作者: カムカム
10章 コミュ障、戦場に行く!?
112/158

111話 個人特訓

練習試合は夜に行われる。

それまでの間は時間がある。

僕は索敵矢、ダメージ矢のレパートリーを増やす個人特訓をすることにした。


配信をつけると相手チームに知られる可能性があるので配信はしない。

もちろん練習配信を見るのは本番が終わるまで見ないようにと言われているが、念のためだ。


僕は溜まっていたみんなのアーカイブを携帯で聞きながら定点を一つ一つ覚えていく。

索敵矢を撃ち、ここに刺さればどこまで見えるのか。

ダメージ矢はどこからなら設置位置に入るのかなど。


(ネットで拾った情報だとここら辺で...)


矢を撃つと動画と同じ軌道を描き、サイト内の壊しにくい場所へ刺さった。

壊しにくいのに強力な場所、これは使える...

愛用の付箋がどんどん薄くなっていく。


一つ目のマップの定点を覚えた頃、聞いていたニコさんの雑談配信でMG杯の話題を話し始めた。

つい手を止めて耳を傾ける。


『MG杯ですか、結構楽しみにしていますよ。

やはり皆さんお上手ですから、私の実力でどこまでいけるのかが気になります』


その時、とあるコメントを見て胸が締め付けられる感覚に襲われる。


【正直狐狐じゃなくて良くね?】


すぐにコメント欄から流れたが、その一文が頭に残って離れない。

少し呼吸が荒くなるのを実感した。

やっぱり僕は出ない方が...


『狐狐さんはチームに必要ですよ。

索敵矢の場所もタイミングも試合を有利に進められる一つだと私は思っています』


【でも撃ち合い下手すぎでしょw】


『撃ち合いが苦手だからこそ最後まで生き残ってサポートしてくれるんです。

索敵矢はファンボでトップクラスの強力スキルです。

そのスキルを使用できるキャラが最後まで生き残るということは、最後までチャンスが残るという事です。


狐狐さんの一番の力は私達を勝たせたいという強い気持ちだと思っています』


【ニコさん反応しなくてもええで】

【無視が1番】

【狐狐ちゃん多分このアーカイブ見るぞw】

【狐狐ちゃん宛にメッセージ送るかw】


冗談半分で始めたようなノリ。

だが、そのコメントから一気に流れが加速した。


【狐狐ちゃん頑張って〜!】

【狐狐ちゃんの研究力見せてやれ!】

【索敵矢参考にしました!】

【狐狐ちゃんの索敵矢真似したら野良から褒められたよ!】

【狐狐ちゃんのエルフが見たい!】

【狐狐ちゃんWIN!!】

【狐狐ちゃんのいいとこ見てみたい〜!】


壊れかけた心が温かい何かで覆われるように体が熱くなる。

自然と視界が滲んでいく。


『全く...私の配信なんですけどね...

狐狐さん、私達のチームにはあなたが必要です。

一緒に頑張りましょう』


ニコさんはそう言うと話題を切り替えた。

いつまでも僕の話をするわけにもいかないだろう。

僕はパソコンがスリープモードになったのも気付かないくらい、涙が溢れていた。




僕はニコさんのアーカイブを見終わり、ファンボのマネキン撃ちを始める。

僕は撃ち合いに強くなればもっとチームの勝利に近付く。

練習しないわけにはいかなかった。


(エイム上達方...立ち回り...)


ファンボの解説動画を漁りまくる。

どうすればエイムが良くなるのか、倒されない立ち回りは何なのか。

手に入れられる情報は全て手に入れようとした。


時間はお昼時、お母さんの声が一階から聞こえた。

降りると階段の下でお母さんが待っていたが、僕の顔を見ると笑顔から一瞬で心配している表情へと変わり、階段を登ってきて僕に駆け寄る。


「どうしたの?」


「ん?何が?」


「目が真っ赤に腫れちゃってるけど...」


「あ、あぁ...うん、大丈夫」


自分でも分かるくらい決意に満ちた声色をしていたと思う。

僕は必要とされている、だからもう大丈夫。

お母さんも僕の状態を見て安心したのか笑顔に戻ってくれた。


「ならよかった、悩みがあるならなんでもお母さんに相談するんだよ?」


「うん、ありがとう」


「今日のお昼は大きなサンドイッチです!」


「やった!」


お母さんの作るサンドイッチはとても美味しい。

食パンをカリッとするまで焼き、間に野菜や卵焼き、チーズを挟んで半分に切る。

色とりどりな断面、食欲をそそる焼けた食パンの色。

急いで手を洗ってサンドイッチの前に座った。


「いただきます!」


「はいどうぞ、私もいただきます」


サクッと言う音、口の中に硬めの部分が当たってちょっと痛かったりもするけど関係ない。

空っぽのお腹に美味しいパンが入っていく。


「歩は次のMG杯出るんだね」


「ごくん...うん、椿さんに招待されたんだ」


「あの元気な子ね、お母さんも椿ちゃん好きよ?」


「声かっこいいし性格もいいしゲームうまいし面白いし...

いろいろずるいって思う...」


「あら、まるで椿ちゃんのこと好きみたいじゃない?」


「ん、恋愛対象じゃないけど好きだよ」


「それでも歩がまさかこんなに心を開くなんてね...

お母さん嬉しいよ...」


「うぅ...コミュ障でごめんなさい...」


「まあまあ、今はだいぶ良くなってるしお母さんも安心して配信を見れるわ」


「あ、ありがとう...」


「それと、明日は楽しみにしててね?」


「何が?」


「今あるイラストを描いてるの」


「そうなんだ!頑張って!」


「歩に応援されたなら頑張るしかないわね!

ごちそうさまでした、じゃあお母さん仕事部屋に戻るから」


「うん、分かった」


僕もサンドイッチを食べ終わり、食器を流し台へ運ぶ。

自室に戻り早速ファンボの続きを始める。

ここからのみんなで勝ちたい、その一心で練習を続けた。

読んでいただきありがとうございます!

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[一言] 初心者に下手とな当たり前じゃん
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