110話 MG杯練習試合一日目③
「ナイス空爆!!」
「狐狐ちゃん最高や」
二試合目が始まり、現在は3:5で負けている。
なんとか設置して人数状況2対4、椿さんチームは僕とローバーさんが残り、相手チームは4人。
そんな中、動画で覚えていた空爆によって解除する人とそれをカバーする人の2人を落とすことに成功した。
相手の陣形が乱れ、そのままローバーさんが前に出て残りの相手を撃ち倒した。
これで4:5、後1ラウンド取れば追いつける。
ちなみに空爆というのは、ダメージを与えるスキルを設置位置から遠い場所で放ち、設置位置に落とすことを言う。
僕の使っているエルフのダメージを与える矢は2本使用でき、その2本を同時に設置位置に落とす。
これで相手を倒すことができるのだ。
「っしゃもう一本取るぞ!」
「取ろう!」
「このマップは守りマップなのでもう一本取ればかなり優勢になりますね」
「俺が荒らして来るぞ」
「が、頑張って...!」
僕は一緒のチームになったみんなとの距離がかなり近くなり、自然と敬語を使わなくても話せるようになっていた。
ふと今の戦績を確認すると、僕はさっきの空爆も合わせて4キル。
やはりこういった大会に招待された人を相手にキルすることはかなり難しい。
撃ち合いで負けている記憶しか残っていない。
「狐狐ちゃんの索敵矢最強だから、狐狐ちゃんが撃ちたいタイミングで好きなところに撃って!」
「わ、分かった...!」
椿さんにそう言われ、少し自信を取り戻せた。
散々撃ち負かされてメンタルが折れかけていた...
僕はただ索敵矢を撃つだけだが、それがかなり有効打になっているらしい。
「今回はエントリーの時に索敵矢撃つね」
「了解!じゃあ...Aサイト行こうか!」
「了解...!」
「罠は中央に設置しました」
「さあ、始まるぞ!」
10ラウンド目が始まる。
前回は裏を取ろうとしたニコさん、椿さんが囲まれてやられてしまった。
相手がかなり前目で防衛するので、少し押され気味になってしまう。
そこで今回はAラッシュを行いBサイトにいる敵は一旦無視し、Aサイトを制圧する作戦だ。
椿さん、ローバーさんを先頭に5人でAサイトへ向かう。
「索敵矢撃つよ!」
「了解!」
「索敵矢に着いていく感じでエントリーするぞ」
「中央から敵来てるので私はそちらを対応します」
僕の索敵矢がAサイトに飛んでいく。
それに合わせてつばロバの2人がサイトにエントリーした。
相手のスモークや罠があるが、索敵矢のおかげでサイト内に敵がいないことが分かっている。
「裏4人です!」
ニコさんが残りHPわずかでサイトまで逃げてきた。
今回の相手は中央を4人で攻める作戦だったようで、中央を見ていたニコさんと鉢合わせしたようだ。
「俺サイト残るからみんなで裏相手しよう」
「了解!」
「スモーク裏に炊くよ!」
「モク抜きしてみる!」
「抜き返されないようにね!」
裏から攻めて来られないようにスモークに向かって弾を撃つ。
敵に当たるとヒット音が聞こえるのでそれで判断できるが、いくらスモークを撃っていてもその音が聞こえない。
「サイトめっちゃきてる!」
椿さんの声が響く。
それと同時に銃撃戦が始まった。
既に回っていると警戒していたニコさんとローバーさんがサイトに合流しており、なんとか持ち堪えている状態だ。
「狐狐ちゃんもサイトに行って!
裏は私が見る!」
「分かった!」
僕は索敵矢が使用できるようになり、再度サイト内を見る索敵矢を撃つ。
だが、読まれていたのか索敵が行われる前に矢が破壊される。
「ごめんやられた!」
「うっわエイムガバった...」
「サイト内に全員います」
中で戦っていた3人が倒されてしまう。
同時に顔を出されたことでダメージもそこまで与えられていない...
相手が爆弾解除を始める音が聞こえ、小豆さんと僕は同時にサイトへ入っていく。
だが人数の差は大きく一瞬でHPが削られた。
そのまま爆弾は解除され、4:6で攻守交代となる。
「ドンマイドンマイ!守りよ!」
「俺たち守りの方が強いんだから!」
「そうそう!勝つよ!」
防衛側が始まり、最初の武器購入時間となる。
いつも通りの武器を買い、サイトで定点の位置に着く。
Aサイトにくる通路に索敵矢を撃つ定点だ。
「索敵矢壊されたら引くわ」
「ロバは索敵矢壊されなかったらそのまま裏取りで」
「おーけー」
「私は中央に罠設置して引き目で守ります」
「スモーク欲しかったら言ってね〜」
「守り勝つぞっ!!」
カウントダウンが終わりラウンドが始まった。
「お疲れ様でしたー」
共通のサーバーを後にして練習試合の1日目が終了した。
結果は1勝1敗、あの後敵のエリアをコントロールする攻撃に振り回されてラウンドを多く落としてしまった。
追い付いて延長戦まで行ったものの逃げ切られてしまい、惜しい結果となった。
椿チームのサーバーにみんな集合する。
既に遅い時間だが、まだ視聴者は大勢いた。
「おつかれ〜」
「おつ」
「お疲れ様〜!」
「お疲れ様です」
「おつかれさま」
「いやぁ惜しかったねぇ...」
「まだ後5試合あるしこれからよ」
「それもそうですね」
「とりあえずいろいろ反省点あると思うけど、そんなことよりチーム名を決めようと思う!」
実はチーム名の締切は練習試合最終日までなのだが、既に6チームは決まっており僕達のチームともう一つのチームだけ名前がなかったのだ。
「なんかいい案はあるの?」
「実は1つ考えたんよ」
「お前試合中に考えたのか?」
「いーや、試合が終わってからよ。
流石に試合には集中してた」
「それで、どんな名前を考えたんですか?」
勿体ぶるように、わざとらしく咳払いをする椿さん。
息を吸うとチーム名を言った。
「チーム名は“ここから”にしようと思います!」
「ほぉ、理由を聞いても?」
「まず、今日頑張れたけどまだまだじゃん。
って事でここから!って感じ。
それと、俺達のチームって狐狐ちゃんの索敵矢からいろんな動きするじゃん。
だから狐狐からって意味もある!」
「意外としっかり考えたんやなw」
「え〜?結構私好きだよ、そのチーム名!」
「え...え、で、でもそれ僕の役割大きすぎない...?」
「それくらい狐狐ちゃんの索敵矢が凄いんだよ...
マジでプロおると思ったもん」
「確かに狐狐さんの索敵矢でエリアをコントロールしやすいです。
見る場所が減るだけで勝率はかなり上がりますからね」
「ちょ、ちょっと...本当にいいの?」
「チーム名はここからに決定!」
「本当にいいの!?」
こうして、僕達のチーム名は“ここから”になった。
初心者の僕でも役に立っていると思いとものすごく嬉しいのだが、それと同時にプレッシャーを感じてしまう。
もっとレパートリーを増やさないと...
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